また普通科高校つぶし 5校減の案を発表 府教委
大阪府教育委員会は5日、教育委員会会議を開き、「府立高校特色づくり・再編整備計画(全体計画)」にもとづき、新たに普通科高校を5校減らす「2006年度(第4年次)実施対象校(案)」を発表しました。9月府議会での論議を経て11月の教育委員会会議で決定します。
その内容は、▽新2学区の東寝屋川高校(寝屋川市)と四條畷北高校(四條畷市)を廃校し、東寝屋川校地に普通科総合選択制の高校を再編成する▽新3学区の池島高校(東大阪市)と清友高校(八尾市)を廃校し、池島校地に普通科総台選択制の高校を再編成する▽新4学区の鳳高校(堺市)を単独改編し、全日制単位制の高校にするとしています。
既存校の募集停止と新校の募集開始はいずれも08年度の募集時に行うとしています。
対象校に選んだ理由として、統廃合については、生徒減が著しく学校の小規模化が進んでいる第2学区と第3学区を対象にしたとし、それぞれの学区内で小規模化がすすみ、かつ、「読書活動優秀実践校に選ばれ、国際交流も熱心」(東寝屋川高校)など、特色ある教育活動がとりくまれていることをあげています。
会議では、廃校となる高校にいく予定にしていた生徒の進学先や通学の問題、特色ある活動の継続などのほか、「総合選択制などといわれてもわからないが、生徒にわかるのか」など質疑がかわされ、提案を承認しました。
“誰も望まない”高校統廃合抗議集会
子どもと教育・文化を守る大阪府民会議は5日、大阪市内で「許すな高校つぶし!高校統廃合報告集会・抗議集会」を開きました。
大教組の辻保夫委員長は、格差と貧困が広がるもとで高校つぶしに反対する運動は多くの府民の共感をうけるものになると強調。教育基本法を守りぬき、人権と成長を中心にすえた教育政策に転換させるたたかいとむすんで運動を広げていきたいとあいさつしました。
日本共産党の阿部誠行府議が、4日に府が発表した「府行財政改革プログラム(素案)」は府立高校授業料のさらなる引き上げや奨学金制度、私学助成の見直しなど父母負担を増大させ、子どもと教育を犠牲にするものになっていると指摘。「高校統廃合は府民も子どもも望んでいる方向ではない」と批判し、ともに奮闘する決意をのべました。
府高教の米山幸治書記次長が、同日開かれた府教育委員会会議で委員自身が「特色づくり」がわからないなかで高校つぷしがすすめられていることを指摘。ここ数年、公立高校進学希望者が増え、募集定員より8500人ほどがはみだし、統廃合が行われた当該市では全日制高校への進学率が低下していると指摘。「特色づくり」で選択科目を増やしながら教える教師が不足していることなど矛盾が広がっている現状を告発しました。
参加者から発言。新婦人府本部常任委員で東大阪市に住む北田初江さん(50)は、子ども2人がともに進学希望校が統廃合の対象校となったことをのべ、「将来したかったことが次々つぷされ、娘が『私ら何か悪いことし.たん?』と言いました。
子どもたちにこんな思いをさせるのは許せない」と語りました。
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府民会議は16日午後2時から大阪市天王寺区のたかつガーデンで「許すな高校つぶし!守ろう子どもたちの学ぶ権利憲法・教育基本法を守り生かせ9・16府民決起集会」を開きます。
抜本的見直しを 大教組、府高教委員長連名で抗議声明
新たな府立高校つぶしの案が発表されたことをうけ5日、辻保夫大阪教職員組合委員長と筆保勝大阪府立高等学校教職員組合委員長は連名で、府教委の決定に抗議し、「高校つぶし」の計画の抜本的見直しを求める抗議声明をだしました。
声明は、今年で8年目を迎える「高校つぶし」で、府立高校数が夜間定時制も含めて29校減り、「特色づくり」で全日制普通科高校は117校から79校へと38校も減ることになると指摘。長引く不況や私学助成の不十分さなどから全日制公立高校への志望が増え、「高校つぶし」とあいまって「公立の定員オーバー、一部私学の定員割れ」が続いており、今春の後期入試では「昼間の高校」の不合格者が約4200人にのぼっているとしています。
この7年間に府教委に提出された「高校つぶし」反対署名は88万人分にのぼり、高校生自身が裁判に立ち上がるなど幅広い運動がすすめられ、「再編整備計画」そのものの是非が府民によって厳しく問われているとしています。
父母や高校生、教職員は、すべての高校生がしっかりした基礎学力を身につける教育や授業料引き下げ、授業料減免制度の拡大など教育費負担の軽減、30人学級の実現などを願っていると指摘。府教委に対し、「高校つぶし」の計画を抜本的に見直し、こうした願いにこたえていく教育行政としての役割を果たすよう求めています。
2006年9月6日付
「しんぶん赤旗」より