インターネットデータセンター
不透明な府の取得経緯
みずほ銀、新日鉄に利益誘導か
府立インターネットデータセンターを視察する和田府議(右)=10日
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昨年7月にオープンした大阪府立インターネットデータセンター(eおおさかiDC)は、立地場所の選定や運営形態、建物の取得など、設立の経緯をめぐって多くの疑惑がもたれています。日本共産党の和田正徳府議が16日の府議会決算特別委員会で府を追及しました。
府議会委 和田議員が追及
不必要な施設をすべて引き取り
「eおおさかiDC]は、府によると、IT産業や電子自治体などへ安全かつ最先端のネットワーク環境を24時間365日体制で提供する公設民営施設。2002年2月に総務省が募集した「自治体ネットワーク施設整備事業」の貸し付け対象事業に府が応募しました。
所在地は大阪市浪速区幸町2丁目。旧富士銀行(現みずほ銀行)の計算センターだった地上8階地下1階の築30年近いビルに入っています。
この建物と土地の売買契約は、02年11月28日に締結されています。府の購入金額は42億6900万円余。建物・土地とも、府が購入する5ヵ月前にみずほ銀行(旧富士銀行)から新日本製鐵(本社東京)に転売されていますが、登記簿では、新日鉄でなく、みずほ銀行から府に所有権が移転されています。
新日鉄は、機器や施設を含むこのビルを旧富士銀行から買い取りました。府は新日鉄から、実際にはまったく不必要な旧富士銀行の機器・施設を含むすべてを引き取り、それを撤去し、設備はすべて更新しました。
銀行にとって不要な資産だった建物を府民の税金で買い取り、みずほ銀行と新日鉄をもうけさせてやったのではないか、との疑惑がますます深まりました。
看板がなく、何の建物か外からはわからない府立インターネットデータセンターのビル(中央)=大阪市浪速区
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売買契約書の議会提出要求
太田房江知事は02年1月4日の記者会見で「国の事業で」といっていましたが、和田府議は、事業費43億3千万円のうち国費は14億4千万円でしかないことを紹介。国の補助制度を利用した府の事業にほかならないとのべました。
この記者会見で、太田知事は「(立地は)基本的には大阪市内」と答えています。しかし、立地を決める調査を府が財団法人関西情報センターに委託したのは、記者会見のあとの1月23日。
iDCの運営方針は、各社の提案をコンペ方式で決めましたが、コンペ前の同年6月26日の府建設事業評価委員会で、「既存の民間施設などを買収」「運営は公共団体である財団法人に管理委任」など、実際にとられた運営方針と同じ内容を検討して「実施は妥当」と判断していました。
また、コンペの時点で物件を所有しているか、あるいは所有予定であることがコンペ参加の条件ですが、新日鉄からその確認書をとっていなかったことも判明しました。
和田府議は、「買い取りの経緯と内容は、透明性と公平性が何より求められる」と指摘。新日鉄がみずほ銀行から買った価格を明らかにするよう求めましたが、府側は「承知していない」と回答を拒みました。和田氏は「この財政危機のときに、府事業がこんなに不透明では府民は納得しない」と批判し、みずほ銀行・新日鉄間の売買契約書を議会に提出するよう求めました。