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議事録

教育常任委員会(2019年11月13日) 内海公仁府議の決算質問


・私立学校経常費補助金について

◆(内海公仁君) 日本共産党の内海です。
 決算にかかわって幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 初めに、概要書の百七ページで紹介をされております私立学校経常費補助金、それから私立高等学校の振興助成費の問題についてお尋ねをしたいと思います。
 私立の高等学校に対して経常費補助として助成をされております私立高等学校振興助成費、平成三十年の決算では約三百六十億円執行されております。そのうち、私立高校に対しては九十八校、二百八十八億五千七百万円余りの執行と聞いておりますが、どのような考え方によってこの経常費補助金が配分をされているのか、その実情について説明をお願いします。

◎私学課長(近藤未生君) お答えいたします。
 私立高等学校に対します経常費補助金につきましては、平成二十三年度からの私立高校授業料実質無償化の拡大にあわせまして、公立、私立の学校が同じ土俵で競い合う条件を整え、公立・私立間あるいは私学間での競争を促し、大阪の教育力の向上を図るため、生徒一人当たりの補助単価を均一にしまして、生徒数に応じて補助金を配分しますいわゆるパーヘッドの考え方を基本としております。
 具体的な配分に当たりましては、先ほど申し上げましたパーヘッドの原則を基本としつつ、学校運営に最低限必要な経費に配慮しました固定経費配分を行いますとともに、生徒一人当たりの補助単価につきましても、学校規模や学科に応じて一定の補正を行っております。

◆(内海公仁君) 今の御説明では、生徒の数に重きを置いたパーヘッドという考え方が中心になっているということでした。一定の最低必要な固定費配慮というのがなされているということはありますけれども、実際の配分実績を過去の状況と比較してみますと、今の制度に変更になる以前の平成二十一年度と平成三十年度を比較すると、大体二〇%から一二〇%ほど増額している学校が全体としては多くなっている状況があります。中には一五〇%ほどふえている学校があります。ところが、一方で、減少している学校が全部で十七校ありました。その十七校のうち二つ、三つほどを除いて、ほとんどが生徒数、いわゆる生徒の定員、学則定員というんでしょうが、この数字は平成二十一年と変わらないという状況があります。補助額がふえているところの多くが、逆に生徒定員が二割から四割ほどふえているという特徴があります。つまり、生徒数がふえていくことによって経常費補助金がふえていく、生徒数をふやさなければ逆に経常費補助金が減っているという実態があるというふうに思います。
 答弁にあったように、公私間の競争あるいは私学同士の競争という形で、結局維新の政治が特に強調しているような競争原理という考え方にここでも主眼が置かれているというふうに私は感じております。例えば、標準法を超えて少人数学級などの努力をしているところは補助金水準が事実上、下がっていく、そして学校運営が厳しくなるという問題点が、この配分状況から見えてくるというふうに思っております。その点は、私は非常に問題のある状況ではないかということを思っておりますので、指摘をしておきます。

・私立外国人学校振興補助金について

◆(内海公仁君) 続いて、決算概要書の百八ページに説明がある私立の専修学校等振興助成費のうち、私立の外国人学校の振興助成金について、交付の根拠となっている考え方がどのようなものか、及び具体的な交付先がどこなのかを説明ください。

◎私学課長(近藤未生君) 私立外国人学校振興補助金につきましては、大阪府補助金の交付規則及び大阪府私立外国人学校振興補助金交付要綱の定めるところによりまして交付をしております。平成三十年度の交付先でございますけれども、大阪中華学校、大阪YMCAインターナショナルスクール、関西学院大阪インターナショナルスクール、コリア国際学園の四つの学校校を設置します学校法人四法人となります。

◆(内海公仁君) 御説明いただいた四つの学校法人に支給されているということですが、朝鮮学校は、初級・中級・高級学校合わせて、今現在、大阪府下に十校あるというふうに聞いておりますが、これがかつて橋下知事時代に支給停止になっております。平成二十一年及び二十二年度でそれぞれ終わっている状況があると聞いておりますけれども、連日のように関係者の粘り強い要求運動もされているようですけれども、府はこの間、この問題について、司法の結論も出たということで、支給していないということを正当化しておりますけれども、これはいわゆる裁判の結果で、違法とか適法とかいう問題ではなくて、等しく子どもたちが学ぶ環境を整備するという大阪府の姿勢、それから人道上の観点から見ても、大変問題があるというふうに思っております。朝鮮学校に対してはこれの支給対象にしない、しかし一方でコリア学園とか中華学校は対象にしている。これはまさに政治的な体制や外交問題を子どもと教育の上に置いてしまっている。人道的にも、そして人権という点でも極めて問題であるというふうに思っております。
 この問題については、決算ではこの程度にしておきたいと思いますので、今後も機会を見て取り上げていきたいということを指摘をしておきたいと思います。

・教員のメンタルヘルス対策について

◆(内海公仁君) 続いて、小中学校の教員の多忙の問題がさまざま議論されておりますが、概要書の百六十二ページ及び百六十八ページで教職員の問題が書かれております。
 国では、安倍内閣のもとで、今、一年単位の変形労働制導入が教員の現場でさらなる長時間労働と過労を押しつけるものとして批判が高まっているところでありますけれども、基本は、教職員を抜本的にふやして長時間労働をなくすということをするべきだと思います。その立場から、ここでは、特に職員の病休の問題、特にメンタル疾患による病休者が増加している問題についてお聞きしたいと思います。
 平成三十年で四百二十七名が病休者、そのうちメンタル疾患が二百九十一名、比率にして六八%を超える。しかも、働き盛りの三十代、四十代で休職者が多いということは極めて重大だと思います。さらに、着任して期間の短い二十代の病休者のうち、何と八二%がメンタル疾患で休職しているということも深刻だと思います。
 決算の概要書百四十三ページで、教職員人事事業として教職員の健康管理に関する事業も行っていると聞いておりますが、特に教員のメンタルヘルス対策のためにどのような事業がなされているか、説明をお願いします。

◎福利課長(島正子君) メンタルヘルス対策、どういうふうな取り組みを行っているかにつきましてお答えさせていただきます。
 府教育庁におきましては、長時間労働による心身の健康障がいを防止いたしますために、御案内のとおり、全校一斉退庁日やノークラブデーの導入など、教職員の働き方改革、これのさまざまな取り組みを進めるとともに、時間外在校時間が一月に八十時間を超える教職員に対しましては、学校産業医による面接・面談を行っているところでございます。また、労働安全衛生法に基づきまして、ストレスの未然防止を目的といたしましたいわゆるストレスチェック制度、これを平成二十八年度から毎年実施しているところでございます。
 御指摘の精神疾患によりまして一旦療養のため休職をする、そういった教員が再び学校に戻りまして教員生活をスムーズに円滑に送ることができますように、府教育庁では、職場復帰支援事業というものを公立学校共済組合近畿中央病院に委託実施しております。プログラムの中では、模擬授業でありますとかコミュニケーションスキルの向上の体験型の講座--ワークショップ、そういったものを取り入れまして、教員に特化した復職支援プログラムを希望者は受講できるというふうにしているところでございます。
 こうした府事業のほかにも、共済組合の大阪支部が相談機関として開設しております大阪メンタルヘルス総合センターがございまして、そこでの面接相談事業など、これは無償となっておりますので、教員が気軽に利用できるメンタルヘルス事業につきまして、府内の公立学校の校長会などの機会を利用いたしまして、周知徹底しているところでございます。

◆(内海公仁君) 教職員の皆さんがメンタルヘルスで休まれたとき、あるいはメンタルを患ったときの対処について、あるいは復帰のための事業ということがいろいろ取り組みがなされているということは理解できます。
 ただ、問題は、大変な多忙の中にあってストレスオーバーになる状況が、これは本当に特別な場合じゃなくて、誰でも起こり得る職場環境が蔓延しているというふうに言われる状況の中で、とりわけ新任後、間もない若手の教員の間で、メンタルの故障に陥ることが少なくない、こういう状況があると思います。若手の一人一人の教員が良好なメンタルを維持するための仕事との向き合い方あるいは人間関係のあり方などを健康な平時のときに学ぶという取り組みが非常に大事だというふうに思いますけれども、平成三十年度において、教員一般に対してのメンタルヘルスの維持に関する研修とか講習会等は行っている状況があるんでしょうか。

◎福利課長(島正子君) メンタルヘルス研修についてでございますけども、平成三十年度は、労働安全衛生の観点から、府立学校における安全衛生管理者であります校長、准校長に対しまして、各学校でこの年に実施しましたストレスチェックの集団の分析結果を活用した職場環境改善の進め方、これらに関する研修を行いました。また、学校に設置しております安全衛生委員会で衛生管理者として重要な役割を担っております養護教諭等を対象に、メンタルヘルス研修を行いまして、それぞれ非常に著名な臨床心理分野の大学教授など専門家を招きまして、実践的な研修を行ったところでございます。
 委員御指摘の若い人という意味では、一部、養護教諭等は若い職員でございますけれども、広く一般的な職員に対しましては、府の教育センターにおきまして、新任の校長、教頭を初め首席、そして新採職員--新採の教諭等、こういった合計千三百人の教員を対象にいたしまして、公立学校共済組合の先ほど申し上げました大阪メンタルヘルス総合センターと連携協力いたしまして、計八回、メンタルヘルスの研修を実施したところでございます。

◆(内海公仁君) 説明をお聞きしますと、結局管理職の研修とか、あるいは養護の先生とか主任研修などでは一定行われているというのはあると思いますけれども、私は、一般の教員の通常の研修のカリキュラムの中にメンタルヘルス対策というのをきちっと組み込んでいくということが非常に今大事じゃないかなというふうに思っております。そのことは、職員の健康管理の立場だけじゃなくて、子どもたちの教育の充実の観点からも大変重要だというふうに思っております。
 後日、知事質問でも、知事にこの現状を理解していただく意味でも取り上げさせていただきたいと思いますので、委員長、よろしくお願いいたします。

・市町村医療的ケア体制整備推進事業について

◆(内海公仁君) 続いて、概要書の六十七ページにあります支援教育の振興事業について、とりわけ医療的ケアのための看護師配置の充実の問題なんですけれども、平成十八年度からこの事業が進められてきていると聞いておりますけれども、年々補助対象となる児童生徒もふえている、学校数もふえているという状況だと思います。ところが、この事業の決算額が、平成二十九年度よりも平成三十年度が減少しているという事情があるんですが、どのような事情なのか、説明をお願いします。

◎支援教育課長(黒田一人君) 委員お示しのとおり、地域の小中学校で学んでいる医療的ケアの必要な児童生徒の数は年々増加しておりまして、十月末現在で、本事業を活用して三十一市町百六十一校に看護師が配置されているところでございます。
 一方で、平成二十九年度に、国のほうで看護師の人件費の補助制度が創設されたことから、府といたしましては、同年度より徐々に補助率を下げながら本事業の再編を行ったため、決算額としては減少しているところでございます。
 一方で、医療的ケアをめぐる課題の解決を目指して、昨年度より新規事業を実施しているところでございます。

◆(内海公仁君) 平成二十九年度から国による事業の補助が始まっているということがあったとはいえ、トータルとして、市町村の現場での支出というか負担が重くなってしまうような状況が一部にあるというふうに思っております。今後、この支援の枠組みが縮小されるような動きがあるやに聞いております。二十九年、それから三十一年と府の負担割合が減少してますね。今後、制度そのものを大阪府としては国にお任せしようかというような状況もあるやに聞いております。
 医療的ケアを必要とする子どもたちにとっては、命にかかわる重大な問題ですし、結局市町村の負担が重くなるということは避けなければならないと思っています。看護師でなければできないケアもある子どもたちにとって、看護師以外のヘルパー資格者などで置きかえられるものでもありません。その点から見ても、看護師の職責に見合った待遇の問題も必要だと思っております。
 その点も含めて、この問題について後日の知事質問でも、知事に実情を認識していただきたいという思いで質問をさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

・有形文化財保存修理費等補助金について

◆(内海公仁君) 次に、概要書の二百九ページに紹介のあります文化財保護事業にかかわって質問をさせていただきます。
 文化財保護事業費八千百万円ほどの内訳の中で、とりわけ有形文化財保存修理費等補助金として千五百万ほどの記載があるわけですけれども、その内容について御説明をお願いします。

◎文化財保護課長(大野広君) 有形文化財保存修理費等補助金は、建造物や美術工芸品の経年劣化に伴う保存修理や天然記念物の保護増殖、無形・民俗文化財の伝承・育成など、府指定文化財の保存修理等につきまして、所有者等の資金だけでは困難な場合があるため、必要な経費の一部について補助を行うものでございます。
 平成三十年度当初予算では四百九十九万五千円でしたが、この年の六月の大阪北部地震により被災した府指定文化財を修理するため、千三十一万円を補正予算で追加計上いたしまして、あわせて千五百二十七万九千円を執行したものでございます。

◆(内海公仁君) 概要報告書の中では、実績二十三件となっております。今御説明ありましたように、昨年の大阪北部地震などで被災して破損した文化財の補修が補正執行されているという状況であって、この千五百二十七万九千円という金額ということなんですね。
 ちょっとびっくりしたんです。ホームページには、各市町村ごとの大阪府下の府指定の文化財というものについても膨大な数があります。それぞれが本当にいろんな歴史的な重み、価値のある大変重要なものばかりだというふうに、ざっと見てても思うわけですよ。ところが、その補修、これ自身もやっぱり古いもの、あるいはその当時の状況に応じて補修をしていくというのは非常に困難を伴うものだというふうに思うんですね。ですから、補修の費用も決して安価なものではない、小さなものを補修するにしても一定の費用がかかる。そういう状況があるから、所有者の負担を少しでも軽くしようということで大阪府が補助をしているということなのですけれども、平成三十年度の通常の予算が四百九十九万五千円、それ以前、平成二十九年度以前にしても、予算額、執行額が大体五百万円前後という状況のようなんです。
 果たして文化財保存修理補助事業という名目に値するだけの事業になっているんだろうかということを心配するわけですよ。いろんな要望もたくさん出ているんじゃないかなというふうに思いますけども、この要望等に対してはどういうふうに対応しておるんでしょうか。

◎文化財保護課長(大野広君) 保存修理等が必要な府指定文化財につきまして、まず所有者からそれぞれの市町村の文化財担当部局を通じまして保存修理等の意向が府教育庁に届き、必要に応じて職員が現地での調査を行っております。文化財の種類ごとの保存修理等の意向や補助の要望を集約した上で、緊急度や過年度からの継続性を考慮いたしまして、限られた予算の範囲内で対象事業やその配分を決めまして、それに基づいて申請いただきまして、補助金を交付しております。
 また、補助金の交付以外に、所有者等から要望がある場合は、補助対象事業を含めまして、当課の職員が専門的な知見に基づく助言を行い、府指定文化財の保護を図っております。

◆(内海公仁君) 貴重な府民の財産、国民の財産とも言える文化財の管理の問題というのは、これは本当に重要な課題であり、テーマだと思います。予算の範囲内ということをおっしゃる背景には、私は、予算があればもっともっとやらなければならない仕事がたくさんあるんじゃないかということを暗に感じるところであります。貴重な文化財を後世に伝えていくためにも、予算が余りにも少ない、こういう立場からの予算の確保が求められているというふうに私は思っております。
 これも今の大阪府政のあり方として、文化財に対する認識、そしてこれをどう扱っていくかという大きな課題として、私はぜひ知事にも認識をしていただきたいということで、知事質問もさせていただきたいと思いますので、委員長におかれましては御配慮をよろしくお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。



   


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