大阪府の「財政再建プログラム試案」は撤回し、府民合意で再検討を
2008年4月14日
日本共産党大阪府議会議員団
4月11日、橋下新知事が任命した大阪府改革プロジェクトチームが、「財政再建プログラム試案」を発表しました。
「試案」は、以下に述べるように、府民の議論の“たたき台”とはなりえないものであり、撤回して、府民参加で再検討するべきものです。
地方自治体としての理念なし
まず、この「試案」では、「収入の範囲で予算を組む」という、予算と事業の削減目標だけで、府民の暮らしや営業をどう守るのかという、地方自治体としての理念が何もありません。また、府立青少年会館、国際児童文学館、弥生文化博物館など、大阪府しかできないような文化・歴史・教育の広域的施設もつぶし、府の役割を放棄しようとしています。部長等の意見交換会でも、「各部長からは『削減ありきで理念がない』と批判が噴出」(朝日4月11日付)と報道されています。
府民は、府の財政の立て直しとともに、府民生活も非常事態であり、暮らしの充実を強く願っています。「改革」というなら、府民の暮らしを守るために最善をつくすという大阪府の本来のあり方を真剣に追求しながら、そのためにも財政再建を府民合意ですすめるべきです。
府民サービスへの総攻撃
しかし、大阪府の「試案」は、私学助成、障害者・子ども・ひとり親などの医療費助成の削減、小学校1、2年の35人学級の廃止、高齢者や障害者の日常生活支援事業の削減・廃止、河川や道路の維持・補修、警察官削減など、府民の暮らしや安全に直接かかわる施策をのきなみ削減するという、府民サービスへの総攻撃となっています。
部長等の意見交換会でも、「教育を死なせるわけにはいかない。将来を担う子どもに今、投資をしないでどうするのか」(教育長)、「府民の命が削られることがないように議論が必要だ」(福祉部長)など、異論が続出したと報道されていますが、今後、市町村や府民から総反発を受けることは確実です。
国の交付税削減と大型開発の失敗−財政悪化させた原因にはメスを入れず
大阪府の財政をここまで悪化させた原因は、1990年代に莫大な大型公共事業を押しつけて大阪府を“借金まみれ”にさせ、さらに「三位一体改革」と称して昨年で500億円以上、府への財源を削ってきた国の責任と、財政が悪化しているなかでも借金を大幅に増やして大型開発にのめりこんだ歴代「オール与党」府政の失政です。
ところが「試案」は、「財政再建」を目標に掲げながら、財政悪化の原因の分析や解決策もなく、あげて府民だけに犠牲を強いるものです。
「試案」は、国に地方税財源カットを元に戻せとも言っていません。批判の強い「水と緑の健康都市」、「安威川ダム」、「槇尾川ダム」も見直しされていません。
府の約5兆円の借金は重大ですが、ムダな開発型プロジェクトにメスを入れ、歴史的な役割が終わった同和事業についても「終結」して、徹底して税金のムダづかいをただし、さらに国に必要な財政措置を求めていくなど、府民の納得と協力を基本に財政再建をすすめていくべきです。
日本共産党大阪府議会議員団は、府民の暮らし、安全、文化・教育施設を守り、府民合意で財政再建をすすめる本当の府政改革のために、幅広い府民各層と協力して全力をあげるものです。