大阪府知事
太 田 房 江 様
大阪府水道部経営・事業評価委員会は1月12日、府水道用水供給事業の水需要予測結果(案)を発表しました。府はこれまで、将来の府営水道の水需要予測を1日最大給水量253万トンとしていました。今回の案では、将来の水需要予測を上位1日最大給水量216万トンとしましたが、新たに渇水対策、複数水源、投資の有効活用などを持ち出し、水資源確保量を231万トンへと上積みしました。
しかし、現在の計画で確保ずみの210万トンに加え、臨海工業水道からの12万トンの転用が決定され、府工業用水の11万トンを活用すれば、233万トンとなり、新たな水源確保は必要ありません。
最近10年間で、1日最大給水量が200万トンを超したのは、わずか3年間だけで、水使用量は、全体として減少傾向です。にもかかわらず、安威川利水を続けることは、今年度末で府債残高が5兆円近くというきびしい財政状況のもと、無駄な公共事業をすすめることになり、到底容認できません。
安威川ダムは、1967年7月の北摂豪雨を契機に計画され、その後、利水機能が加わり、ダム地点の南を東西に走る有馬―高槻断層に沿った多数の断層も明らかになり、コンクリート重量式ダムからロックフィルダム形式に変更され、事業費は360億円から1400億円までふくれあがりました。
67年当時の安威川流域の整備状況はきわめて貧弱でしたが、被害は安威川本川の破堤によるものではなく、支川での破堤、内水被害が最大の原因でした。現在の安威川は堤防の断面も大きく、周辺の内水排除排水機場も、かなり充実してきました。治水について重要なことは、しゅんせつなど、河川の維持管理の日常的強化とともに、上流の佐保川の改修やポンプ場の能力アップを急ぐとともに、溢水しても破堤しない堤防に強化することです。
また、余野川ダムについては、国土交通省の当初計画が淀川水系流域委員会などの批判を受ける中で、国交省は川西市多田地区の浸水対策と称し、一庫ダムの利水容量振り替えの受け皿ダムに切り替えようとしました。しかし、浸水対策は、下流の川西市銀橋狭窄部の拡幅開削やその下流の河床掘削により急いで解決すべきで、ダムの理由にはなりません。実際、国交省は昨年末、浸水対策を銀橋狭窄部の開削などですすめる方針を発表し、利水振り替え案を撤回しました。
国交省は、再び「ダムは、下流域の洪水調節として有効」と、一度捨てた治水目的を復活させようとしていますが、無駄なダム計画に固執する態度です。ダム建設で、国に負担金の支払いを余儀なくされている大阪府としても、これ以上の事業継続は座視できないはずです。
したがって、わが党議員団は、次の点を緊急に申し入れるものです。
(1) 安威川ダム建設については事業を中止し、余野川ダムについては国に事業中止を求めること
(2) 安威川、猪名川各流域の支川も含めた河川改修やしゅんせつなどの維持管理を強めること
(3) 安威川周辺の内水排除排水機場のいっそうの能力アップに努めること