2月府議会で採択された意見書を紹介します

最低賃金制度に関する意見書

 最低賃金の目的は、最低賃金法第1条に明記してあるように「事業若しくは職業の種類又は地域に応じ、賃金の最低額を保障」することによって、「労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与する」ことである。

 すべての労働者の生活の安定や労働力の質的向上、事業の公正な競争を確保する上で、最低賃金の水準や制度の在り方と決定の仕組みについて、十分に機能しているのか、などを検証しながら、今日の経済・社会環境の変化を踏まえつつ、さらに最低賃金制度を拡充・改善させていくことは大変重要である。

 完全失業率や有効求人倍率などの数値は改善傾向にあるものの、新規の求人には、賃金をはじめとする労働条件が低く、雇用の不安定なパート、派遣、契約労働者や請負などが半数を占めている。

 現行の最低賃金は全国加重平均673円、大阪府地域最低賃金は712円である。これでは年間1800時間働いても、約128万円の収入しか得られなく、200万円の収入を得るためには2800時間以上働かねばならない。この賃金(月106,800円)で働く者は生活保護水準(大阪府内の1級地―1、20歳から40歳の単身者の場合、125,700円(生活扶助+住宅扶助、冬季加算除く))以下であり、まさしく「働く貧困層」である。

 これでは、われわれが日本国憲法第25条で保障されている「健康で文化的な最低限度の生活」を送る権利が損なわれかねない。

 よって国会および政府は、誰もが生涯を通じて「安心・安全・安定」のある暮らしが保障されるよう、最低生活保障のセーフティネットとして、最低賃金の現行水準を大幅に引き上げ、地域間格差を抜本的に是正するよう強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

2007年3月12日