小谷みすず議員の一般質問
2008年9月30日
日本共産党の小谷みすずです。
福祉四医療費助成制度、救急医療、熱中症、水道事業について知事に質問します。
はじめに来年度中の改悪が予定されている乳幼児、ひとり親家庭、障害者などの福祉四医療費助成制度の一部負担についてです。
4月のPT案で、受診一回500円を一割負担、所得制限を厳しくすると提案されて以来現行制度存続を求める102万4000人の署名があり、府議会でも一割負担に賛成する会派はありませんでした。
こうした府民や議会の議論は重い意味を持っていると思いますが、知事の認識はどうですか。答弁を求めます。
それぞれの制度は、非常に大切な役割を果たしています。子育て世代の20代から30代前半の人たちは、半分が非正規雇用で収入も2百万円以下ともいわれます。子供が怪我をしたり発熱のとき我慢させることはできません。500円あれば受診できたのに一割の負担では、お金がなくてすぐに受診できない例も出てきます。兄弟が多く慢性病や感染症などであればなおさらです。
ひとり親家庭のお母さんは、二つ三つの仕事をこなしてやっと生計を立てている場合が多くあります。
重度障害者も障害者自立支援法で一割負担が導入され、障害者年金といっても年収100万円もありません。
知事は、一割負担を強行すれば府民の負担がいっそう重くなることをどう思いますか。
福祉4医療費助成制度は、府内55万人に利用され次々と改悪される国の医療制度の中で、府が独自に市町村と協力して実施してきた府民を守る命綱です。
大阪市は、 通院就学前、入院小学校卒業までで府の制度の、 通院満2才、入院就学前までを上乗せして受診一回500円の制度として大阪市独自に助成しています。市町村によって上乗せに違いがありますが府の制度が根底にあるからこそできているのです。知事はどう思いますか。それぞれ答弁を求めます。
大阪府は、7月臨時議会が終わって市町村と合同の研究会を発足し、すでに3回もワーキンググループの議論を重ね11月末頃には中間まとめを発表しようとしています。しかし協議の内容は、一割負担や所得制限を導入したときの実務対策のみで、肝心の府民負担の生活実態を調査していません。一割負担になった場合の実態がどうなるか具体的に調査することを求めます。
市町村は、財政健全化法に縛られ、市町村だけでは継続したくてもできない自治体も出てきます。今こそ府が、府内の福祉医療制度を底支えするのが役割です。
府民は、現行制度存続で新たに署名を集めています。改めて現行制度継続を求めます。それぞれ答弁を求めます。
次に救急医療についてです。府内の救急搬送患者は、2000年の24万人から、2006年の45万人と激増しています。一方、救急医療機関は、2000年の304ヶ所から、2008年260ヶ所に減少しています。
私の地元、大正区では、救急車が到着して36ヶ所、手術中などで断られ、一時間以上病院を探した例がありました。
大正区には、初期救急医療機関はなく、かつてあった二次救急も次々撤退し、 済生会泉尾病院だけで、三次救急は もちろんありません。
大阪市の救急出動から病院に搬送される時間は、この5年間に20分以内に搬送された件数が30%も減り、逆に1時間以上は2.4倍で、約4,500件になっています。大阪市内の初期救急は、西区の中央救病診療所など7ヵ所で二次救急は、
4年間で99ヶ所から、84ヶ所と激減しています。
救急医療は、府民の命にかかわる重大問題です。私は、その立場から具体的提案をします。
まず、初期救急ですが救急搬送された人のうち、軽症の患者が6割です。現在、救急車を呼ぶかどうかも含めて相談にのってもらえる小児救急相談事業があります。昨年9月議会で電話回線、人員を強化するといっていましたが、予算は減っているではありませんか。夜8時から朝の8時まで看護師が相談に応じる事業で年々相談件数は増え、一昨年は、3万1000件で受診軽減に一定の役割もあるといわれています。この事業を時間延長も含めて充実するよう求めます。また、高齢者の搬送が増えています。高齢者の相談窓口もいるのではないでしょうか。それぞれ答弁をもとめます。
第2に、二次救急については、多くは民間病院が担っていますが、受け入れる人が増えるほど赤字になる仕組みを改善するよう国に制度改正を求めてください。どうですか。
二次救急の中核を公的病院が責任を果たせるようまた、既存の民間の二次救急対応医療機関には、府独自の補助制度を設けることを求めます。
今年5月「二次救急医療体制再構築検討プロジェクト委員会」を設置して府は、 医師会の協力を 得て、救急医療に参画する病院を募集していますが府は、これに補助金を増額するなど積極的に支援していくのですか。
第3に、三次救急については現在13の救命救急センターの継続とともに府内の手薄な地域に地元自治体や医師会などと協議し、救命救急センターを増設することを求めます。
第4に、すぐにでもできることとしてタイムリーに診療や手術の可否、空きベット数を知らせる救急医療リアルタイム情報システムの構築をされましたが、その効果の検証を行い実際に効果を上げるよう求めます。大阪市と府内7つの二次医療圏ごとに医師、看護師などを配置し救急隊からの相談に応じて医療機関を紹介する相談センターを設置する。病院探しのコーディネーター事業などを検討してはどうですかそれぞれ答弁を求めます。
次に、府独自の医師確保についてです。まず女性医師確保対策費は、効果がないと今年度は廃止されましたが、復活させる必要があるのではありませんか。
また母子保健総合医療センターや急性期総合医療センターなど府立の病院機構の女性医師の退職者は、2006年度22人2007年度20人と女性医師の三分の一が退職しており復活者はありません。院内保育所の充実など
職場環境、労働条件を整えて 女性医師離職を防ぐ対策を求めます。 また国は抑制体制をとってきた医学生の募集について増員する方向ですが府内の大学ではどのくらいふえるのですか。また府として、学生に対する府独自の奨学金制度を設けること、医師確保のため大阪府医師バンク制度を設置するなど府の必要な予算をつけて抜本的対策をとるよう求めます。それぞれ答弁を求めます。
次に熱中症についてです。 数年前までは、野外の熱中症が問題になり家の中での熱中症はあまり問題になっていませんでした。最近では、外出ができずクーラーを設置する余裕もなく、あっても電気代を節約している場合などは、体温調節のできない高齢者が家の中で36〜37度の室温で過ごしている実態が報告されています。
大阪での今年7月の熱中症での救急車出動は昨年の4・8倍に急増しました。熱中症対策は府民の命を守る重要かつ緊急の課題です。病気と貧困の中で冬の寒さをしのぐのも過酷です。
府として市町村と連携し、次のことに取り組むことを求めます。
一つ、府全体の実態調査を行い、高齢者、障害者、生保世帯など社会的弱者への支援策を講じる。
二つ、国に大阪での生活保護世帯に、夏季加算を設けるよう求めると共に、国が実施するまで府として夏季・冬季一時金を復活する。
三つ、熱中症予防の広報を含め、府民的な運動を推進する。 以上ここで答弁を求めます。
次に大阪府と大阪市の水道事業の統合に関連する問題です。
府と市の水道事業は、府と市の第一回検証委員会が開かれ大阪市の案が検討され、大阪府も「府市水道事業統合に関する案」を提案しました。
元々、府の水道事業は、大阪市を除く市町村に供給する卸事業であり、市は、独自に浄水をつくり市内の家庭に供給するものでけっして二重行政ではありませんが水あまりは、府、市ともに膨大です。今日の問題をもたらしたのは琵琶湖開発事業など、過大な国の計画とそれに追随した大阪府や大阪市両方に責任があります。
さて、大阪府の案は、府と市の浄水場を合わせて1日100万トンの供給能力の削減、水運用システムの一元化などをあげています。費用削減効果は、総額2775億円で平成42年、2030年に府22円、市7円の給水原価を下げることが可能としています。しかし、ここではその前に、府水道として独自にできることを質問します。
わが党は、これまで二十年以上前から大阪府の過大な水需要の見直しを求めてきました。
水道事業の基本は、「安全な水を安定的、安価に」供給することです。
大阪府営水道は戦後、人口急増の中で1951年に、給水を開始して以後、今日まで7次にわたる拡張事業を進めてきました。7拡当初の1979年の計画では、1987年に、1日265万トンになるという過大な計画で、浄水場、送水管を設置し、計画を数度にわたり見直さざるを得ませんでした。
現在の上水の供給能力は、1日233万トン、今年の最大給水量実績1日172万6千トンで1日約60万トン余っています。一方大阪市も同じく上水の供給能力は、1日243万トンで一日の最大実績は昨年144万トンで99万トンの水余りです。
ところで府の琵琶湖総合開発負担金は、平成26年度までとなっており元金の総額は、1476億円と多額で、今年度末までに、元金で1004億円。利息も818億円支払ってきました。しかし琵琶湖のこの利子負担は、年々4億4千万円から、2億8千万円減り続け昨年度に比べ平成27年度は、25億4000万円も減ります。さらに企業債も、利息7%以上の分を繰り上げ返済し、昨年から約年11億円利子払いが減る効果があります。昨年度、約47億円の黒字ですがさらに黒字は、大幅に増えるではありませんか。
今回、府は、22年後に給水原価の値下げをすると言うことですが、もっと早く値下げができるのではないでしょうか。答弁を求めます。
さらに丹生ダムと大戸川ダムの、利水撤退金と長期施設更新の整備計画についてです。
利水撤退金について丹生ダムと、大戸川ダムで国との関係でおおよそ最大どのくらいになるのですか。また、もともとこのような撤退金は、国に払わなくてもよいよう交渉してください。
さらに、当初5400億円かかると言われた2005年度から25年間の長期施設整備計画は、1日216万トンの水需要計画を大幅に引き下げるとともに、設備の更新の費用を大幅に減らすことが可能です。答弁を求めます。
最後に、水あまりの状態の中で一万トンずつの安威川利水や紀ノ川利水は、まったく必要ないではありませんか。知事の見解を伺います。
以上で質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。