りんくうタウン事業会計破たん
定期借地契約導入したが
一般会計から2000億円持出し
関西国際空港の対岸部・泉佐野市に開発されたりんくうタウン事業が計画通り進まず、破たん寸前になっています。府はこれまで、総事業費の見直し、土地の分譲価格の値下げ、借地方式の導入など企業誘導策を実施してきましたが、分譲での契約率は64.2%、定期借地契約を入れても契約率は64.3%にとどまっています。
太田房江知事は、2001年8月に出された「企業局事業の収支見通しと会計のあり方」で、りんくうタウンの総事業費6408億円にたいして、収入は3619億円(残1564億円)で、不足額2789億円と見積もる収支を発表しました。
太田府政は、この不足額に対し、道路や緑地などを取得することにより財政から848億円もの援助をしましたが、なお1941億円が不足しています。この穴埋めをりんくうタウンの未分譲地の売却益でまかなう計算です。
9月議会でこの問題を取り上げた日本共産党の和田正徳議員は、府はりんくうタウンの用地を100%埋め尽くすといいながら、定期借地方式を導入したことを示し、20年間から30年間の定期借地制度を導入すれば、当初見込んでいた残りの1564億円の収入がすべて入るのは、20年から30年後になることを指摘しました。
府は、りんくうタウンの分譲価格を商業業務ゾーンで当初の1平方b当たり131万円から36万円に減額しましたが、近隣の商業地が2001年で16万6千円、2004年には10万5千円まで下落しています。和田議員は、府が設定した価格では売却できず、分譲収入の見通しが狂う可能性が大きいことを指摘。たとえ100%埋まったとしても、この事業の失敗により、さらに府の財政に過大の負担を背負うことになることを明らかにしました。
太田知事は、2001年8月の事業見直しで、「おおむね10年で企業立地を完了させるということの当初の目的はなんら変わっておりません」と強弁する一方、「定期借地の終了時点を目途にして企業立地を完了させるということに目的を絞ってやってまいりたい」とも答えるなど答弁に一貫性がなくなっています。
和田議員は「定期借地方式で企業立地が進んでもその契約期限が終わればふたたび空き地が出現する。企業局事業では、2千億円をはるかに超す一般会計からの持ち出しで府民に大きな負担を強いています。太田知事はこの責任をどう感じているのでしょうか。このうえ、行財政計画改定素案で府民犠牲に追い打ちをかけている。府民の納得はとうてい得られない」と話しています。