黒田まさ子議員の議案と府政の諸課題についての討論(要旨)
2006年3月22日 本会議場
日本共産党の黒田まさ子でございます。わが党議員団を代表して、議案並びに当面する府政の諸課題についての態度と見解を表明いたします。小泉内閣がすすめる規制緩和万能、弱肉強食の政治が、低所得者層を増大させ、社会的格差の拡大をもたらしています。大阪では、生活保護率も就学援助金の受給率も、全国平均の2倍以上、勤労者世帯の可処分所得も8年間で全国平均約1割の減少であるのに、大阪は2割減となるなど、府民の貧困化と格差の拡大は深刻です。いま求められているのは、府民生活を支えるセーフティネットを構築し、格差是正へ思い切った施策を打ち出すことです。
しかし、知事は相変わらず、大型開発を優先する一方、府立高校授業料減免制度改悪の強行など従来型の予算案を提出しました。そのため借金は増え続け、来年度末の府債残高は5兆円を突破します。知事就任以来の7年間で府の借金は1兆2千億円も増え、府民の福祉・教育施策は後退の一途をたどりました。
本年4月からの障害者自立支援法は命を削る負担を障害者に強いるものとなっています。我が党は府が独自に負担軽減を行うよう求めましたが、知事はこれを拒否しました。介護保険利用料の軽減も生活保護一時金の復活も拒否するなど、知事には府民あ暮らしの実態が見えていないのでしょうか。知事は「企業業績の好調」とか「民需主導の回復基調」などと述べましたが、大阪の中小、零細企業にとって、景気の回復は未だ実感できるものではなく、むしろ資本金100万円以下の企業倒産は増え、小規模商店の減少には歯止めがかりません。我が党が要求してきた「商店街生き生き元気づくり事業補助金」を含む商店街・小売市場振興関連予算や、「ものづくり基盤技術高度化支援事業補助金」などは一定評価できますが、さらに増額するなど、ものづくり支援、商業振興へ軸足をおいた施策展開が必要であり、大企業優遇の産業政策は転換すべきです。さらに、大阪農業の振興のために、ふさわしい予算を組み、担い手の育成をすすめ、主要農産物の供給率目標を必ず達成するよう求めておきます。
子育て支援については。我が党が求めてきた、自閉症児施設松心因」の900人に及ぶ診察待の解消について、医療チームの拡大や、自治体病院などの協力も得て、発達障害児の診断と療育のネットワーク確立へ一歩を踏み出したことを評価いたします。また乳幼児医療費助成について国に制度化を求めると同時に府においても、対象の思い切った引き上げを再度求めておきます。さて新年度から府立5病院が独立行政法人に移行します。人件費を削減し、業務のアウトソーシングを徹底して、5年間に60億円の不良債務を解消する中期目標が提案されましたが、効率優先の経営に走り、高度専門医療の向上など府立病院の基本的理念が損なわれることの辛いように求めておきます。平均余命も短く、がん死亡率や結核罹患率の全国ワースト1が続くなど大阪は大変不健康なまちです。その中で府は検診車「はと号」の削減と2年後の廃止を打ち出しましたが、保健予防行政の後退につながるものとして容認することは出来ません。いじめ、校内暴力、学級崩壊などの教育困難の広がりや児童生徒をまきこんでの犯罪の増加など、教育問題は深刻さを増しています。また教職員の健康被害も深刻です。
府教委の高校統廃合・多様化、通学区の拡大、授業料減免制度の改悪は、教育困難をいっそう拡大するものです。府立高校授業料減免制度縮減の撤回を求め、高校統廃合、通学区域の拡大などは行わず、小学校3年生と中学校1年生の35人学級の実現を求めるものです。府教委、私学課の幹部職員の不祥事については、関係者38人の処分が行われましたが、これで一件落着ではありません。府職員と私学関係者との不正常な関係が何故生まれたのか。綱紀保持の指針が何故守れなかったのか、その背景や原因について深く分析し、再発防止に向けての方策をとることが必要です。
関空2期工事、水と緑の健康都市開発など、1990年代から推進してきた呼び込み型」大型開発は府民にとってはなんの利益もなく雇用の拡大にもつながらず、莫大な借金だけを積み上げ、財政破綻の大きな要因になったことが明白になってきました。企業局は多額の負担を一般会計に押しつけ、廃止が提案されていますが、りんくうタウン事業などの開発が破綻に直面しているその責任の所在も明確にされておらず、我が党は当該議案には反対です。
府立大学生命環境科学部大学院のりんくうタウンヘの移転問題は、会期末に獣医学科のみの移転との修正があましたが、りんくうタウンヘのバイオ研究の新たな拠点形成などとしていた学部移転の理由付けも大学の自治の尊重も方便にすぎなかったことを物語っています。議会でこの問題を審議しているそのさなかに、裏で別の方針が探られていたこと自体、議会軽視も甚だしく、府政運営上の大きな汚点を残すものとなりました。我が党はもともと大学の移転はりんくうタウンの空き地を埋めたいとの思惑を優先させるもので、大学の発展にも役立たないものとしてりんくうタウンヘの移転には反対です。拡声器による暴騒音の規制に関する条例の一部改正案について、府警本部は「現行条例第1条、2条の定義は変わらない、従来通り通常の政治活動、市民運動、労働運動の拡声機の使用は対象外」「規制の対象は府民生活を脅かす暴騒音を生じさせる一部団体である」と明言されましたが、この答弁を守り、本条例を乱用することのないよう、全警察官に徹底するよう求めておきます。
わが党は指定管理者の導入には基本的に反対です。しかし、各議案め賛否に当たっては、1件ずつ慎重に検討したことを申し添えます。最後に、今年度の人権意識調査に引き続き、新年度には学力テストを利用しての、旧同和地区の子どもの学力調査を実施するとしていますが、それは教育委員会自身が新たな差別を引き起こすことになります。調査の中止を求めるともに同和問題の完全解決をはかるためには、いっさいの同和事業を終結することであることを厳しく指摘しておきます。
以上の立場から議案第1号、3号から7号、16号がら19号、27号、28号、30号、31号中4、32号中14、45号、49号、52号、53号、61号、62号、66号から68号、74号、77号、80号、102号、110号、112号、118号から123号、125号から129号、139号から142号については反対、残余の議案には賛成であることを表明して討論といたします。
ご静聴ありがとうございました。