2007年2月議会でのくち原亮議員の討論

2007年3月12日

 日本共産党のくち原亮でございます。わが党議員団を代表して、本議会に提案された諸議案並びに当面する府政の諸課題について、わが党の見解と態度を表明します。

 この間、政府は、空前の大もうけを続けている大企業には減税、ところがその一方で大変な暮らし、営業が強いられてし、る庶民・中小商工業者には庶民大増税という、貧困と格差をし、つそう広げる、逆立ち税制、庶民いじめの政治を推進しています。

 こうした国の悪政のもとで、大阪府民の暮らしも大変です。今、求められているのは、大阪府政が、こうした府民の暮らしを応援し、大阪経済の振興に全力を尽くすことであります。

 今定例会に提案された予算案の中には、35人学級の小学2年生での実施、「ものづくり支援税制」の創設や中小企業への制度融資目標を7000億円へと拡充するなど、府民要求に応えた施策が盛り込まれています。

 また、耐震診断・耐震改修費用の軽減・補助制度も創設されました。この点では、市町村との協議を進め、中小業者への仕事興しにつながるよう制度普及に努めることを要望するものです。

 さらに、子ども医療費助成制度の対象年齢引き上げについて、知事から、「研究する」との答弁がされました。就学前までの拡充を強く求めておきます。

 こうした一部施策の前進は見られるものの、その大枠は、「行財政改革プログラム案」の具体化であり、府民福祉が切り捨てられ、政府が進める「貧困と格差」の拡大にさらに追い討ちをかけるものとなっています。

 また、環境破壊のムダな大型開発や不公正・乱脈な同和事業の継続・推進は重大です。

 まず、ゼネコン奉仕の大型開発についてです。箕面の山を削って開発を進めている「水と緑の健康都市」は、赤字750億円を府民の税金で補填するものであり、トンネル工事によって川が枯れ、全国でも有名な観光の名所、「箕面の滝」の水量が減り、大きな問題となっています。

 保留地の処分によって捻出するとしている168億円にしても、その保証はなく、これ以上の税金投入を避けるためにも事業は直ちに中止すべきです。

 新年度予算でも、水と緑の健康都市関連事業に45億8000万円、安威川ダム建設関連事業に107億9000万円、阪神高速道路大和川線などの整備促進に71億円、国際文化公園都市関連事業に27億2000万円など、このような大型開発のムダづかいはきっばりとやめるべきであります。

 また、りんくうタウン商業業務ゾーンヘの府立大学の進出に伴う用地買収予算は、府が一般に売り出している1平方b25万円〜27万円という単価を上回る32万4200円という高値で、府が引き取ろうというものであり、府立大学の進出そのものが、破綻しているりんくうタウン事業支援であることも明らかです。

 次に、同和行政の問題です。包括外部監査結果報告でも、南大阪食肉市場株式会社への25億円の貸付金について、「再建スキームとこれについての支援全般の実効性や妥当性の観点から、問題がある」と指摘され、また、人権金融公社(旧同和金融公社)への貸付金残高48億円の問題についても、「運用利息からの回収のみに留めることは」「貸付金本来の趣旨目的からみて疑問」と指摘されているところであります。

 各自治体においても、不十分ながら、見直しが始まっています。ところが大阪府は、こうした流れに逆行し、新年度についても、部落解放同盟関連団体などへの補助金や委託金などとして81事業38億円が予算提案され、人権ケースワーカー養成事業という新たな「同和施策」が提案されるなど、部落解放同盟幹部いいなりの「同和行政」を推進しています。同和行政は直ちに終結すべきです。

 続いて、他の諸施策及び議案についてです。まず、国保と介護についてです。

 今年も続く、国保や介護の負担増から府民を守るため、市町村が実施する減免制度への府独自の支援策を講じるとともに、国に対し、改善を強く要望していくことが求められています。

 また、今年の4月から実施が予定されている、府営住宅における地位承継範囲の見直しは、長年住み慣れた地域から住民を追い出すものであり、到底容認.できるものではありません。府営住宅の新たな建設こそ求められています。

 議案43号の府立精神医療センターの再編整備の進め方については、再編整備そのものには賛成するものでありますが、PFI方式での再編整備に問題があるものです。

 議案44号及び議案91号は、1日最大給水量を253万トンから216万トンヘと引き下げたとはいえ、いまだに過大な水需要計画に固執したものであり、ムダな安威川ダム建設の根拠となっているものです。

 また、水道事業の構造的黒字は、高すぎる水道料金によって生じており、料金を値下げするなど府民に還元すべきであります。

 議案45号は、箕面有料道路の建設そのものがムダな自然破壊の開発事業を推進するためのものであり、しかも府民に更なる負担を押し付けるものです。議案49号の「大阪府子ども条例」は、条例中、子どもの権利が欠落しており、真に子どもの権利を保障し、権利の主体者として子どもが成長していけるものにふさわしい条例とはなっていません。議案52号の企業立地促進条例は、大企業1社を誘致するために、150億円もの補助金を支出するというものであります。

 このような、呼び込み型誘致の推進、補助金の額で誘致を競うのではなく、正規雇用の拡大などをしっかりと企業に求めるとともに、大企業優先を改め、中小企業施策の更なる充実を図るべきです。

 議案122号は、裏金問題での知事並びに副知事に対する給料減額の条例制定でありますが、今回の提案には、府が設置した外部調査委員会や内部通報制度窓口に、府の顧問弁護士で、検察庁の調査活動費流用疑惑をもたれた加納氏を起用したことなどの責任は含まれていないと知事は答弁されました。

 裏金問題そのものが重大ですが、知事の不透明な対応にも府民の不信は強まっています。

 また、南北家畜衛生所や呼吸器アレルギーセンターなどの全容も未解明であり、今回の案を最終処分とする府の態度は、到底容認できません。

 以上の立場から、議案1号、3号〜7号、16号〜19号、21号、29号、30号、42号〜45号、47号〜49号、52号、53号、62号、74号、77号〜80号、88号、91号、93号、95号、101号、102号、104号〜108号、113号〜116号、122号については反対、残余の案件には賛成するものです。

 また、諮問2号の授業料免除に関する処分に対する審査請求については、授業料減免制度が大幅に縮減され、経済的に極めて困難な生徒の学習機会が脅かされているものであり、同意できません。

 最後に、今議会に上程された請願は、そのいずれもが府民の切実な願いが寄せられたものであります。ぜひ、採択されることを心から期待し、討論を終わります。

 ご清聴有難うございました。