「りんクウゲートタワー」破たん
税金250億円投入
「バラ色の関空」をうたい文句に関西国際空港の対岸部を埋め立てて一大工業地帯、商業スペースを構成する開発構想にもとづいて進められてきた「りんくうタウン」。そのシンボル的建築物のゲートタワービルが、この4月1日に、会社更生法の適用を申請して破たんしました。関空の玄関口ともてはやされた同ビルは、結局民間企業に身売りすることになりそうです。
(嶋田 昇)
知事も認めた甘い収支見通し
同ビルを経営する第三セクターのゲートタワービル株式会社(竹山栄治社長)が設立されたのは1990年。ビルが開業したのは関空開港翌々年の96年10月でした。同社は、設立以来15年間、毎年赤字を出しつづけ、破たんは時間の問題とされていました。
共産党府議の追及に答弁
昨年12月府議会で、日本共産党の小林隆義議員が、太田房江知事に同ビルの経営状況について質問しました。
このとき太田知事は「多額の借入金と過剰な設備投資、甘い収支見通し等が原因となって開業以来厳しい経営が続いて」いると答弁。事実上破たんを認めていました。
同ビル社の資本金は150億円。社長は歴代府の幹部OBです。
大阪府の出資金が51億円で全体の34%、日本政策投資銀行(旧日本開発銀行)が15億円で同10%、みずほ、りそな、UFJ、三井住友などの金融機関がそれぞれ5億円余を出資。大林組、大阪ガス、関西電力など関西を代表する大企業が出資しています。
同ビルは、地上56階、地下二階で総工費650億円。大阪市のWTC(ワールド・トレード・センター)と高さを競い合い、最終的に同じ256bで落ち着きました。
着工した92年にはすでにバブル経済が崩壊していました。にもかかわらず、「片肺飛行」(府幹部)などとして当初計画の二本のツインタワービルを一本にして96年にスタート。「バブルの塔」との異名までつきました。
責任問われる自公民各党
同ビル社の負債総額は、463億円。内訳は、金融機関からの借入金335億円、府からの借入金22億円、ゲートタワーホテルの債務保証77億円。
同ビルは30億円から40億円で売却される予定で、府はこの間売却先を物色。外資系企業の名前も浮上していますが、さらに転売される可能性もあります。
太田府政は、250億円を超える巨額の負担金や貸付金を出すとともに府企業局を同ビルに移転し、テナントとして家賃を払ったり、パスポートセンターを設置してきました。
また、同ビルのホテルの維持存続のために、補助金・貸付金を出してきました。
開発構想から同ビルの建設、その後の「救済」の名による税金投入を太田府政とともに推進してきた自民、公明、民主などの責任が問われます。
日本共産党の和田正徳議員の話
日本共産党は当初から過大で府民に巨額の負担を負わせると反対してきました。議会でも2003年2月議会でビル会社への府の追加支援は認めないとの付帯決議を可決しています。太田知事は府費のさらなる投入をほのめかしていますが、追加支援は府民の納得を得られるものではありません。