2007年2月議会での黒田まさ子議員の決算についての討論
2007年3月12日
日本共産党の黒田まさ子でございます。
日本共産党大阪府議会議員団を代表して、2005年度一般・特別および企業会計決算に対する見解と態度を表明します。2005年度一般会計の実質収支は197億円の赤字です。大阪府は2007年度に赤字再建団体への転落は回避される見通しと説明していますが、これは行財政計画案2004年度版の計画に比べて、4年間で税収の増が3305億円あったこと、人件費の支出が1401億円減ったことによるものです。
しかも府はこの間、生活保護世帯への夏・冬の一時金や、あいりん地区労働者の福祉見舞金を廃止し、府立高校授業料の減免制度の大幅改悪を強行、府立5病院の独立行政法人化を行いました。また関空2期事業や水と緑の健康都市開発など大型開発は続行する一方で、生活関連の道路や公園の整備事業費は削減しており、府民本位の財政再建とは、ほど遠いものです。
さて、いじめ、中退、児童虐待など子どもを巡る状況は深刻です。学校の教職員も、平均勤務時間が11時間をおおきく超えています。府は現場からの声に真筆に耳を傾け、せめて35人学級を小学校3年生と中学校1年生に広げ、生徒指導教諭の独自加配をさらに拡大すべきです。そして、学校警備員の配置を政令市を含めて2008年度以降も継続するよう求めておきます。また、子育ての経済的負担を軽減するためにも、子どもの通院医療費助成の対象を就学前まで拡大し、府立高校授業料の減免制度を改悪前の水準に戻すことを要求します。
次に雇用問題です。大企業が主導し、不安定雇用が急速にすすみ、偽装請負などの違法労働もはびこり、労働者から人間らしい生活を奪っています。府が決算年度までに67億円の補助金を出して誘致した企業122社の新規採用では、正規雇用は619人で、新規雇用全体の3割にしかすぎません。府内の企業に対し、正規雇用の拡大を要請し、偽装請負などの違法・脱法行為を一掃するための取り組みを求めます。
さらに大阪府が発注した公共事業の落札率が異常に高いことも明らかになりました。関西の談合を仕切っていたといわれる大林組などに元副知事など100人以上が再就職しています。大手ゼネコンが府の大型公共事業を97%を越す高値で落札していますが、そのゼネコンヘの再就職の紹介を府がしていることは、自ら疑惑の温床をつくっているのであり、大問題です。
大企業は4年連続史上最高の利益を上げていますが、高齢者は住民税の増税に加え介護保険料、国民健康保険料の負担増などで悲鳴を上げ、障害者は自立支援法による1割負担で、サービス利用の手控えや施設からの退所を余儀なくされています。
介護保険料・利用料を軽減している市町村に府が援助を行い、障害者の1割負担をやめるよう国に求めると同時に、府が独自にも軽減することが必要です。また中小製造業振興など大阪商工業の発展のための予算を増やすことを求めます。
「同和」問題では、2005年度に行った「人権意識調査」、化製揚への資金援助、「おおさか人材雇用開発人権センター」への補助金問題などは必要な施策ではありません。同和対策の特別法が期限切れしたにも拘わらず、引き続き「同和」に予算を投入することは、この除きっぱりとやめるべきです。
企業会計では、水道事業における過大な水需要予測による安威川ダム建設は不要です。
今年から独立行政法人となった元府立5病院の医師、看護師などの勤務実態の調査を約束されましたが、高度先進医療の推進に必要十分な診療体制を確保するよう求めておきます。
また精神医療センターに併設されている松心園の診察待ちに対して、医師の確保や診断と療育の府内ネットワークの確立にとり組むことを強調しておきます。
りんくうタウン事業の破綻は、府費投入によってそのつけを府民に回す一方、金融機関は大きく利益を得る結果となっています。府はここに至った責任を明確にし、これ以上の府費投入は絶対に避けなければなりまません。
さて、昨年12月、職員の匿名の投書により、新たな「裏金」問題が発覚しましたが、そもそも1997年の裏金問題の調査が、「裏金がどういう目的で、何に使われたか」などの真相究明がおこなわれないまま幕引きされたことや、「返還」の指示が口頭で行われるなど不十分な対応であったことなどが、新たな裏金発生の要因の一つです。
また職員の一部にある不適正支出の重大性についての認識の甘さは、福祉、教育切り捨ての一方で、必要のない同和事業を人権の名で継続し、無駄な大型開発に府費を投入、失敗すればまた府費で処理するという無駄遣いを重ねるうちに、公費支出に対して鈍感になっていることも要因となったと言えます。
今日までに、23の部署で6850万円の裏金の存在が明らかになりましたが、呼吸器・アレルギー医療センターや家畜保健衛生所、流通対策室については未だ全容が解明されていません。
さらに、今回の調査が、現金・帳簿類が見つかったところから調査に入ったために、あらかじめ現金や帳簿を隠蔽した部署があれば、調査が不可能になっており、まだ裏金が存在している可能性も残るとされていることから、決算年度である2005年度中の「裏金」発生の可能性を否定する根拠はありません。
従って我が党議員団は2005年度決算特別委員会に付託された全議案を不認定とすることを表明いたします。
知事及び3役を先頭に、「府民福祉の向上」という地方自治の根本に立ち返り、公正な府政運営を行うよう強く求めて、討論を終わります。