府が事実上の「同和対策事業」継続
28事業に18億円、研修に参加159人
共産党府議団 終結を主張
2002年3月に国の同和対策特別事業が終結しているにもかかわらず、大阪府は一般施策という名目での同和事業や部落解放同盟(「解同」)とその関連団体等への補助金を継続、「人権研修」と称して部落解放同盟などが主催する集会などに庁内あげて参加していることが日本共産党府議団の調べでわかりました。党府議団は、「『同和』の垣根がとりはらわれつつあるなかでいつまでも不公正な同和行政を続けることは逆に差別をつくりだすことになる。同和行政は終わらせよ」と追及しました。
府は「同和間題解決に活用できる一般施策」として「人権相談事業」など28事業を実施。これらに2005年度は17億3100万円を計上、2006年度は18億5600万円を予算化しています。
相談1件7万円
解放会館などで実施している「人権相談事業」は人権相談への助言と情報提供、適切な機関の紹介、人権侵害の実態把握などを目的として実施するとしています。政令市、中核市をのぞく40市町村に府が半額補助し、2004年度は5609万円を支出。相談件数は1583件で一件あたり7万円(市町村負担を含む)の支出となります。
さらに「人権相談事業」と連携する事業として前出の28事業のなかに「総合生活相談事業」「地域就労支援事業」「進路選択支援事業」があります。「総合生活相談事業」は「解同」などが運営する解放会館などで実施され、府はこれら4事業に3億574万円を補助。市町村の負担を含むと6億1千万円以上になり、相談1件あたり2万4千円をかけていることになります。
「人権研修」は2005年度は「第36回部落解放・人権夏期講座」(3日間)など部落解放同盟とその関連団体が主催する集会や講座に企庁から少なくとも159人が参加しています。しかし、同和問題は解決されつつあるという立場の民主主義と人権を守る府民連合のとりくみにはまったく参加していません。
また「解同」系団体への補助として2006年度は、部落解放・人権研究所に4447万冊、大阪府人権協会に1億9940万円、大阪府総合福祉協会に2億4311万円を補助。これらは1999年度とほぼ同額です。
実態ないと追及
この問題を2月府議会でとりあげた日本共産党の宮原だけし議員と堀田文一議員は、「人権相談事業は他の相談事業と比べても補助額が高い。事実上、同和対策として行われている。『同和地区』は現在人口の流動化が激しく、実態的になくなっている。同和行政は終わらせるべきだ」(宮原議員)、「特定団体への補助金など主体性のない同和行政を改めよ」(堀田議員)と追及しました。
太田知事は「差別意識は解消されていないことから府の責務として事業を実施している」との認識を示し、「人権研修」も「幅広く人権について学ぶことができる場として有効に活用している。多いとはいちがいに言えない」などとのべ、これらの事業を継続していく考えを表明しています。
2006年3月29日付
「しんぶん赤旗」より