9月府議会へ向け運動 共産党府議団が懇談会
19日開会の9月定例府議会に向け、日本共産党大阪府議団が8月29日、府民団体との懇談会を開き、68人が参加しました。宮原威団長が、橋下府政の特徴と9月府議会に向けたたたかいの基本方向について報告。参加者は「府立高校非常勤職員の解雇撤回へ、新しいビラも作って運動を進めている」(府高教)、「子どもの医療費助成制度を守る取り組みを強めたい」(新日本婦人の会)などと発言しました。
宮原威議員の報告
8月29日、9月府議会(19日開会)に向けて、日本共産党大阪府議会議員団が開いた府民団体との懇談会で、宮原威団長が橋下府政の特徴や、今後の論戦や運動の基本方向などについて報告しました。その大要を紹介します。
運動の成果と課題
最初に、7月議会で明らかになったことについて述べます。橋下「改革」による府民施策の切り捨てに反対して300万人を超す署名など、かつてない府民運動で、35人学級や救命救急センターの補助金が守られたり、私学の授業料軽減助成の削減が緩和されました。いくつかの文化施設の存続の見通しも含めて、大きな前進があったということについては、大いに確信を持ちたいと思います。
同時に私たちの運動が、まだ橋下「改革」の大枠を変えるところまで至っていないことも確かです。その中で、私学の経常費助成や教務事務補助員の解雇問題や、大半の障害者施策が削減・廃止される、ワッハ上方や国際児童文学館、青少年会館などが今のままでは府案の方向になるという、大きな課題も残しています。
開発優先が鮮明に大型開発を優先するという橋下府政の姿勢も、いっそうはっきりしました。7月府議会で橋下知事は、「必要性などを吟味した結果、大型開発プロジェクトが残った。費用はばく大だが、必要な都市整備」と答弁。わが党の堀田文一議員が新名神高速道路について質問したのに対し、「関西州に必要」「需要がなくても造るのが行政の仕事」とまで言いました。
そして府の役割について橋下知事は、「広域行政体として、近隣他府県との関係を見た上での産業政策などに特化する」とし、住民サービスを単に市町村に押し付けるだけでなく、本来は府と対等である市町村への「指導」に府の役割を特化すると答弁。市町村にも住民いじめや自治体リストラを府が押し付けようとしていることに注意する必要があります。
08年度本格予算は、残念ながら、自民・公明のほか民主も賛成して成立しました。しかし、これらの政党と私学助成や文化施策の問題などで、府民との矛盾は広がっていく可能性があります。
道州制の狙い露骨
7月府議会後も、橋下知事の道州制や大型開発志向は、ますます露骨です。関西財界などが道州制への一歩と位置付ける「関西広域連合」は、来年7月に設立するとして、大阪府は来年2月議会には、必要な条例を提案しようと動いています。
府庁をWTC(ワールドトレードセンター)に移転して、「関西州」の州都にするとも言われていますし、その中で、関西全体を考えた場合に、淀川左岸線を延伸させるなど、凍結されていた開発も進めようという方向が、橋下知事の言動からは出ている。
府が水道で果たしていた広域的役割について、大阪市の水道が府域の水道を含めて丸のみにする計画も出されています。
関西経済同友会は8月5日に、府市の水道が合併して将来は民営化すべきとの提言もしています。
副知事には関西電力の出身で京都・奈良・大阪にまたがる「けいはんな」開発に関与している人を副知事にする案も出ていますが、財界人そのものを副知事にするというのは戦後初めてのこと。特別顧間にも、西日本NTT取締役相談役の森下俊三氏や小泉「構造改革」にかかわった本間正明近畿大学教授、大阪市で地下鉄民営化などを主張して大阪市の「改革」からも外れた上山信一慶応大学教授も登用するという事態です。府議会の与党体制だけでなく、関西財界との二人三脚ぶりが明らかになっています。
改悪への動きは急
今後の課題と運動についてです。まずなによりも、福祉医療費助成制度、学校警備員制度などを守り、私学助成などカットされた施策の復活、教務事務補助職員の解雇撤回など、府民の福祉・医療・教育にかかわる問題です。
福祉医療費助成制度は、「維新案」では1割負担の導入などを軸に来年4月から新たな制度を実施するとしています。
7月28日に府と市町村との研究会で協議を開始し、盆前の8月7日には、ワーキンググループの会議が行われるなど、動きは早いです。
府が財政支出削減のために導入を狙う交付金化の問題では、市町村への補助金削減を許さない運動が重要です。府市長会も、福祉医療費助成制度のように、府として実施しなければならないものは交付金化すべきでないと主張していますが、私たちとも一致するものです。
文化施設などを守る取り組みでは、個々の施設の到達点を踏まえ、関係者との共同を広げ、それぞれの施設のかけがえのない値打ちを府民に知らすことを重視し、大阪の文化を発展させることに全力を挙げます。
開発の無駄を追及
大型開発については、安威川ダム、国直轄の淀川水系4ダム、箕面森町、新名神高速道路、阪神高速大和川線などについて不要性・不急性を一つ一つ明らかにし、中止を求めていきたいと思います。
淀川水系4ダムについて橋下知事は当初、近畿整備局長との非公開の会談で、国に追随するような方向を朗らかにしましたが、滋賀県や京都府の知事の動向や世論を見て、3府県知事で調整して意見を出そうとも言い出しており、流動的です。同和行政の完全終結の問題では、橋下知事は「部落差別は解決していない」と繰り返し主張し、「部落解放同盟(解同)」との懇談でも、「協力して解決するよう頑張りたい」と言っています。大阪人権センターに入居している「解同」系団体の退去などを求めて大いに論戦したいと思います。
国の税財源移譲を
今日の府財政危機をつくりだした最大の原因の一つは、「三位一体の改革」など国による地方財政の締め付けや、大企業への優遇税制です。現在も続いている法人税の2割減税をやめれば、年間約1千億円の税収増。国の補助金を「三位一体の改革」前の水準に戻すだけでも約800億円増えます。国に税財源移譲を求める本当のたたかいを重視します。
総選挙も見据えて
9月府議会では、福祉医療費助成制度の後退や、市町村補助金の交付金化による住民いじめを許さない立場から、大阪府本来の広域的役割を鮮明にし、文化を守る足がかりをつくりたい。福祉医療費助成制度についての府と市町村の動きを見ても、9月の市町村議会は非常に重要であり、現行制度守る世論を大きくすることが求められています。
また道州制をめぐる論戦や、国が言う「地方分権」は、実際には国が権限を握り、地方には少ししか財源を渡さないという、中央集権と国民いじめであることを明らかにしていきたいと思います。
それぞれの運動で、共産党府議団が取り組むだけでなく、文字通り超党派の運動になるよう努力したいと思います。そして、解散・総選挙も見据えて、橋下府政の下で福祉や医療、教育、文化を守るたたかいに全力を挙げる決意です。
2008年9月7日「しんぶん赤旗」より