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議事録

商工労働常任委員会(2020年12月15日) 内海公仁府議の知事質問


・商店街振興の取組について

◆(内海公仁君) おはようございます。日本共産党の内海公仁です。
 知事に質問させていただきます。
 委員会質疑の中で、大阪府の商店街振興事業が、二〇一九年決算の概要報告によると、商店街エリア魅力向上モデル事業が二件、商店街サポーター創出活動支援事業が七件、合わせて約二千六百万円の事業であったことを確認させていただきました。
 事業そのものは貴重な内容であり、意義あるものだと思います。しかし、問題は、現在大阪府下には約一千近い商店街が存在し、その多くが大店法の規制緩和後の大型商業施設進出や、地域住民と商店主の高齢化、ネット通販の普及などの影響を受けて、客足と売上げの減少、空き店舗の増加など深刻な事態に直面しています。とりわけ衛星都市の多くの商店街も深刻です。
 府として、事業が商店街の置かれている現状の打開にふさわしい規模になっているのかどうか、このままでは商店街の疲弊の事態に対処できないのではないかと危惧しております。抜本的な予算増で現状打開に見合う事業展開が求められると思いますが、知事の見解を伺います。

◎知事(吉村洋文君) 今般のコロナ禍におきましては、商店街においても大きな打撃が生じていますことから、大阪府、広域自治体として必要な予算を緊急に措置し、そして感染症の対策や需要の喚起の支援にしっかり取り組んでいるところです。
 商店街については、地域のコミュニティを形成する場としての役割を担っていまして、身近な住民サービスを提供する基礎自治体が地域の実情に応じてしっかりと支援いただくということがまずは基本だというふうに思っています。
 府としては、先導的、モデル的な事業の実施やその成果の普及を通じて、市町村や商店街の取組を支援してまいりたいと思います。

◆(内海公仁君) 今日の新型コロナ感染拡大の深刻な事態を受けて、百を超える商店街を対象にした感染防止対策支援を実施したことは意義あることだと思っております。しかし、これで終わりということでは、客足が途絶えてしまっている商店街の置かれている深刻な事態に対応できるものではないと思っております。特にこのコロナ禍の下で、特別対策として商店街支援策もさらに強化すべきだと、こういうふうに思います。
 特にこの間、時短要請が市内全域にも拡大される状況になろうとしているところですけれども、関連業種なども含めて、酒屋、花屋、病院、ドラッグストア、タクシー業界なども含めての対応が求められていると思います。
 しかし、事態はコロナ対応だけの問題ではなくて、この事業そのものが深刻な商店街の置かれている現状に見合うものになっているかということが私は問われていると思っております。予算措置を大幅に増やすべきだというふうに思いますが、知事のお考えはいかがですか。

◎知事(吉村洋文君) 大阪の産業政策、予算措置についてでありますが、大阪の再生、成長に向けた新戦略案において新しい産業政策を振興するということも大きな目標に掲げています。また、先ほど質疑にありました、予算措置を増やすべきだというところですけれども、地域経済を支える中小企業、それから商店街の活性化、府民の生活と密接に関わる部分においても府の役割を明確にしていくことが重要だと思っています。経営、技術支援、それから人材育成、限られた財源の中で必要な支援を行っているところであります。
 今年度も必要な予算というのは当初で措置しているとともに、コロナ禍での事業支援につきましては補正でも措置しているところです。中小企業向け、八千七百億円の補正予算を組んでいるところであります。府として、必要な商店街、中小企業の支援予算という部分について、しっかりと支援をしてまいりたいと思います。

◆(内海公仁君) 大阪府下の各商店街の置かれている現状、これは知事もそれなりに御理解いただいていると思っておりますので、商店街が途絶えてしまうというような事態にしてはならないという大阪府の決意と役割をしっかりと発揮していただきたいということを改めて要求し、そしてそれにふさわしい予算措置、大阪府下全体の商店街支援という立場から見ると、私は、今の大阪府の商店街振興の予算措置があまりにも規模が小さ過ぎるということは問題だというふうに思っておりますので、ぜひその点での拡充をお願いしたいと思います。

・大阪府の産業政策について

◆(内海公仁君) 続いて、中小企業を中心とする大阪産業と経済の現状をどう認識するか、そしてその現状認識の上に立って、大阪府に求められている産業政策、これのどこに重点を置くのかという問題について知事の考え方をお聞きしたいというふうに思っています。
 今日の新型コロナウイルスの世界的感染拡大というのは、国内でも世界的にも深刻な状況が続いております。これまで一定の役割を占めていたインバウンドなどによる消費拡大や海外サプライチェーンをダイレクトに活用した生産や受発注の形態などに大きな変化が起こっております。この変化は、数年にわたって日本経済と大阪の産業活動に大きく影響を及ぼすことは間違いないと思います。しかし、問題は、コロナの影響だけが今日の中小企業をはじめとする大阪経済の地盤沈下と言われている要因ではないということを歴史的にしっかりと踏まえて、今、必要な対応が求められているのではないかと思っております。
 そこでまず、この間の大阪の産業政策の中心点について、どう位置づけしており、それに今後どのように対応されようとしているのか、基本的な考えを知事にお聞きしたいと思います。

◎知事(吉村洋文君) 先ほどの商店街振興、それから中小企業の支援、もちろんそうでありますが、大きな方向性としましては、大阪の再生、成長に向けた新戦略案というのを今つくっているところでもあります。ポストコロナに向けて方向性を示していく。その中で経済の五つの重点分野についての取組を推進することを掲げています。医療・健康関連産業、大阪、関西が強い部分、その分野でのリーディング産業化であったり、あるいはスタートアップ、イノベーションの創出など、大阪の強みと進取の気性を生かした活力のある大阪を実現していきたいと思っています。
 また、地域経済を支える中小企業、それから商店街の活性化について、広域自治体である府の役割も明確にして、経営、それから技術の相談、資金調達、人材育成といった必要な支援を併せて行っていきます。コロナ禍の下で事業の継続と雇用を守るという取組を進めていきます。
 引き続き、このコロナにおける感染症の拡大の抑制と、そして社会経済活動の維持。非常に難しい両立でありますが、それを最優先に考えながら、二〇二五年大阪・関西万博がもたらすインパクトが府内の中小企業、府内の事業者の支援、そしてイノベーション、商店街への経済波及にもつながるように取り組んでいきたいと思います。

◆(内海公仁君) 知事のおっしゃる大阪の成長課題というのは、私は今の現状認識という点で問題があるのではないかというふうに思っております。ぜひ、知事にここで資料を一つ見ていただきたいと思います。
 映像を御覧ください。ちょっと見にくい資料で申し訳ないんですけれども、これは二〇〇〇年の三月末から二〇一九年の三月末までに国内の銀行の貸出残高について、それぞれの都道府県別の動向を表したものです。貸出残高の総額は四十二・四兆円増加しました。その増加状況を都道府県別に動向を見たものです。
 東京都は増加分の六四%を占めており、全国四十七都道府県のうち増加しているのは三十四、減少しているのは十三府県です。特に大阪の減少は三五%とずば抜けて落ち込んでいることが分かります。貸出残高の減少というのは、当該地域での域内再投資力の弱体化を表しておると思います。この現実は一体何が要因なのか、これを丁寧に分析し、それを基にした大阪独自の地域経済の再生のための政策展開が今求められていると思っております。
 先日、大阪の再生、成長に向けた新戦略を示されておりますけれども、これらは大阪経済の一部を持ち上げるばかりで、大阪経済の再生と府民生活の向上に結びつくものではないというふうに私は考えております。
 大阪の成長と言い、府の施策と投資をベイエリアと都心に集中させるばかりで、本来の大阪の持つ地域特性と、関西、近畿の産業全体の活性化を促すことのできる取組にはなっていません。個人消費と需要を拡大し、大阪をはじめとする関西地域内での再投資力の向上のために、中小企業と卸売、流通も含めた商業環境を活性化させる必要があります。少なくとも府域全体の中小企業と商店の現状を踏まえた施策をもう一つの柱と据えて、そこへの施策を構築すべきだと思いますけれども、知事の見解をお聞きします。

◎知事(吉村洋文君) 貸出残高の総額については、その分析というのをやってもらいたいと思いますが、ただ、大企業における貸出しの影響というのは、一つ大きな影響としてあるんじゃないかと今推測はしています。
 いろんな数値を見ますと、例えば開業率なんかでいうと、大阪はトップレベルの、全国一位の起業率を占めるというところで、新しい産業が生まれているという状況もあります。もちろん今はコロナ禍でそれが非常に厳しい状況になっているのは、全国的にもそういう状況でありますが、大阪で新たな産業や新たな起業が生まれると。スタートアップを支援していく。そういったものをしっかりとこれからもやっていきたいというふうに思います。まずは、このコロナの状況を抑えなければなかなか新たな需要の創出というのは難しいかなというふうに思っていますので、まずはこのコロナ対策に力を入れて、そして厳しい状況になっている中小企業事業者を支える、そして雇用を支える、そういったところに力を入れていきたいと思います。そして、ポストコロナ、コロナを乗り越えていく中で新たな産業が生まれる、そういった仕組み、そして大きな大阪の方向性というのは、先ほど示した中で進めてまいりたいと思っています。
 あとはやっぱり大企業の流出が。企業の出ていくのと入ってくるのの数の差、もともと大阪というのは出ていくほうが圧倒的に多かったんですけども、それがどんどん縮まってきていますので、企業も大阪に残ってやったほうが、これは将来の投資においてもその価値が十分あると思ってもらえるような、そういったエリアにしていくということが非常に重要じゃないかと思っています。

◆(内海公仁君) 少なくとも府域全体の中小企業や、あるいは商業の現状を踏まえた施策、これが非常に大事だというふうに思っております。今、大阪府が考えている施策そのものが、結局、リーディング産業という形にどうしても視点が重きが置かれている。その結果、本来、これまで大阪の経済を支えてきた中小企業がその役割を果たす環境がどんどん疲弊していっている。この実態をどうつかむかというのが、今、本当に大阪府の施策の在り方として問われていることだと思っております。今の大阪府の成長産業を中心として、そして都心のみに集中した施策展開というのは、この二十年来の大阪の経済の実態を十分見ようとしていない態度と言わなければならないと思っております。
 そういう地域全体を視野に入れた考え方という点では、知事、どういうふうにお考えですか。

◎知事(吉村洋文君) 地域経済を支えていく上で、また大阪は中小企業のまちでありますので、九九%を中小企業が占めるという状況でもあります。また、高い技術もあります。その中で直面しているというのは、もちろん産業の構造の全体、大阪だけじゃなくて社会全体の産業構造の変化というのもありますが、ただ、非常に高い技術を持っている中小企業もたくさんあります。特に後継者の問題なんかで、技術があって黒字なのに閉めなきゃいけないというところもありますから、こういった後継者をどうするのか。その事業についている付加価値というのをいかに継続していくのか。経営者の高齢化というのも非常に進んでいるところでもあります。これまではなかなかそういったところの策というのが、ある意味、第三者に事業譲渡するというのが非常に手薄なところになっていましたが、第三者への譲渡、M&A、そういったところも含めて、技術自体が閉ざされることなく残っていく、また自分の子どもや番頭さんにも代替わりする、そういった事業継続、そこにやっぱり力を入れていく必要があると思っていますし、それから地域経済を支える中小企業における支援としての大きな府の役割としては、やはり経営・技術支援、人材育成、そういった中で府の役割というのを明確にして、今ある大阪の中小企業の皆さんの支援というのもしっかりやってまいりたい、当然、そういうふうに思っています。

◆(内海公仁君) 今の戦略は、この二十年来の教訓をしっかり見たものになっているかどうかということが問われていると思っております。万博を派手に開催している足元で事業所の倒産とか廃業が増えて、正規雇用も減少し、府民の所得水準の低下、貧困の増大、そういう大阪にしないためにこそ、今、広範な大阪の事業所に対するしっかりとした視点を持った産業政策、これを展開していくことが必要であるということを今後とも追求していきたいと思っておりますので、その点を申し述べて、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。



   


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