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議事録

環境産業労働常任委員会(2023年10月17日) 石川たえ府議の知事質問


・賃上げ支援について

◆(石川たえ委員) 日本共産党の石川たえです。
 賃上げ支援について、まずお聞きをいたします。
 委員会でも申し上げましたが、世界主要国と比べると、日本の最低賃金の低さが今鮮明になっております。今月から最低賃金は千六十四円となりましたが、物価高騰の下、七月の大阪の実質賃金指数は前年同月比マイナス三・六%です。最賃は引き上がったものの、物価高騰に対応できていないのが実情です。労働者からは、物価は上がり続けるのに給料は上がらない、野菜も高い、カップ麺まで高い、どうやって生活すればいいのかと悲鳴が上がっております。事業所が賃上げに踏み出せるよう、各補助金や支援を行っていることは承知をしておりますが、大幅賃上げにはつながっていません。
 そこで、改めて知事にお伺いをいたします。今、物価高騰に対応する大幅賃上げは必要だとお考えでしょうか。

◎知事(吉村洋文) 物価の高騰が続く中、賃上げは必要だと思っています。企業が賃上げを継続的に行えるような環境整備が重要だと思います。

◆(石川たえ委員) 賃上げが必要やというふうにお考えであるのであれば、国に要望するだけではなくて、大阪府が率先して独自の賃上げ施策を進めるべきときだと思っています。
 コロナ禍において、非正規労働者、女性労働者に矛盾が集中し、その背景に低過ぎる最低賃金の問題があると言われています。都留文科大学名誉教授の試算によれば、最賃の全国平均の一・一倍以下で働く人の割合は二〇二〇年に一四・二%となり、十年間で二倍となっております。時給千五百円未満で働く人の割合は、女性正社員で四九・八%、最低賃金の低さが男女の賃金格差を助長していると指摘をされています。
 この間、労働組合で取り組まれている最低生活費試算調査では、若者一人が人間らしく暮らしていくために必要な最低生計費は、月百五十時間労働として、全国どこでも月額二十二万円から二十四万円、時間額で千五百円から千六百円程度となることが明らかになっています。
 今、岸田首相は、最低賃金を二〇三〇年半ばまでに千五百円にするという新たな目標を表明していますが、これでは間尺に合わないのは明らかです。低賃金状態をこのまま続ければ、リーマンショック後の失われた二十年を繰り返すことになりかねない、こういう指摘もあります。政府の対応待ちにならず、大阪で働く労働者の賃金底上げ支援を行うことが求められます。
 府内パートタイム労働者の平均時給は一千三百四十三円です。この時給を千五百円に引き上げた場合、引上げに伴う社会保険料、労働保険料の事業主負担増は、労働者一人当たり約四万円を超えます。この半分を大阪府が賃上げ促進への補助制度として創設したとして、かかる費用は約二百億円です。やってできない取組ではないと思っています。社会保険料の事業主負担を減らす、また、処遇改善をはじめ、賃金そのものへの直接支援を行うなど、いずれにせよ、物価高騰下で労働者が生活できる一助となる助成制度を大阪府として独自に創設するべきではないでしょうか。見解を求めます。

◎知事(吉村洋文) まず、国におきましては、中小企業等に対して、賃上げ促進税制に加えて、生産性を向上させながら賃上げを行った中小企業等に対し、助成金の支給等々、様々な支援策が講じられています。
 大阪府としては、国に対して、賃上げに向けた支援策の強化と関連の予算の拡充を要望しているところです。また併せて、賃金を実際に支出するのは経済界ですから、経済団体に対して私から直接賃上げをしてくれという要望もしています。協力依頼を関西経済界に、五団体ですか、実際しているところです。賃上げは、全体として昨年と比べると倍ぐらいの賃上げ、上がり率は倍ぐらいになっているという状況で、やはり賃上げは必要だと思っていますし、実際の企業に対して賃上げの要請をしています。
 また、併せて、中小企業の場合は、特に価格転嫁できないと、なかなか賃上げも難しいと思いますから、下請法関連も含めて、価格転嫁について、きちっとそういったことができる環境をということも経済界に要望しているところであります。その環境を整えることが重要だと思います。税だけで賃上げを維持するというのは、なかなか現実は難しいのではないかと考えています。
 現在、府において補助制度の創設というのは考えていませんが、今後もやはり賃上げというのは必要だと思っていますから、経済界に対する働きかけをしていきたいと思います。

◆(石川たえ委員) 国への働きかけや経済界への賃上げの働きかけというのは非常に大事なことだと思いますので、それを否定するつもりは全くないんですけど、物価高騰が収まる兆しがない下で、労働者の人はもう生活できないという悲鳴が上がっているときに、直接的に賃上げの支援をしていくというのが今求められていると思っています。
 厚労省の調査によると、離職理由は、十九歳以下が、労働時間、休日等の労働条件が悪かった、二十歳から二十四歳は、給料の収入が少なかった、こういうふうに答えているわけです。今、若者だけではなくて、全世代がこの物価高騰の中で暮らしに本当に必死になっている中で、賃上げは必須やということは知事も私も一致した見解やと思うからこそ、国や企業に要望するだけではなくて、大阪府が大阪で働く労働者をしっかり守っていく立場に立って助成制度をつくるべきだと思いますが、知事、再度聞きます。助成制度をつくることはできませんか。

◎知事(吉村洋文) 事業者が新しい事業をするため、中小企業が新しい事業を展開していくため、つまり生産性を高めて、そして賃金を上げていくために、やっぱり生産性が上がらないと、最終的に継続的にという意味で賃金は上がらないと思いますので、今、そういったことに対して府は取り組んでいるところです。また、併せて、経済界に対しても、賃上げについての要請というのは今後も引き続き行っていこうと思っています。補助金で補填するのが持続的だというふうに思いませんし、方向性とすれば、民間が給料をしっかりと、本来は物価が上がれば、それに応じて賃金が上がるのは当たり前の話なんですから、そこが止まってしまっているというところにやっぱり構造的な問題があるので、その構造的な問題を解決しないと、一時的な補助金ではなかなか僕は違うんじゃないかなというふうには思っていますので、そういったところを視点に、大阪府としても賃上げの必要性は十分思っていますから、その取組を進めていきます。

◆(石川たえ委員) 地方自治法には、地方公共団体は、その事務を処理するに当たっては、住民の福祉の増進に努めると明記をされております。知事は地方公共団体の長であり、誰よりもこれを遵守しなければいけません。賃金が上がらず生活苦にあえぐ府民に対して補助制度すらつくらない、物価高騰の中で一時的にでも助けてあげる、こういう取組もしない、これはあまりにも冷たい態度だというふうに思っています。賃上げ支援のための大阪府独自の制度創設を強く求めておきたいと思います。

・奨学金の返済支援制度について

◆(石川たえ委員) 次に、奨学金の返済支援制度についてお聞きをいたします。
 先日の委員会で、大阪府育英会、日本学生支援機構を合わせて五十万円の奨学金支援制度は、奨学金返済を助ける企業の事務手数料や広報費であると聞きました。いわゆるイニシャルコストへの支援です。仮に目標どおり一千社が登録をしたとして、国の臨時交付金活用の今年度限りのイニシャルコスト支援では、奨学金本体の返済支援を行うのは事業所ということになってまいります。コロナに物価高騰と続く中で、経営が苦しいともがきながら懸命に頑張っている事業所が、奨学金の返済まで負担するとなれば、負担は増える一方です。これでは奨学金返済を抱える若者を雇用するということにはなかなかつながらないのではないかと思っています。
 企業にとっては自社アピールができ、人材確保につながる、若者にとっては精神的負担がなくなる、幾らこういうふうに言ってみても、今の制度設計ではどちらにとっても大きなメリットはありません。平均二百万円から三百万円の奨学金返済を抱える若者の支援策、そして企業への人材確保につなげていくためにも、今の制度の拡充と来年度以降の継続を求めますが、いかがでしょうか。

◎知事(吉村洋文) 本事業については、現在の物価高騰の中で、奨学金を返還しながら働く若者の負担を軽減したいという思い、それと、府内中小企業における人材の確保、定着、この二点から緊急かつ集中的に実施するものであります。企業がこの制度導入を促進するためのインセンティブとして、導入時にかかる負担の軽減を図ることにより支援をしてまいりたいと思います。

◆(石川たえ委員) 緊急かつ集中的というふうには言われますけれども、こういうふうに理由づけを幾らしてみても、国の臨時交付金の範囲内で制度設計を行うから、結局、本気で企業が人材確保できるとか若者の負担を減らしていくということにつながらない制度設計になっているというふうに私は思います。企業の制度導入を促進するためのインセンティブと言いながら、企業負担を減らす仕組みにもなっていません。耳触りはいいんですけれども、企業にとっても若者にとっても支援策としては不十分です。
 大阪府育英会によると、令和四年から八年度の中期計画の中に、これまでの取組と成果というのがあります。この中では、奨学金貸付事業を利用する高校生等の約六割が市町村民税所得額が非課税もしくは非課税に準ずる世帯に属しており、経済的に困難な状況にあることが分かる、こう記されております。経済的に困難を抱えている子どもの奨学金本体返済への支援こそが大阪府が行うべきだと思っています。
 委員会でも紹介をいたしましたが、岩手県は、返済総額の二分の一、上限額は二百五十万円です。山形県は、支援対象が女性の場合、所定の返還支援に十万円の加算があります。秋田県では、県が指定する特定五種認定企業に就職する大学生等は、年返済額の十分の十の支援がされます。こういう大胆な取組こそが人材確保、そして定着、若者支援につながっていくと思います。本気で人材確保と若者支援を進めるのであれば、制度の中身そのものを大きく拡充し、来年度以降も大阪府の責任で継続してこそ、若者の負担を減らし、企業の人材確保につながっていくと思うんですけれども、来年度以降もやってもらうことはできないでしょうか。もう一度お聞きします。

◎知事(吉村洋文) 地方の県において、若者のいわゆるUターン就職であったり、そういったことを目的としてそういった制度を取っているところもあるのも、これは事実としてあります。
 我々の趣旨として、中小企業の人材確保と、そして、奨学金を払いながら働く若者の負担を減らしたい、その趣旨に賛同していただける企業を増やすということが重要ではないかと思っています。直接返済まで大阪府で持つというのも、大阪は今、やっぱり財源に限りがありますから、そういった中で、働く企業でその企業の生産性を高めて、企業もその趣旨に賛同していただける企業を増やすということが持続可能ではないかと思っています。ですので、この制度を実現させる。そして、物価高騰が続く中ですから、まず緊急かつ集中的に実施をしていきたいと思います。
 来年度以降の予算は、来年度に判断をします。

◆(石川たえ委員) 企業の方が、例えば今、代理返済の制度がありますけれども、代理返済されていて、イニシャルコストを大阪府が今年度、千社を目標に面倒見ましょうという、そういう制度設計だと思うんですけど、結局、企業の方は、その後、要は奨学金本体の返済を行っていかないといけないわけであって、生産性を本当に向上させていくというのであれば、そこも含めて支援していくことが求められるというふうに私は思いますので、来年度の予算のことは来年度と言わずに、今から制度設計をしっかり来年度まで継続させるということも強く求めておきたいと思います。

・太陽光パネル設置補助について

◆(石川たえ委員) 最後に、太陽光パネルの補助制度についてお聞きをいたします。
 地球沸騰化と言われるまで気候危機は今進行しております。世界のCO2排出量の八一%は経済規模の大きい二十の国、地域であり、日本は世界第五位のCO2排出大国となっています。省エネと合わせた再生可能エネルギーの活用で脱炭素社会をつくることは喫緊の課題となっております。
 大阪府は、二〇二一年三月に、二〇五〇年二酸化炭素排出量実質ゼロを目指し、二〇三〇年度の温室効果ガス排出量を二〇一三年度比で四〇%削減することを目標とした取組を今進めているというふうに聞いていますが、私は、この目標そのものが低過ぎるというふうに思っています。せめて二〇三〇年の温室効果ガス排出量を五〇から六〇%削減まで目標そのものを引き上げて、省エネ、再エネの活用でエネルギー消費を四割減らし、再生可能エネルギーで電力の五〇%を賄えるようにする取組を強めてはどうかと思いますが、目標変更するつもりはありませんか。

◎知事(吉村洋文) 大阪府の温室効果ガス排出量削減目標、それから再生可能エネルギーの利用率については、二〇二一年三月に策定をいたしました地球温暖化対策実行計画の中で、国の施策を先取りする形で設定したものです。現在、この計画に基づいて幅広い施策を展開しているところでありますので、引き続き、二〇三〇年度の目標達成に向けて取り組んでいきます。

◆(石川たえ委員) 委員会では、住宅太陽光設置は十年前の二・七倍であり、目標の百四十一万キロワットを達成できる見込みである、こういうふうに答弁をいただきました。取組が進んでいることは評価をいたしますが、住宅太陽光普及率で見ると、二〇一二年、普及率一・二八%、全国四十二位、二〇二二年、普及率二・九%、全国四十二位、普及率の伸び率で見ると全国四十一位となっています。住宅太陽光をもっと広げていくためにも、住宅太陽光パネル設置補助制度を創設するべきだと思いますが、いかがでしょうか。

◎知事(吉村洋文) 府域における住宅用太陽光発電につきましては、大阪府費を投入しない形で共同購入事業を実施すると。そして、これによって共同で購入して、割安で質のいいものを購入できるようなスキームを構築しています。おおさかスマートエネルギープランに基づく施策を講じる中で、この間、着実に導入量は増えているところでもあります。二〇二二年度の導入量は二〇一二年の二倍以上となっています。二〇三〇年度の目標が百四十一万キロワットですから、現在の施策を実行していくことによって、大阪府がプランに掲げた目標の数値の達成に向けて現在順調に進んでおりますので、そういった意味で住宅用の普及を増やしていきたいと思います。

○委員長(みよしかおる) 石川委員に申し上げます。申合せの時間が経過しておりますので、質問、発言は簡潔に願います。

◆(石川たえ委員) 終わります。ありがとうございました。



   


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