堀田文一府議の代表質問(大要)

2008年9月29日

 日本共産党議員団の堀田文一です。代表して知事に質問します。
 まず、府民の暮らしと大阪経済についてです。

 小泉内閣以降に加速した「構造改革」路線は、大企業には減税をはじめとする優遇策で巨額の利益をもたらす一方、庶民には毎年2200億円の社会保障費の削減や増税などを押しつけ、日本社会に深刻な歪みをもたらしました。

 昨年の資本金10億円以上企業の経常利益は、7年前の1・6倍、32兆円。府内本社の上場企業の経常利益は、7年前の2倍、3兆9千億円に増えています。ところが、勤労者の平均給与は7年前に比べ1割減です。

 府内事業所数が一昨年までの5年間で11%減少したこと。非正規雇用者が5年間で14万人増加し、全体の38%に達したこと。中でも半数が年収200万円以下という派遣労働者が1・8倍に急増したことが原因です。

 大阪の千世帯あたりの生活保護世帯は41世帯、全国平均の2倍近くになり、47都道府県の中で最悪です。

 知事は、大企業を強くすれば経済も暮らしもよくなるという財界言いなりの国の政治を、間違いだと思いませんか。

 ところで、先日発表された「将来ビジョン・大阪」には、暮らしや中小企業は現状分析すらありません。知事は「財政再建」を理由に、今後も私学助成や福祉医療助成をはじめ、府民生活に関連する施策を廃止・縮小を続けようとしています。
 その一方で、需要がなくても高速道路は必要だと、新名神や淀川左岸線延伸部建設を促進し、大阪だけで経済振興を考えてもダメといって、シャープ、松下などの湾岸地域への進出に巨額の補助金をばらまき、経済界の長年の要求である道州制導入を前面に打ち出しています。

 こうした大企業奉仕の府政を転換し、教育・医療・文化・環境などを守る大阪府政こそ、今、求められています。以下、具体的に質問します。

 まず私学助成です。

 「お金がなくて高校を辞める友達を見るのはいや!」、「これ以上授業料が上がれば、親に迷惑がかかる」と、高校生達は集会や要請行動に立ち上がりました。ところが、7月議会で私立高校への経常費助成の10%削減が決まりました。私学課のアンケートに私学経営者の6割以上が授業料の値上げ等で対処すると回答しています。今でさえ大阪の私立高校の平均授業料は、全国で最も高額であることを知事はご存じですか。

 そこへ授業料助成のカットです。年収540万円以上で助成がゼロになる世帯と半分に減額される世帯は合わせて1万3600世帯、全生徒の約2割です。私学助成の削減はひどすぎます。再検討・撤回を求めます。

 第2に福祉4医療制度改悪についてです。

 「いまは500円で医者に行けるが、1割負担になると、病気と財布の中身を天秤にかけなあかん」、そういって嘆く約55万人の人々を知事は見放すつもりですか。

 改悪による府予算削減額は僅か22億から18億円です。こんなわずかな削減のため、社会的弱者に痛みを強いるのは、許されません。子どもの医療費負担の拡大は子育て支援に逆行します。大阪府医師会、歯科医師会、薬剤師会なども、福祉医療制度を守る府民署名に取り組んでいます。

 福祉医療制度は現行制度を堅持すべきです。

 第3に、後期高齢者医療制度です。

 終戦記念日の8月15日、年金から3回目の保険料天引きが行われました。戦前戦後、最も苦労をした世代の命に差を付けるのは許せないと怒りが広がっています。麻生新内閣も後期高齢者医療制度を抜本的に見直すと表明し、制度の欠陥が一層明瞭になりました。

 先の通常国会では、野党4党共同提案の廃止法案が参議院で可決されました。廃止こそ国民の願いにこたえる唯一の道です。この際、知事は、国に対して制度の廃止を求めるべきですが、どうですか。それぞれ答弁を求めます。

 次に、「公立病院改革に関する指針案」についてです。

 地域の中核病院である自治体病院の運営は深刻です。阪南市立病院では内科の医師が一斉に退職し、入院診療の患者受け入れの一時休止がありました。市立豊中病院は産婦人科診療の地域との機能分担を行い、忠岡町は昨年3月、町立病院を廃止しました。

 公立病院の経営悪化の原因は、国による診療報酬の引き下げ、自治体病院への地方交付税の大幅削減などです。ところが府が作成した「公立病院改革に関する指針案」は、国がまとめた「公立病院改革ガイドライン」に追随し、診療科の統合、医師の集約化、病床数の削減を図ろうとし、公立病院の民間譲渡、廃止まで検討しています。

 「指針案」は、地域医療の再建どころか、住民の医療を受ける権利を奪うものとなりかねません。再検討を求めます。

 さらに、国に医療費削減の中止や医師確保策の抜本的な強化を求めるとともに、府として公立病院への補助金を復活し、医師確保に本腰を入れて取り組むべきです。

 国は、財政健全化法で病院など公営企業をふくめた「連結決算」を導入し財政運営を締め付ける一方、「病院改革」を推進する自治体には、地方交付税を拡大するなど、まさに、アメとムチで、公立病院の縮小をすすめようとしています。
この国の圧力に抗し、知事は地域医療を守る先頭に立つべきではないですか。

 それぞれ、答弁を求めます。

 次に教育問題です。

 まず、全国学力・学習状況調査をめぐる問題です。
 知事は、「クソ教育委員会」「教育委員には最悪だと言いたい。このざまは何だ」といい、PTAについても「解体して新しい組織づくりをしないといけない」など、暴言を繰り返しています。これらは、教育基本法が禁じる、行政による不当な支配にあたるものであり、言語道断です。同時に、知事の品性と見識が問われるものです。子どもの成長のために、力をあわせるべき父母、地域住民、教職員、教育行政に分断と対立、不信を持ち込むものであり、改めて発言の撤回と謝罪を求めます。

 知事は習熟度別指導による学力向上に執着していますが、この春の全国学力テストでは、習熟度別指導が学力向上に逆行する結果が出ています。ご存じですか。

 やるべきことは、関係者の率直な声に耳を傾け、「子どもの貧困」の解決に真正面から取り組み、私学助成の拡充など父母負担を軽減すること、少人数学級の拡大など、教育条件の抜本改善を図ることです。

 また、知事は平均正答率の非公表を市教委に要請した吹田市長に対し、来年度予算配分で、格差をつけることを示唆していますが、教育における地方自治への介入であり、撤回を求めます。

 次に、維新案で示された三つの教育条件改悪についてです。

 まず、学齢期に中学校に通うことができなかった人々の中学校教育を保障する夜間中学校について、知事は、就学援助や給食は、国と市町村の役割だと言い、府補助の廃止を打ち出しました。

 知事は、廃止しても生徒の負担は増えないと、約束しますか。
 府は国に負担金交付を働きかけているとのことですが、その見通しはあるのですか。国にその考えがないとき、生徒の費用負担を増やさないために、いかなる手立てをとるつもりですか。

 2つ目は、教務事務補助員等の雇い止めについてです。国は「教員の生徒と向き合う時間の確保」を目的に、教員配置増をすすめていますが、高校等については手立てすら取られていません。学校の教育活動を支える重要な役割を果たしてきた教務事務補助員等を事実上解雇することは、「教育日本一」と逆行します。

 知事は教育を守るため雇い止めを撤回し、関係者と協議を尽くして使用者責任を果たすべきです。

 3つ目は教職員の旅費の問題です。旅費規定の改悪で、宿泊行事では素泊まりの費用しか出ません。しかし現実には、修学旅行など宿泊をともなう生徒の引率行事で、教職員の自己負担が一万円を超える事態が生まれています。これらの行事では、食事の場所も中身も選べません。支援学校では配慮ある宿舎も限られている上、先生が子どもの身体を抱えて食事をします。小中高校でも、子どもたちと一緒に食事をとっています。明らかに勤務の一部ではありませんか。通常以上の本人負担は、旅費を加算すべきではありませんか。

 それぞれ知事の答弁を求めます。

 次に、文化についてです。これまで大阪府は、文化を通して、大阪を元気にする取り組みをすすめてきました。ところが今回の「維新案」は、文化予算の削減だけでなく、国際児童文学館や青少年会館の廃止、ワッハ上方の移転とホール廃止など、大阪の文化を後退させるものです。

 その中でまず、国際児童文学館について質問します。知事は、わが党の質問に対し「国際児童文学館が現在保有する約70万点の資料の多くが、個人や出版社など様々な方々の寄贈によって成り立っていることは承知しております」と、答弁されています。

 承知しているなら、理事会や鳥越氏ら関係者と話し合い、現地で児童文学館の値打ちをどう発展させるか、国に財政的支援を求めることを含め、知恵を出し合うべきではないですか。

 また、知事が私設秘書に命じ、国際児童文学館の内部を「隠し撮り」をさせましたが、「隠し撮り」は明白な違法行為です。知事にその認識はありますか。

 知事は隠し撮りをしたビデオを見て、「何の努力の形跡も伺われない状況だった」と述べていますが、わずか10分足らずのビデオ撮りで、施設の利用者の状況や努力の中身が分かりますか。

 次に、ワッハ上方についてです。千日前からワッハが無くなるという報道の後、全国各地の学校から、「来年の修学旅行のコースに組めるのか」などの問い合わせが来ています。道具屋筋商店街での一日商売体験とワッハの見学が、修学旅行のコースにもなっているからです。ワッハが道具屋筋などの商店街と協力して、ミナミに定着している事実は貴重です。この事実を知事はご存じですか。

 府立青少年会館文化ホールは、この夏も第47回目の大阪府吹奏楽コンクールが開催され、府内各地から集まってきた若者の熱気につつまれました。大阪府吹奏楽連盟は小中高大学を合わせると465団体が加盟しています。ところが、青少年会館は、敷地の一部で今月から文化財の試掘が始まり、来年6月には閉館とという猛スピードで、無くなろうとしています。青少年会館は、大阪の将来のためにも絶対に必要です。大阪市とも協力し、府内のどこからでも来やすい現地周辺での再建への議論を始めるべきです。

 それぞれ答弁を求めます。

 次に中小企業を中心とした産業政策のうち、原油・原材料異常高騰への緊急対策についてです。

 運輸、農漁業関係者や関連業者は、「操業するほど赤字が出る」、製造業や小売業者も、仕入れ値が上がったが価格を上げれば全く売れない」と悲鳴をあげています。

 政府に対し、投機マネーの国際規制に乗り出すとともに、業者への直接補てんを充実するよう要望すべきです。

 府としても、原油・原材料高騰総合対策本部を設置し、影響を把握するとともに、深刻な影響を受けている事業者や低所得者への緊急支援を講じるべきです。

 大企業が巨額の利益を得る一方、府民と中小企業者の暮らしと営業が苦境に追い込まれる中で、今必要なのは、大企業から府民の家計と中小企業に経済政策の軸足を移すことです。どうですか。

 そして、中小企業振興条例の制定など、行政の中小企業支援のスタンスを明確にするとともに、中小企業予算の大幅増額、中小企業向け官公需を目標の65%まで直ちに引き上げて中小企業の仕事の確保に努め、商店街を地域の共有財産と位置付けて住民、事業者、行政が一体となって地域の活性化に取り組むべきです。

 それぞれ答弁を求めます。

 次に地球温暖化防止についてです。

 温暖化防止は、一刻の猶予も許されない人類的課題です。知事にその認識がありますか。

 政府は、京都議定書で温室効果ガスについて90年比で6%削減を掲げながら逆に6・2%も増やしています。そこでまず、大阪府が政府に次の3点を申し入れることを求めます。

 第1、2020年までに30%削減を明確にした中期目標の確立に踏みきる。

 第2、最大の排出源である産業界に削減の期限と目標を明らかにした政府との協定締結を義務づける。

 第3、エネルギー政策の重点を自然エネルギーの開発・利用へ転換する。

 大阪府は、「地球温暖化対策地域推進計画」で温室効果ガス総排出量を90年度比9%削減の目標達成めざしていますが、さらに強化するため、次のことを求めます。

 1、削減目標を原単位とともに総量も定める。

 2、総排出量抑制のため、企業間の排出量取引制度をつくる。

 3、太陽電池パネルへの補助制度の復活を国に求め、府も補助制度をつくる。

 4、府民共同発電推進事業を促進する。

 5、中小企業の設備投資への資金援助を拡充する。

 それぞれ答弁を求めます。

 次に事故米の食用転売問題です。

 残留農薬やカビ毒に汚染された事故米が酒、菓子の原料に使用され、府内の福祉施設、学校や保育所の給食などでも使われていたことに国民の怒りと不安が高まっています。

 この間、毒ギョーザ事件、牛肉やうなぎなどの産地偽装、賞味期限の改ざん、料理の使い回し、乳製品のメラミン汚染など、食の安全をおびやかす事件が次々と発覚しました。これらの事件は、事件を起こした業者に責任があるのはもちろんですが、国の農政、消費者行政にも重大な責任があります。

 今回の事故米問題では、第一にミニマムアクセス米を需要もないのに輸入してきたこと、第二は「小泉改革」の一環である「米改革」で、米をあつかう業者の許認可規制を廃止し、届出だけで誰でも米売買ができるようにしたことです。政府が、コメ流通の管理責任を完全に放棄したことが、悪質業者の暗躍につながりました。

 食の安全確保のため、府は国に対し、ミニマムアクセス米の義務的輸入を中止し、主食である米流通の管理責任を果たすとともに、安全な食料は「日本の大地から」と、自給率向上への真剣な取り組みを求めるべきです。

 また、当分の間、中国製乳製品の輸入停止を求めるべきです。

 府としては、学校や福祉施設、病院などへの流通の実態調査をさらにすすめるとともに、食品検査体制の強化、中小業者、小売店の被害救済にも取り組むべきです。

 それぞれ答弁を求めます。

 次に財政再建の方向です。

 まず財政再建は、財政危機の原因にメスを入れることが原点です。ところが知事は、財政危機の大きな原因の一つである大型開発型の公共事業は継続する一方、府民の暮らしや福祉、教育にかかわる施策を削減、縮小し、中小企業振興も削減という府民犠牲の方向での財政再建を選択しました。これは逆立ちではないですか。

 2点目、知事は、「将来世代に負担を先送りしない」と繰り返し主張していますが、それなら箕面森町、新名神関連事業、安威川ダムなど大規模公共事業を中止し、淀川水系4ダム建設にきっぱり反対すべきではないですか。

 3点目、市町村補助金の交付金化で補助金総額が減り、市町村財政と住民生活にしわ寄せが行くのが心配です。少なくとも、学校への警備員配置など、大阪府の広域的役割が求められる事業は対象にせず、補助金額を削減しないことが必要です。

 4点目、大阪維新プログラム(案)に盛り込まれた「住民生活に直接関わることは市町村へ」という方針は、大阪府が本来果たすべき、教育や福祉などの役割と責任を放棄し、市町村に仕事と責任を押しつけるだけという危惧を府民は持っています。この危惧に知事はどう答えますか。

 5点目は、国への運動です。現在の地方財政疲弊の要因は、三位一体改革による地方交付税の大幅削減、法人税率引き下げによる税収減、90年代に景気対策の名のもとにすすめられた大規模開発による巨額の借金などにあることを日本共産党は繰り返し指摘してきました。この点では知事はどのような認識でしょうか。また、どのようにして政府に改善を踏み切らせますか。

 それぞれ答弁を求めます。

 次に、道州制について質問します。

 知事は、「維新案」で、「大阪府の発展的解消が将来目標」だと宣言し、関西州への移行を強く打ち出しました。WTCへの府庁移転発言では、「将来の州都」とまで言い切っています。

 道州制は、経済界が強く要求してきたもので、日本経団連の御手洗冨士夫会長は、道州制は「究極の構造改革」だと述べていますが、構造改革の破たんは、すでに明らかです。

 道州制は、市町村合併と都道府県の道州への移行で、「行革」をすすめ、「グローバル企業の新規立地や投資拡大が進む」仕組みをつくる一方、「限られた財政収入のもとで」、「住民は受益と負担の関係を常に意識しつつ…行政に過度に依存せず、相互扶助・共助の精神で」というものです。これでは一部の輸出大企業などを応援するだけではありませんか。府民生活はますます冷え込みます。知事は道州制で府民の暮らしがどうなるとイメージしているのですか。

 そもそも道州制の論議は、財界や政府が先導しているものの、国民は必要性を感じていないのが現状です。今年の知事選挙でも、争点になっていません。それなのに、あたかも既定方針であるかのような、知事の最近の言動は目に余ります。

 府民福祉と大阪経済振興に、大阪府が広域的役割を果たすという原点をしっかり踏まえ、道州制ありきの方針は撤回すべきです。

 それぞれ答弁を求めます。

 第2は、道州制につながる今日までの地方分権は、何だったのか、という問題です。

 2003年度から、義務教育・国保などの権限は国が法律で握ったままで、仕事と責任は大阪府に押し付けられました。移された仕事は、昨年度決算で1742億円なのに、税源移譲は1280億円しかありません。

 そのうえ、今年からはじまる地方法人税削減は通年ベースで265億円に達します。

 知事は国の地方分権で、大阪府の地方自治が、実際には小さくなったこと、その延長線上に国の道州制の提案があることを認識していますか。

 答弁を求めます。

 第3は、関西州の州都と知事が位置づけた府庁のWTC移転についてです。

 庁舎の位置の変更にあたっては、地方自治法第4条2項は「住民の利用に最も便利であるように、交通の事情、他の官公署との関係について適当な考慮を払う」ことを求めています。

 ところが、WTCでは現府庁の年間来庁者約40万人の府民はもちろん、府庁に通う5207人の職員も、往復で平均38分の時間増が迫られ、極めて不便です。WTC移転は府議会の傍聴や陳情・要請、府政情報の取得などを困難にし、府民から府政を遠ざけるものです。

 アクセスは1列車4両編成で定員が合計174人しかないニュートラムだけです。現府庁の周りにある国の出先機関や府警本部と隣接しているという利点を捨て去ることにもなり、WTCへの移転が一番安上がりという根拠も全く不確かです。

 WTC移転の提案は撤回し、地方自治法と事実にもとづいて根本から再検討すべきです。

 また、WTC移転には、破綻した大阪市のベイエリア開発のてこ入れに、財界の要請で大阪府が乗り出すという構図があります。

 WTCなどの大阪湾の3つの島の開発は破綻し、WTC株式会社は638億円の固定負債を抱えています。当初、大阪市はWTCへの市役所移転を財界から要請されていましたが、断念しました。大阪府が買収すれば、銀行団は、509億円の不良債権を回収できることになり、住友や伊藤忠などが周辺でかかえている未利用地の評価も上がります。

 アドバイザリーボードの会合で、中野経済同友会代表幹事は、WTCに入るのは大阪市でも大阪府でも構わない、と言っています。

 破綻したベイエリア開発に、またぞろ大阪府がテコ入れするのは、間違いです。

 それぞれ答弁を求めます。

 第4は、知事や財界が、関西州と結びつけて推進の意向を明らかにしている淀川左岸線延伸部についてです。

 淀川左岸線延伸部は近畿自動車道と阪神高速淀川左岸線・湾岸線・大和川線をつなぎ、新たな環状道路を作る計画で、2001年の小泉改革の一つの目玉、都市再生策として登場したものです。

 その後、7年経過しましたが、未だに都市計画決定さえ行われていません。理由は、事業費が3000億円から4000億円もかかり、採算性が見込めないからです。実際、阪神高速道路の昨年の1日あたり交通量は90万台を割り込み、平成5年に立てた目標の67%にしか過ぎず、大和川線と淀川左岸線は、一部が通行料金で賄う阪神高速道路株式会社の事業から、税金でまかなう大阪府と大阪市・堺市の街路事業に切り替えられました。

 そのため、淀川左岸線延伸部の事業を進める立場の大阪市は二の足を踏んでいますが、財界は、大阪府が大阪市に働きかけるよう求めています。

 現在、883万人の大阪府の人口が、2020年には836万人、2030年には774万人に減少すると予測される中、淀川左岸線延伸部は不要です。
 答弁を求めます。

 最後は今月4日、知事が、関空のネットワークにとって「伊丹が邪魔」と発言した問題です。

 昨年の国内線乗降者数は、大阪国際空港いわゆる伊丹空港が1600万人、関空570万人、伊丹空港は国内交通では、大阪の空の玄関です。玄関の閉鎖は許されません。

 伊丹空港は騒音公害を抱えていますが、豊中では騒音公害反対運動の中でも、空港撤去は求めず、夜9時以降発着禁止などの騒音公害対策と、空港周辺整備を求めてきました。知事の「地元が存続を求めるなら、運用を午前0時まで延ばすとか、騒音対策費もなしにするなど地元の負担も必要」との発言は、騒音公害被害住民の苦労を無視し、地元市民を分断する暴論です。発言の撤回を求めます。

 最後に、知事の政治姿勢について質問します。

 2月6日の知事就任以来、7カ月が経過しました。7月臨時議会までの時期は、知事は財政非常事態宣言を発して府民に我慢を求め、福祉・教育・文化予算をどんどん削減していく方針を歩みました。ところが、前太田知事がすすめてきた大型開発は、何一つ中止になっていません。その上、府民に我慢を強いる府政は、さらに拡大して続きます。こんなやり方は直ちに改めるべきだと、まず指摘しておきます。

 7月臨時議会以後の知事の活動は、財界の意向に極めて忠実が第1の特徴です。財界が作ったアドバイザリーボードに出かけて、財界の意向を最大限に取り入れる府政運営の体制をつくり、財界出身の副知事を提案し、財界の希望に添って府庁のWTCへの移転や新名神高速道路と淀川左岸線延伸部を推進し、関西州や水道の府市統合協議も財界の強い要求です。

 特別顧問に社会的にひんしゅくを買った構造改革論者を据えているのも、知事の政治姿勢の反映です。

 第2の特徴は、学力調査結果公表問題で市町村の教育委員会に対してまで居丈高な態度をとるなど、極めて権力的になっていることです。

 この様な知事の姿勢は、市町村や府職員の意欲を奪い、財界は儲けても、府民は元気になれない大阪をつくるだけです。

 知事には、謙虚になること、財界の声ではなく、府民や職員の声に耳を傾けて府政運営をすすめることを求めますが、いかがでしょうか。答弁を求めます。