大型店来ては「街が死ぬ」・・
大正区の鶴浜沖埋立地
"市が計画"売れさえすれば"
"地元商店など反対"
大阪市港湾局が大正区鶴町に保有している鶴浜沖埋立地を、株式会社のアークランドサカモトに売却して、超大型ホームセンターや外食チェーンを誘致しようとしています。地元商店街や小売市場にとどまらず消費者・市民も「街が死ぬ」と危機感をもやし反対の声が広がっています。(大阪府・生島貞治)
大阪市大正区にある平尾本通商店街振興組合の二位博理事長は、「鶴浜に大型店舗が出来たら私らの死活問題や。大正区全体の商店街も大打撃、商店街自体が立ち行かなくなると思う」と話します。
売り場面積はドームの1・4倍
大阪市は、340億円もの税金を投入して造成した鶴浜埋立地40fのうち約10fを、新潟県三条市に本社を置くアークランドサカモトに売却を計画。売り場面積4万7000平方メートルの超大型店舗の2006年春開業をめざしています。
駐車場は3300台、売り場面積は大阪ドームの1・4倍、大正区の店舗面積の約8割を占める広さです。
商圏は、20`。大阪市内だけでなく遠く堺市や尼崎市まで影響を受けます。
同埋立地は元々物流基地として1979年に計画が始まり、1985年に工事着工。大阪港の貨物量の激減にともない、事業計画も大学や研究機関の誘致、植物園などの集客施設などと二転三転。
大阪市の財政悪化により2001年にはすべての開発計画を断念、民間に売却することを決めました。
この間、大正区商店街連盟(大正区商連)や大阪市市場連合、民主商工会などから5回9通の「超大型店に土地を売却するな」「計画は白紙撤回せよ」という陳情や請願が出されています。しかし、3月市議会には、はじめて条件付きで売却を容認するような陳情書が市商連から提出されました。これには、大正区商連から「市商連の常任理事会は流会している。この陳情は三役の独断。市商連の総意ではない」との「上申書」が各党代表に提出されました。
売却容認の陳情
日本共産党の石川莞爾市議は、3月25日の市議会建設港湾委員会でこの問題を取り上げました。「こうした混乱の要因は3月に開かれた市商連常任理事会で市経済局の担当係長が『市が進める(鶴浜)事業に対して一時凍結、白紙撤回という立場をとるのは大阪市にたてつき、対決することになる』と発言し、立場を利用して団体に圧力をかけている。絶対に許されない行為だ」と批判しました。石川議員は「計画の一時凍結も含めて継続審議」を主張しました。しかし、条件付き売却容認の陳情は、自民、民主、公明の賛成多数で採択されました。
国会では日本共産党の小林みえこ参院議員が、「中小商店に打撃を与えるような大型店に出店を野放しにしていいのか」(4月18日の決算委員会)と政府をただしました。
二位さんは、「大阪市の『鶴浜の土地が売れさえすればいい』という考え方に腹が立つ。市民の税金で造成した土地を大型店に売却する市の態度は許せない。商店街がなくなればお年寄りなどが買い物するところがなくなり、街自体が死んでしまう。そんなことはさせない。引き続き、運動を強めていく」と話しています。
2005年5月4日付「しんぶん赤旗」より