利水中止の方向へ
安威川ダム建設で府水道部
治水・利水を合わせた多目的ダムとして建設をすすめている安威(あい)川ダム(茨木市・総事業費1400億円)について、大阪府が利水(水源)機能をはずす方向ですすめていることが9日までにわかりました。
近年、大阪府の水需要は府の予測(「府営水道第七次拡張計画」1979年策定)を大きく下回り、4回にわたって需要予測が下方修正されてきました。
淀川水系全体で水は余っており、大阪府建設事業評価委員会でも今年2月に出した意見具申で、「余剰工業用水の転用をはじめ淀川流域全体での水需要の見直しの動き」を理由に「水需要面からの必要性を認識できない」などとして同ダムの利水の必要性を認めませんでした。
こうしたことをうけ府水道部では現在、大阪臨海工業用水道企業団の水利権、府工業用水道事業の余剰水利権の転用により丹生ダム、大戸川ダムの利水参画を見直すとともに、府建設事業評価委員会の意見具申をふまえて水需要予測を見直し、安威川ダム、紀ノ川利水の中止を視野に入れた新たな水源計画をつくるとしています。
住民運動の成果、総合的治水対策を
日本共産党の宮原威府議団長の談話
安威川ダムは地元住民や専門家から建設反対の強い声が従前からあがっており、今回、府がダム利水中止の方向を出したことは住民運動や党府議団の成果です。
しかし、府はいま、治水の必要性を強調し、建設を継続しようとしています。過去120年間で最大の豪雨となった1967年の北摂豪雨の被害でも安威川本川(ほんせん)の決壊による被害はまったくなく、内水被害(降った雨が川に流入できずにたまって起きる被害)と支川の溢水によるものでした。
府はそれ以降、安威川の河道の掘り下げなどを340億円を投資してすすめており、現在の安威川の治水能力では67年の豪雨の1・2倍の雨が降っても対応できることは府が認めています。ダム建設は中止し、安威川と支川を含めた流域全体の総合的で個々の河川に応じた具体的な治水対策こそ必要です。