大型開発優先と府民犠牲の太田府政
"関空2期事業・安威川ダム・阪神高速大和川線推進"
黒田府議の報告
25日開会する2月府議会を前に、日本共産党大阪府議会議員団が9日開いた府民団体との懇談会で、黒田まさ子政調会長が、2月府議会をめぐる情勢の特徴や課題について報告しました。その要旨を紹介します。
2月府議会は、「行財政計画案(2004年度版)」が予算として具体化される議会です。05年度予算案の規模は3兆1千億円(前年度比2%減)ですが、その特徴は「07年度・赤字再建団体転落の危機」と言いながら、関空2期事業では財界と組んで、安威川ダムや水と緑の健康都市では、「オール与党」や市町村を巻き込んで大型開発優先をいっそう強め、一方で府民や府職員に犠牲を強いていくということです。
補給金で黒字装う
関空2期事業で、05年度政府予算案で満額の531億円ついたことに太田知事は、記者会見で「逆転サヨナラ勝ち」とのべました。工事費・用地費その他上物の施設整備費は満額つきましたが、無利子貸付金などは満額つかなかったという問題があります。そのうち府の出資金・貸付金は、46億847万円、集客・利用促進事業で2億1700万円の予算をつけています。
関空の離発着回数は04年度で10万2500回と、伊丹空港に3年連続で負けています。全日空や日航が、一時伊丹から関空に便を移すという報道もありましたが、神戸空港が開港すればどうなるかわからず、一時しのぎです。
関空会社は03年末に62億円の赤字。04年度は10数億円の赤字。04年度は10数億円の黒字だと宣伝されていますが、国の補給金90億円があってのことです。にもかかわらず、結局予算をつけて推進するというのです。
阪神高速道路大和川線の一部区間は、採算が合わないのでやめることになっていましたが、工事の手法を変えて実施。府の負担が予定より300億円も増え、05年度予算案では65億6千万円も計上されます。
安威川ダムは昨年5月府議会で大きな問題となり、用地買収の凍結を求める決議がまとまりかけましたが、与党会派の一部から異論が出て白紙になり、結局、地元の府議や自治体を巻き込んで復活させ、05年度も63億円以上の予算が組まれます。水と緑の健康都市も凍結を解除し、PFI手法で、土地区画整理事業など合計287億円を投入することになりました。
際立つ大企業優遇
大企業への優遇ぶりも際立っています。太田知事は「大阪ハイテクベイプラン」を発表し、「21世紀をリードする内外の先端産業を戦略的に誘致する」と言いますが、結局は失敗したベイエリア開発の焼き直し。二色の浜産業用地に進出する三洋電機に10億円の補助金を出しましたが、今回は補助金を最高1社30億円に増やし、府の土地だけではなくて、新日鉄の工場跡地など企業の所有地にも対象を広げる構想です。
一方、福祉予算は04年度より実質2・4%減。生活保護世帯への夏期・歳末一時金は廃止する。教育では04年度170人残っていた府単独加配教員を全廃し、私立高校経常費助成は10年間単価を据え置いたまま。府立大学の授業料も1万5千円値上げする方向。災害が続く中、河川・道路の補修など一般建設事業予算を1割カットされるのは重大です。
府が本来、広域的・専門的に責任を果たすべき大学や病院、研究施設を地方独立行政法人にし、経済効率一本の運営に委ねる動きが強まっています。ことし4月から府立大学の法人化がすでに決まっており、府立5病院は来年4月からの独立行政法人化へ2月府議会に法人機構設立のための定款が出されます。
各市町村でも指定管理者制度が問題になっていますが、2月府議会には近つ飛鳥風土記の丘や博物館、漕艇センター、臨界スポーツセンターなどに導入する条例が提案されます。
府民要求の反映も
05年度予算案には、皆さんの運動や日本共産党の頑張りが反映したものもあります。津波ステーション(仮称)の整備、河川堤防の安全点検などの防災対策。商店街活性化のための懇話会には、大阪消団連や商店街代表なども入ります。中小企業制度融資の改善など若干の前進もあります。
障害者の小規模作業所の法人化に必要な基本財産1千万円の貸付金制度(利子2%)も創設。一方で法人化しない施設に補助金を削減するというマイナス面もあります。乳幼児健診の未受診者の全数訪問も実現しますが、民生委員の協力で実施するという問題があります。枚方の松心園は全国で4ヵ所しかない自閉症児のための施設ですが、診察の待機者が750人もある中で、診断と療育体制が整備されます。
「行財政計画案」の全面実施へワーキンググループをつくり、行財政改革有識者会議委員や金融機関の代表も加わり作業をします。計画案そのものが財界主導でつくられてきたわけですが、具体化も財界主導。まさに府政の変質・解体を招くもので許せません。皆さんとともに大きな運動を広げて、具体的な府民要求実現のために、今議会でも全力を尽くす決意です。