採択された意見書



府議会は21日の本会議で10件の意見書をいずれも全会一致で採択しました。意見書の内容を紹介します。



国から地方への税源移譲に関する意見書


「三位一体の改革」は、真の地方自治の確立に向けた「地方分権改革」でなければならない。
 しかしながら、改革の初年度である2004(平成16)年度は、国の財政再建のみを先行させた、地方分権改革には程遠い内容となり、国と地方の信頼関係を著しく損なう結果となった。
 こうした中、今年6月、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」が閣議決定され、政府から「三位一体の改革」に関連して、概ね3兆円規模の税源移譲を行う前提として、地方公共団体が国庫補助負担金改革の具体案を取りまとめることを要請された。
 これを受けて、8月24日、地方六団体が国に提出した「国庫補助負担金等に関する改革案」は、要請された3兆円規模の税源移譲に見合う国庫補助負担金廃止の具体案にとどまらず、税源移譲や地方交付税のあり方などに及ぶ幅広い提案を伴うものである。
 特に税源移譲については、福祉・教育に係る国庫補助負担金等について、確実に10割の税源移譲を行うべきことや生活保護費負担金等の補助率の切下げなどの理念なき負担転嫁を排除することなど、国が昨年度と同じ轍を踏むことのないよう釘をさすものとなっている。また、税源移譲に伴い財政力格差が生じる場合には、確実な財源措置が必要であり、とりわけ義務教育費については、教育の水準を担保しつつ地方の実情に合った教育を提供するためにも、国の役割と責任を踏まえた財源措置に配慮を求めている。このように「改革案」は、「三位一体の改革」を真の地方分権改革として推進し、国と地方の信頼関係を回復するための具体策を示すものである。
 よって国会および政府は、「三位一体改革」が、真に地方自治と地方財政の拡充に資するものになるよう、抜本的改革を行うことを強く要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


私学助成の充実に関する意見書


私立学校は府内高校生の約4割、幼稚園児の約4分の3を受け入れるなど、公教育の重要な一翼を担っており、特色ある教育の実践を本旨とする私学の果たすべき役割は、今後ますます大きくなっていくものと考えられる。
 一方、私学助成については、生徒・児童・園児の減少等私学を取り巻く情勢が依然として厳しいものであることから、教育条件の維持向上、保護者負担の公私間格差是正および経営の安定化を一層進めるために、引き続きこれを充実させることが必要である。特に、昨今の景気低迷の中、保護者負担の公私間格差が大きいために、府民の自由な学校選択が阻害されている状況である。
 よって国会および政府は、私学助成の重要性を認識し、公私立問に串ける国の財政措置の格差が大きいという現状に鑑み、都道府県が私学助成を大幅に拡充できるよう、地方交付税措置等において万全の配慮を行われたい。とりわけ教育の機会均等の保障や公立私立を問わない自由な学校選択を支援するために、授業料軽減助成に対する必要な財政措置および高校奨学金の都道府県移管に伴う交付金措置の拡充や、教育費の保護者負担の軽減のために授業料減免事業臨時特別費制度の拡充等を実現されるよう要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

シベリア抑留者未払い賃金の支払いを求める意見書


第2次世界大戦終結と同時に、中国東北地区、朝鮮半島、サハリンにおいて、スターリン体制時代の旧ソ連は、ポツダム宣言に違反し、60万人以上の日本軍捕虜をシベリア各地へ強制連行した。飢餓、酷寒、重労働の三大悪条件、非人道的扱いのため6万人をこえる尊い命が犠牲になったといわれている。
 しかも、ようやく帰国した抑留者には「シベリア帰り」のレッテルと、就職の機会さえままならない厳しい現実が待ち受けていた。
 現在、平均年齢80歳に達する抑留者の方々の戦後補償、とくに強制労働に対する未払い賃金を求めて取り組みが行われている。国際慣行及び1949(昭和24)年のジュネーブ条約で、強制労働などの未払い賃金は、母国が決済する責任を負うとされている。
 日本政府は、1953(昭和28)年にこの条約を批准し、南方からの帰国者には即時支払いを行っており、シベリア抑留者への未払い賃金問題は早急に解決されねばならない。
 よって、国会および政府は、シベリア抑留者への未払い賃金の支払いを解決するよう強く要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

ノーマライゼーション推進の観点に立った特別支援教育の制度化を求める意見書


2003(平成15)年3月に出された「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」を踏まえ文部科学省が検討を進めている「特別支援教育」の制度化は、世界の障害児教育め動向に合わせて、わが国における障害のある児童生徒に対する教育制度を根本から見直し、将来的に共生の教育へと大きく転換しようとするものである。
 今後、すべての幼児児童生徒が「ともに学び、ともに育つ」ことを基本とし、一人ひとりの二ーズに応じた教育の取り組みが一層期待されることから、小・中・高校での障害児童生徒の教育保障が強く求められていくものと予想される。
 そのため、教育条件整備や教育課程の特例の拡大、普通学校教員の能力向上など、小・中・高校の制度改革を行うとともに、特別支援学校についても、学校施設の改善や専門職種の配置のための法整備など、現行の教育水準が後退することのないよう十分な配慮が必要である。
 よって国会および政府は、ノーマライゼーション推進の観点から下記の事項について実現されるよう強く要望する。

                

一 地域の実情に応じて、重度重複障害、LD(学習障害)など軽度発達障害や医療的ケアを必要とする児童生徒が小中学校でも教育保障されるような人的保障を制度化すること。また、高等学校においても実態に即して特別支援教育が可能となるよう、特別支援教室の設置をするとともに、教育課程の特例を認めること。
二 現在の養護学級・学校の条件整備をすすめ、盲・聾・養護学校を一元化し特別支援学校化するにあたっては、学校施設改善のための補助金交付を行うこと。特別支援学校のセンター的機能については、小・中・高校への専門職種の派遣などが可能となる法令制度などの整備を行うこと。
三 教員免許法の改正にあたっては、盲・聾・養護学校免許の総合免許化を行うこと。加えて小・中学校教諭の普通免許状取得にあたっても、障害児教育関係の単位を必履修にするなどの制度改革を実施すること。
四 障害者の自立支援をめざす視点での共生の教育を推進するため、学校教育に医療・福祉関係者の協力が得られるよう、関係省庁が十分な連携牽はかること。
 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

中国からの訪日団体観光査証に関する規制緩和などを求める意見書


 観光は21世紀のリーディング産業のひとつであり、関連産業の裾野が広く、大きな経済波及効果や雇用創出効果が期待できる。世界の各国・各都市においても、先を争うように国際観光の振興に力を入れているが、わが国においてもようやくビジット・ジャパン・キャンペーン」を展開し、その動きが出始めてきている。
 このような状況の中で、大阪が外国人旅行者の誘致で勝ち残っていくためには、大阪との歴史・文化のつながりが深く、経済成長が著しい中国との間で観光交流を進め、世界の成長センターと言われる中国からの観光客を大幅に増やすことが重要である。
 中国からの訪日団体観光は、2000(平成12)年9月に始まり、査証の発給地、域も北京市、上海市、広東省に江蘇省、漸江省、山東省、遼寧省、天津市が追加されたところであるが、中国全土にまで拡大されていないため、より一層の中国からの訪日観光を促進する上で大きな障害となっている。また、欧州では、今年9月に中国からの団体観光旅行が可能となる地域が大幅に拡大されたことから、欧州はわが国にとって大きな脅威となる。
 折しも大阪府においては、2007(平成19)年度までに大阪への外国人旅行者数を200万人程度に増やすという目標を掲げ、中国をはじめとする東アジアをターゲットにVISIT OSAKAキャンペーン」をオール大阪で展開している。
 中国からの訪日団体観光査証ヒ関する規制緩和を進めることは、こうした観光キャンペーンの成功に大きく寄与するとともに、中国と大阪・日本との経済交流・相互発展を促進するものである。また、日本の大使が在日の各国の大使に比べ、観光客誘致に熱意を示しているとはいえない状況を打破し、「観光大使」としての役割を十分発揮するためには、政府内に「観光局」を設置すべきであ)る。
 よって政府は、アジアや中国との平和外交を進めるとともに、中国における訪日団体観光査証の発給地域をさらに拡大するよう一刻も早く規制緩和を実施し、政府内に観光局を新設することを併せて強く要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

高齢者虐待防止に関する法整備を早急に求める意見書


 高齢化が進展する中で、高齢者が社会の重要な一員として尊重され、長寿を喜びながら自立した生活を送れるような社会を構築する必要がある。
 しかしながら、近年、高齢者に対する身体的・心理的虐待、介護や世話の放棄・放任等が、家庭や介護施設などで表面化し、社会的な問題となっている。
 こうした高齢者虐待は、住民の目の届きにくいところで起きることから、その実態把握が困難であり、しかも、児童虐待や配偶者間の暴力のように防止についての法律などが整備されていないのが現状である。
 また、高齢者への虐待は、介護者の精神的・肉体的負担に起因することが多く、介護者の負担を軽減するための支援制度の充実など地域における総合的な介護サービス基盤の拡充が急務である。
 よって国会および政府は、地域における総合的な介護サービス基盤の拡充、高齢者虐待防止に関する相談センターの設置、通告制度および保護ルートの確立などを盛り込んだ高齢者虐待防止に関する法律の制定ならびに介護者への支援制度の充実強化を図ることを強く要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

地域雇用対策の改善・強化を求める意見書


 景気・経済状況は持ち直し傾向にあるといわれながら、完全失業率は依然高い水準で推移しており、倒産、自殺者の増大など、厳しい経済・雇用情勢が続いている。
 また、中小企業をはじめ地域経済の停滞は一層深まり、雇用情勢は改善の兆しを見せていない。
 そのなかで、国が2001(平成13)年度において創設した「緊急地域雇用創出特別交付金事業」は、総額4300億円、2004(平成16)年度末までの予定で実施され、一定の効果を上げているところであるが、制度上の制約が多く、その制度の改善が地方公共団体などから求められている。
 よって国会および政府は、地域の実情に即した雇用対策の一層の充実を図るため、下記の事項について格段の措置を講じるよう強く要望する。

一 地域の雇用情勢に即した介護・医療・教育・環境・防災など公的分野での雇用拡大、新産業の育成やNPOなどの振興による雇用創出、「緊急地域雇用創出特別交付金」制度の有効活用のため、「地域雇用推進会議」等の設置を推進すること。
二 地域の実情に応じた雇用創出を推進していくため、現制度の継続または新たな「緊急地域雇用特別交付金」制度を創設し、雇用期問の延長など真の中期的雇用創出事業へと切り替え、実施主体である地方自治体が活用しやすいようにすること。
 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

東南海・南海地震の発生に備えた地震防災対策の充実強化を求める意見書


 先月、南海地震の30年以内の発生確率が50%と発表された。東海地震については、予知による被害軽減を目標として観測・調査体制が整えられている。
 ところが東南海・南海地震については、同じプレート型の地震であり、被害想定は、東海地震を上回るにもかかわらず、予知のための観測・調査体制が整備されていない。
 このたび東南海・南海地震の特別措置法に基づき、府内38市町村も防災対策推進地域に指定されたが、学校や消防署などの耐震改修に際し、補助率を高くする財政措置がとられていない。また、津波対策として水門や防潮堤、防潮鉄扉などを早急に整備することが求められている。
 よって国会および政府は、早急に東南海・南海地震の予知のための観測・調査体制の整備と地域防災拠点の確保のための支援の強化とともに、総合的な地震対策を充実強化するよう強く要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

日米地位協定の見直しに関する意見書


 本年8月、沖縄県で来軍基地所属の大型輸送ヘリコプターが大学構内に墜落する事故が発生した。これに対し、米側は、大学内に無許可で立ち入り、沖縄県警察が要請した日米地位協定に基づく現場検証の同意を拒否するなどの誠に遺憾な対応を取り続けた。
 これまでも、幾度となく米軍航空機の墜落事故や米軍人・軍属等による事件・事故が発生してきた。その中には日米地位協定の不合理さが指摘されたものも散見されながら、政府は運用改善でその場をしのいできた。
 しかしながら、日米地位協定は1960(昭和35)年に締結され、一度も改定されないまま、既に44年が経過した。
 この問に、日米を取り巻く情勢は大きく変わってきており、もはや、その運用を改善するだけでは、米軍基地をめぐる課題の解決は望めない。米軍基地に起因する事件・事故等から、国民の生命・財産と人権を守り、良好な生活環境を確保するため、日米地位協定を抜本的に見直す時期にきている。
 よって国会および政府は日米地位協定を速やかに見直すよう強く要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


北方領土の早期返還に関する要望決議


 歯舞群島、色丹島、国後島及び択捉島のいわゆる北方領土の返還実現は、戦後60年になろうとしている今日も、なお変わることのない国民全ての願いである。
 この間、政府は、「北方領土問題を解決して平和条約を締結し、真に安定した友好関係を確立する」との外卒方針に基づき、ロシアとめ交渉を行ってきたところである。
 しかしながら、現在においても、依然として北方領土問題の解決の目途すら立っていないことは、誠に遺憾である。
 よって政府は、ロシアとの交渉をより一層積極的に進め、北方領土の早期返還と平和条約の締結を実現し、日日両国問の共の安定した友好関係を確立するため引き続き全力を尽くされるよう強く要望する。



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日本共産党大阪府議会議員団