「庁舎整備と府庁舎のWTCへの移転(案)及び、学力テストに係わる数々の暴言、盗み撮りなどの問題について」の申し入れ
大阪府知事 橋下 徹 様
2008年9月12日
日本共産党大阪府議会議員団
団長 宮 原 威
「庁舎整備と府庁舎のWTCへの移転(案)及び、学力テストに係わる数々の暴言、盗み撮りなどの問題について」の申し入れ
一、庁舎のあり方の検討についてのわが党の考え
住民の利便性、庁舎問題についての今日までの府と議会の到達点、震災対策などを基本に庁舎問題は検討すべきであり、一方的な情報提供、財界追随でWTCへの移転をどんどんすすめることは反対である。
現在、大阪府庁舎のWTCへの移転が知事から提案され「九月議会ででも方向性を」(経営企画会議)などと早急にWTCへの移転をすすめる議論が府庁内で行われている。日本共産党大阪府議会議員団は、住民の利便性などを無視し、WTCへの移転によって大阪市と財界がすすめ破綻したベイエリア開発へのテコ入れをすることは間違いであると考える。ましてや、淀川左岸線延伸部など新たな大型開発や選挙で民意も問うていない関西州の州都などの議論は論外である。
1、地方自治法第四条二項では、「地方公共団体の位置」について、「住民の利用にもっとも便利であるように、交通事情、他の官公署との関係等について適当な考慮 を払わなければならない」と定めている。
(1)現庁舎とWTCとでは平均して府民が来庁する場合、鉄道で片道19分、車で14分WTCの方が遠い。
(2)市町村からも鉄道で片道19分、車で21分WTCの方が遠くなる。
(3)WTC移転の場合、職員の通勤時間増も、大きなマイナスになる。
2、庁舎問題についての今日までの府と議会での検討経過と到達点(耐震による現庁舎の活用)を全く無視している。
3、東南海、南海地震など、大きな地震の近々の発生が予測されており、防災対策の拠点としての府庁の役割はますます重要である。現庁舎は、大阪市内で最も防災機 能の高い場所に立地している。
(1)半径5キロ以内に在住している職員は現庁舎が879人、WTCが163人と現庁舎の方が5倍であり、地震発生時に職員が短時間に参集できるのは現庁舎である。
(2)WTCはアクセスが地下鉄中央線とニュートラムなどに限られており、しかも 震災時には運行停止や通行止めの可能性がある。職員の参集には大きな支障がある。
(3)WTCの「敷地は(震災時に)液状化は発生しにくいが、周辺には発生しやす い区域が一部存在する」とされているが、それについても十分な検証が必要である。
(4)府警本部、国の出先機関などとの連携は現庁舎の方が容易である。
4、大阪城、難波の宮、NHK、各種文化施設などが集積する上町台地にある現庁舎の存在は、大阪の街の顔、風格に欠かせない。
土地活用収入がWTC移転の場合が一番高く計算されているが、現庁舎部分にマンションなどが林立することなどは、適切な土地利用とはいえない。
5、WTC移転が最も安価であるという試算にも疑問がある。
(1)WTCの土地建物の購入費が不明である。
(2)WTC移転の場合の本館の維持管理費が考慮されていない。
(3)職員の通勤費の増額や府民の利用負担増など経済的損失は全く考慮されていないか不十分である。
二、大阪の教育と教育行政に関わる知事の不穏当発言について
知事は、全国学力テストの結果に関わって「教育委員会には最悪だと言いたい。このざまは何だといいたい」「市町村教委が公表しないとか自由にやるなら府教委は解散する」「公表しないのは市町村教委の自由だが、その代わり、府が35人学級の予算を出す必要はない」「くそ教育委員会」など数々の暴言を吐いている。これらの発言は、府民の代表としての知事の品性が問われるものである。同時に、全国的にも子どもを取り巻く条件が最も厳しい大阪で現状の打開のために力を尽くしている教育関係者を侮辱し、傷つけ、教育への不信を拡大し混乱させるだけであり、発言を撤回し謝罪すべきである。
学力テストの結果から明らかなことは、教育条件の格差、生活条件の格差が「学力格差」を引き起こしていることであり、知事の責任は学力格差解消のためその障害となっている府民の暮らしの向上、少人数学級拡充など、教育条件を整えるよう最善を尽くすことである。学力テストの結果や教育関係者の努力の真摯な検討もせず、府教委、市町村教委を「悪者」に仕立て上げ教育不信をまき散らすやり方は本末転倒、許されない。
三、国際児童文学館などでの盗み撮りについて
知事は、私設秘書に命じて、8月に2回、国際児童文学館の職員や利用者の状況をビデオで「盗み撮り」をさせた。児童文学館は、知事が中央図書館への移転統合をすすめようとしている施設である。知事は「民間だったら当たりまえ」「何の努力の形跡もうかがわれない状況だった」と述べているが、わずか10分足らずのビデオ撮りで、施設の利用状況などを把握すること自体が無理なことである。またこうした手段を選ばない無法なやり方は、知事としての資格、資質を疑わざるをえない。このような隠し撮りは今後一切おこなわないよう強く求める。
またこの「盗み撮り」に関連して、知事は今後、ホスピタリティ調査(サービス観察調査)として民間業者に窓口業務をチェックさせて、府の施設を把握していくことを明らかにした。しかし今、府に求めれれていることは、府の施設はどうあるべきかという原点から、真に府民の立場にたった施設のあり方を関係者、府民参加で検討することである。民間業者にチェックさせるようなことはすべきではない。
以 上