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議事録

教育常任委員会(2019年10月11日) 内海公仁府議の質問

◆(内海公仁君) 日本共産党の内海です。委員会の質問は初めてになりますけれども、ひとつよろしくお願いいたします。
 初めに、昨今、大きな社会問題にもなっている神戸市での学校現場での教師の集団による教師に対するいじめの事件、この事態については本当に深刻な事態だと私は受けとめております。こういう事態が今全国で本当にあってはならないという思いと、しかし現場ではいろんな思いが錯綜しているのではないかということを想像しながら、教育現場でかかわるそれぞれの皆さんの心と気持ちを改めて問い直しながら取り組みを進めていけたらというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

・チャレンジテストの見直しについて

◆(内海公仁君) それでは初めに、今、加治木委員もお話がありましたけれども、チャレンジテストの問題について質問をさせていただきます。
 これまで私ども日本共産党としては、チャレンジテストについては、まず何よりも、テストの数をふやして子どもをテスト漬けにし、そして得点だけで競争をあおる問題、それからテストの平均点を学校ごとにランクをつけて、そして学校間の格差をつくる問題、さらには教師の評価に対する教育委員会の介入によって先生のやる気を失わせるなどなど多くの問題点を指摘して、中止そのものを求めて質問をしてまいりました。これは私たちの指摘だけでなく、立場の違いを超えて、現場に混乱をもたらすものだとして、さまざまな見直しが求められてきたという経過があるのは御承知のとおりだと思います。
 そして、今般、このチャレンジテストについて、府教委は見直しの方向を示されました。しかし、私は、この見直しの基本的な観点というのは学校間格差をさらに拡大するものであり、さらにこの過激な競争を小学校まで拡大するという二重の問題を含んでいるものだと思っております。
 そこでお聞きしますけれども、今回の見直しというのは、何をどのような観点で見直しをしたのか、御説明をお願いします。

◎高等学校課長(大久保宣明君) チャレンジテストを活用しました府内統一ルールにつきましては、入学者選抜における調査書評定の絶対評価の公平性を担保するため、引き続き大阪府内共通の物差しとして必要である、このように考えて今般見直しを図ったところでございます。
 御指摘の今回の改正のポイント、例えばこれまでのルールで言いますと、一・二年生と三年生とでそういう統一ルールが異なることが非常にわかりにくいといった御指摘、あるいは一・二年生でやってきましたこれまでのルールにおいては、一回のテストで評定が変更される、そのような可能性があることから、中学校の評価、指導を否定することにつながりかねないというような御指摘を受けてのことでございまして、このような御意見、声を踏まえまして、全学年とも現在の三年生のルール、これを一・二年生にも適用し一本化を図ったというものでございます。

◆(内海公仁君) 府教委は、大阪府内で入学選抜における調査書評定の絶対評価の公平性を担保するための物差し、こういうことを繰り返しおっしゃっておりますが、お尋ねしたいんですが、この絶対評価の公平性というそのこと自身が、まずその絶対評価の基本点というのは、もともとこれは教育現場で観点がちゃんと示されており、そしてその評価をするための教員の研修等も繰り返されているということもお聞きしているわけですけれども、評価が公平でないとする根拠は何に置いてますか。

◎高等学校課長(大久保宣明君) 府教育庁では、この間、いわゆる絶対評価の導入に当たりまして、各中学校における絶対評価の定着を図るために、まず中学校における学習評価に関する参考資料を作成、配付するとともに、府内中学校各校長や各教科代表等を対象に研修会などを実施してまいったところです。また、市町村教育委員会とともに、各中学校の学習評価の妥当性や信頼性を高めるための取り組みについて研究協議なども行いました。このような取り組みから、各中学校においては適切な評価が行われているものとまずは認識しております。
 ただ、絶対評価そのものが持っている課題といたしまして、学校間の評価にはぶれが出る、そういった可能性も否定できないため、入学者選抜にこれを用いる際には公平性をより担保する必要があるというふうなことで、現在の統一ルールを定めているところでございます。

◆(内海公仁君) 適切な評価がされているということをまずお認めになりましたね。その上で、ぶれが出ることは否定できない、こういうふうにおっしゃいました。何が否定できないんですか。どのように否定できないという事実があったんですか。それを示してください。

◎高等学校課長(大久保宣明君) この間、この絶対評価導入の議論につきましては、平成二十四年、二十五年とさまざまなお立場の方を交えて外部の方の意見もお聞きしながら、制度設計を考えてまいったところでございます。さまざまな中学校のその当時のデータも私どもの可能な範囲で収集しまして、さまざまなそのデータを活用する分析の中で、そういった絶対評価の課題についても何点か整理をさせていただきました。現実、各教科において目標とするそういう到達点に違うところがありますことから、ぶれという言い方が適切かどうかは別にしまして、中学校間で揺れがあるのは事実であるというふうに認識をしております。

◆(内海公仁君) これを実施して数年たつわけですけれども、実施する段階でいわゆるぶれが出ると言われている問題がどういうことがあったのかということがきちんと例示されて検証されてきたのか、このことを私はまず疑問に思っております。
 加えて、絶対評価で調査書を評定するというのは、文科省の考え方として取り入れられたことですね。ということは、ほかの都道府県でも同じように絶対評価が取り入れられております。ほかの府県では、絶対評価の評定について何か問題が発生しているというような、あるいはそれに対して取り組みがやられているとかというような事例というのを御紹介いただけたら言ってください。

◎高等学校課長(大久保宣明君) 入学者選抜で使う調査書への絶対評価の導入につきましては、御存じのように、大阪府以外の都道府県は、平成十七年度以降全て絶対評価に切りかえてきたという、そういう前提があります。大阪府では、平成二十八年度から絶対評価を導入することといたしました。
 先行して導入した各府県の状況については、この検討の中でさまざまな検証も行ってまいったところでございますけれども、例えば熊本県では、中学校から提出された調査書の評定につきまして、学力検査の点数の区分を用いて高校サイドで修正する、そういった手法を用いている県もございます。
 全てを御紹介するというようなことはかないませんけれども、各府県とも、どのようにして絶対評価の公平性を担保するのかについてはいろいろと工夫、あるいは苦しみながら取り組んでいるという実態があると私は承知しております。

◆(内海公仁君) 今の熊本の例というのは、おっしゃったように、高校のサイドで修正を加えている、こういうことですね。これは当然、入試選抜を決定する側ですから、決定する側においてそれぞれのいろんな考え方を用いて判断をする、これはあり得る話ですが、いわゆる評価そのものをする側としてこういう扱いをするというのは、ほかの府県では余り例がないことなんです。ですから、大阪だけが評定に公平性が保てないということを主張する根拠というのは、私は今のやりとりの中でも示されているとは、これは理解できないと思っております。ですから、そういう点でも、調査書の絶対評価の公平性を担保するということ自身が依然として問題として残っているというふうに言わなければならないというふうに思っております。
 加えて、さらに絶対評価に仮に差があるということを前提とした場合、その平準化のためにチャレンジテストを使うということ、これは成績を評価するという本来の学校現場の教員の固有の任務、固有の権限を、教育行政機関である大阪府教育庁が奪う行為にはなりませんか。

◎高等学校課長(大久保宣明君) チャレンジテストを活用した府内統一ルールにおきましては、中学校において絶対評価によって評定していただいたもの、これをベースといたしまして、極端な評価、これを是正するものでありまして、中学校の評価活動を制限するといったようには考えておりません。

◆(内海公仁君) では、どういう手法を用いて成績評価がチャレンジテストによって変更されるかというと、皆さんがおっしゃっているように、示された点数のプラスマイナス〇・三の範囲におさまるようにと、こういう話ですね。ところが、それを決定する手法が、全部コンピューターのソフトに先生がつけた子どもの評定を入力します。そうすると、その中で表示が変わって、いわゆるオーバーあるいはマイナスのエラーが出る。この部分について、コンピューター上で操作することによってようやく全体の平準化された評定があらわれる、こういうふうに私はお聞きしているんですが、概略、コンピューターのソフトを使ってやるという行為は間違いありませんか。

◎高等学校課長(大久保宣明君) まず、評定、評価というのは、当然ですけれども、その御指導に当たる中学校の先生がつけていただいたもの、これが先ほども申しましたがベースになります。ただ、今、府内統一ルールを各中学校にお願いしているところですので、中学校の先生方が確認しやすいようにといいますか、最終的な評定を出していただく際に間違いがないようにというようなことで、その業務、作業をサポートするソフトを使っていただいていることは事実でございます。
 ただ、一方で、その範囲に入らない値であるからといってそれがそのまま即確定するのではなく、さまざまな事情、いかんともしがたいような事情がある場合においては、中学校のほうから府教育庁に協議をしていただける。その協議の中で、それがいかんともしがたい事情であるならば、そのままをお認めできる、そういう手続もあるというようなことについても御理解いただきたいというふうに思います。

◆(内海公仁君) その府との協議についても、二万件からの協議が申し入れられているにもかかわらず、実際には本当にわずかの修正というか、現場の判断が認められているという状況しかないという話も現場からは聞こえてきているんですよ。
 ですから、いろいろ言っていますけれども、これは明らかに機械的な見直しという形で学校現場の教員に修正を求めているわけですよ。そして、その結果、評定がつけられる。これは大変重大な問題で、昭和四十四年二月十九日、仙台高裁の判決で、生徒個人の成績評価は、まさに具体的教育活動に属し、担当教諭のみがなし得る事項であり、教育行政機関に許されるところではないという判例も出されているんです。こういう判例との関係で教育庁はどう考えておられますか。

◎高等学校課長(大久保宣明君) まず、ただいま委員のほうからの御指摘で二万件の協議が寄せられているというような御発言でしたけれども、ちょっとその数については、私、承知しておりませんが、二万件という数字についても、私が知っている範囲ではそのような数であるというのは聞いておりません。まず、その点について、失礼ながら御指摘させていただきます。
 一方で、その四十四年の判断がどのようなものであったのかというようなことについても、私、不勉強で今十分理解しておりませんので、申しわけありませんけれども、その判断に対する評価というのは差し控えさせていただきたいと思います。

◆(内海公仁君) これは、やっぱり法律の根拠にかかわる問題ですので、こういう判例が出ているということも含めて慎重に扱っていただかなければならないというふうに思いますので、ぜひこの点は一度検討していただきたいなというふうに思います。
 先ほどの二万件の件数というのは、私は第三者的に聞いている話ですので正確性を欠くかもしれませんので、それは今示されたことを了といたしたいと思っております。
 続いて、教育庁の実施するテストというのは、まず学校の教育現場で子どもの学習権や教諭の教育権、これをゆがめるという問題との関係で、実は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律との関係で、今回のこのチャレンジテストというのは、一体、教育庁の職務権限の--地教行法の第三章の二十一条ですかね、この項目のどれに該当するのか、これを教えていただきたいんです。

◎高等学校課長(大久保宣明君) 委員が今お示しのいわゆる地教行法におきまして、教育委員会の権限に属するもののうち、高校の入学に関することは教育委員会の権限の一つとして認められている、これを根拠にしておるというふうに認識しております。

◆(内海公仁君) 高校の入学に関することですね、わかりました。では、そういうことというふうに理解しましょう。
 それでは、教育基本法の第十六条、いわゆる教育委員会、教育行政の役割が示された条文です。「教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり、教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない」、こういうふうに教育行政の範囲というのを非常に明確に教育基本法で規定されているんですけども、チャレンジテストそのものがいわゆる学校現場の教育の権限に直接かかわる行為ということで、この教育基本法の第十六条の趣旨との関係で抵触するおそれがあるんじゃないかなというふうに私は心配するんですが、いかがですか。

◎高等学校課長(大久保宣明君) 今御指摘の第十六条の不当な支配に当たるかどうかというようなことの判断につきましては、申しわけございませんが、ちょっと不勉強で今この場で即答するというようなことはできかねますので、申しわけございません。

◆(内海公仁君) 大阪大学大学院の小野田教授が、中学校のチャレンジテストの問題についてコメントを寄せているものがあります。その文章の中で、学力テスト最高裁大法廷判決、一九七六年五月二十一日の判決です。この判決を引用して、行政調査には歯どめがあり、教育活動とは区別されるべきであるというこの判決を紹介しているんです。ちょっと紹介いたします。
 「学力調査、いわゆる学テとしての試験は、あくまでも全国中学校の生徒の学力の程度が一般的にどのようなものであるかを調査するためにされるものであって、教育活動としての試験(中間や期末考査)の場合のように、個々の生徒に対する教育の一環としての成績評価のためにされるものではなく、両者の間には、その趣旨と性格において明らかに区別があるのである。それ故、本件学力調査が生徒に対する試験という方法で行われたことの故をもって、これを行政調査というよりはむしろ固有の教育活動としての性格を持つものと解し、したがって地教行法五十四条二項にいう調査には含まれないとすることは、相当ではない。もっとも、行政調査といえども、無制限に許されるものではなく、許された目的のために必要とされる範囲において、その方法につき法的な制約が存する場合はその制限の下で、行わなければならない」、こういうふうに判例が示されているんですね。
 これは最高裁大法廷判決なんです。これは当時の全国学力テストにかかわっての問題ですけれども、ここでも、いわゆる生徒の学力の到達度合いを判定する試験と、そして学校現場での教育活動としての試験というのは明確に区別されなければならないというふうになっているんですよね。そういう観点から見て、府教育庁がやっているチャレンジテストというのはやっぱり非常に問題点の多いものだと言わざるを得ないというふうに私は思っております。
 実は、幾つか現場の声をまとめたものがありますので紹介させていただきます。
 テストの結果ばかりが重視され、授業での学習が評定の対象から外されつつある。日々の努力の大切さが忘れられてしまえば、学校教育とは一体何なのかと言わざるを得ない。チャレンジテストの運用については強い疑問と憤りを感じる。五教科の結果において残りの四教科が評価されることの矛盾を明確にされず、ぼかした状況であたかも正しく最善の判断であるかのような高圧的な押し切りで進められることが、平等な教育の推進を行わなければならない組織の判断する方向とは決して理解することはできない。さらに、このような発想は権力者(勝ち組)のエゴにすぎないとしか思えない。チャレンジテストは教育的根拠のないものであり、府の政策であると考える。
 これは、実は大阪市の市立の中学校長会が、昨年、チャレンジテストの見直しにかかわってアンケートを校長先生にとっているんです。その校長先生のアンケートの中の自由記述の欄に書かれている言葉なんです。ですから、学校現場の責任者がこういう思いを持っているというのがチャレンジテストの実態なんです。
 もう一つ紹介しましょう。この際、チャレンジテストの活用は、府内の生徒の学力を把握、分析することにより、大阪の生徒の課題の改善に向けた教育施策及び教育の成果と課題を検証し、その改善を図ることのみに活用すればよいのである。教員を愚弄するにもほどがある。大阪の教育をばかにしないでもらいたい。生徒に寄り添い、生徒に親身の指導ができるのはその学校の先生だけである。学校の先生が誇りを持って仕事ができる環境をつくることも教育行政の仕事である。指導と評価の一体化を全く無視するチャレンジテストは全く必要ない、直ちに廃止を求めたい。チャレンジテストについては、チャレンジテストにより学校ごとの評定平均を求められていることで、低い評定平均となった学校において、しんどい課題を背負いながら生きている生徒、保護者、地域の人々の持つ劣等感や絶望感がわかっているのか。日々健闘している教員の嘆きを聞いたことがあるのか。高い評価平均をとった学校の生徒の理由のない優越感、そこから生じる差別感情に気がついているか。チャレンジテストの存在自体を無効にすべきである。ここまで辛辣な意見が学校現場の責任者から出ているというこの問題、私はこれは絶対に見過ごすことはできない意見だと思うんですよ。
 こういう現場の意見に対して、教育長、どう思いますか。

◎教育委員会教育長(酒井隆行君) チャレンジテストにつきましては、さまざまな経過があるということであります。そして、今、委員お示しの評価の枠組みといたしまして学校教育法が求めていますのは、まず知識、技能というカテゴリー、そして二つ目が思考力、判断力、表現力というカテゴリー、そして最後に、学びに向かう姿勢、この三つのカテゴリーがあるわけです。それをもって評定がなされるわけでありますが、学校の評価というものが、先ほど高等学校課長も答弁しましたように、必ずそれに沿って万全なものかということが一つあると思います。これは決して教員を愚弄しているとかそういうレベルではなく、人間がやることであります。
 その一方で、私たちが追求していますのは、高校入試における評定の確からしさ、公正性であります。前者の評価という部分と高校入試において求められる公正性、このバランスをどうとるかというのが私たちに課せられたミッションであります。そこでさまざまな意見があって現在の制度が成り立っているわけでありまして、決して違法性があるというふうに私は思っておりません。
 ただし、一方で、一〇〇%万全な制度かというと、それは私もクエスチョンであります。やはり制度に万全なものはございません。よりよい制度にする、そうしたことを目指して私どもはやってまいりました。そして、今回の改正もその一つであります。

◆(内海公仁君) 教育庁として、大阪府として、今回の見直しにかかわる問題も含めて、大阪府下の全ての学校長、今回、小学校も入りますから、小学校、中学校の学校長にきちんと匿名を保証してアンケートをとって意見を聞くべきだと。それぐらいの丁寧さをもって、今、教育長がおっしゃったように、万全はないということを思っていらっしゃるんだったら、ぜひそういう努力を今後していただきたいということを強く要求しておきたいと思います。
 続いて、小学校で新たに導入されるテスト、これは一体どういう内容のものですか。

◎小中学校課長(桝田千佳君) 小学校の子どもたち一人一人に確かな学力をつけることをずっと目指してきております。これまでも、学習内容の定着状況を確認するためのテスト、これを府が作成いたしまして各学校に配付し、各校で採点、分析して学校の取り組みの検証、改善を進めるように取り組んできております。
 しかしながら、依然として、小中学校の学力に課題が見られる状況がございまして、小学校段階でしっかり小学校の学習内容を確実に定着させることが必要であると考えております。
 このたび、府が統一してテストを実施し、教員の作業量を軽減して、子どもとかかわる時間を確保して、学力向上の取り組みの充実を図りたいと計画しているところでございます。

◆(内海公仁君) これは、小学校の六年生、五年生という形でどんどんテストの訓練をさせていく、明らかにこういうことの拡大につながるんじゃないかなというふうに思います。仮に今おっしゃっているように、子どもの学習内容の定着状況を確認するということであれば、もう既に全国学力テストで子どもたちの学習の問題点や課題というのは見えているんじゃないですか。先日報告された報告書を見ても、小学校では言葉等の知識や理解には課題が見られると、本当に何が必要かということはちゃんともうわかっているわけです。だったら、その課題に必要な授業をしっかりしましょうや。そのことが子どもたちの学力を本当に引き伸ばしていく、子どもたちの一番おくれている--ここに出ている課題というのは、ちゃんとじっくり時間をかけて物事を考え判断するというその取り組みができていないということのあらわれだと私は思うんですよ。そういう授業をする時間を保障をすることのほうが小学校の教育にとって大事じゃないかということを私は本当に思っております。これは、テストを拡大する、そして小学校のうちからテストを受けるための訓練を繰り返させる、こういうことをするものだというふうに思うんです。
 このことによって授業数が減るという状況が想定されませんか。

◎小中学校課長(桝田千佳君) 委員がおっしゃいますように、授業をしっかりしていく、これは、これまでの全国学力・学習状況調査等から授業の行うべき方向等ももちろん示しており、授業改善にも取り組んでいるところでございます。
 一方で、子どもたち一人一人がどんな状況にあるのか、どこがよくできていて、どこが課題となっているのか、一人一人に対する支援というのも必要でございます。そのことを把握するためのテストと考えておりまして、授業時間とテストの時間、それをどのように教育課程に組み込んでいくか、これはもちろん学校長が判断するところでございますが、必ず教育課程に生かしていくものと考えて実施していく所存でございます。

◆(内海公仁君) 教育というのは学校現場の仕事なんですよ。それをこういうテストを、それこそ機械的に、しかも業者のテストを持ち込むということは、現場の思いを超えた行為になるというふうに思わざるを得ないということを指摘しておきます。
 ちなみに、今回の見直しによって、これまでのチャレンジテストにかかっていた予算の規模、これがふえることになりますね。学年もふえることになり、受ける教科数も変わりますからね。その辺については、例えば平成三十年の時点で大体三億程度ということで理解しているんですけども、今の学力テストの費用総額というのは大体三億程度という理解でよろしいですか。

◎小中学校課長(桝田千佳君) お示しのとおり、現在は三億円程度で、今後についてはまだ計画中で、精査しているところでございます。

◆(内海公仁君) 学年がふえていきますから、当然金額もふえていくことになるかと思います。私の勝手で想像すると、三億の枠組みではとてもとてもできない。四億、五億に届くような事態になりかねないということになると思うんですよ。疑問、課題がいっぱいあるチャレンジテストという行政行為に対して費用を出していいのかということが問われているというふうに私は思っています。
 改めて、私は、このチャレンジテストの矛盾と問題点が広がっているということを感じておりますので、この点については後ほど知事質問で知事にも直接お聞きしたいというふうに思っておりますので、委員長においては配慮をお願いしたいと思います。

・特別支援学校の教育環境の整備について

◆(内海公仁君) 続いて、特別支援学校にかかわっての質問をさせていただきます。
 特別支援学校、実はことしの二月の委員会の質問のときに、我が党の石川たえ委員の質問でも、通学区域割りが新たに変更になるということが示されるもとで、本当に保護者の負担が、とりわけ兄弟関係とかこの負担が大変な状況について特別な配慮をということを求めた質問をさせていただいたわけですけれども、その点について今の状況をちょっと教えていただけますか。

◎教育振興室副理事(白居裕介君) 令和二年度から実施をいたします通学区域割りの変更に当たりましては、保護者の理解を得ることが重要でございますので、学校長等を通じまして、関係する児童生徒の保護者等からの御意見や御要望等をしっかりとお聞きをしながら、個別に対応をしているところでございます。
 引き続き、個別の事情につきましては十分にお聞きをした上で丁寧な対応に努めてまいります。

◆(内海公仁君) 実は、ある方から切実な訴えを聞いたんです。というのは、来年度からの通学区割りの変更が発表されたのはことしの一月段階なんです。ところが、その方は、いわゆる支援学校に入学するかどうかをその前の年の秋口からずっと相談をしていて、八尾支援学校とも何度も何度もやりとりをしていた。その中で、八尾支援学校ではそれこそ小学校、中学校、高校と一貫した教育を受けられる、こういうことも丁寧に説明を受けて、安心してここへ行かそう、こういう決意をしたのが去年の十二月なんです。ところが、もうあっという間に、高校になったらかわらなきゃならんよという話が出てきて、私が思っていたことと全く違うこと、だまされたような思いだと、こういうふうにおっしゃるんです。こういう方に対しても本当に個別具体の丁寧な対応をしていくべきだと私は思うんですけども、いかがでしょうか。

◎教育振興室副理事(白居裕介君) 関係する児童生徒の保護者からのいろいろな御意見、御要望についてでございますけれども、今、委員お示しのとおり、今回の見直しについては、この一月に決定をしまして、来年の令和二年の四月から実施をすることにしておりますけれども、この一月に実施をしました際に、関係する在籍している児童生徒がおる学校については、校長等を通じて関係する保護者の方々に個別に説明会を順次学校ごとに実施をさせていただきますとともに、各地域のこれから入学を考えておられる幼児児童生徒さんもおられますので、そちらについては市町村教委を通じまして協力を得まして、地域ごとに順次説明会を丁寧に実施をさせていただいたところでございます。
 加えまして、今おっしゃっているように、個別のそれぞれ事情を持っておられる方がおられますので、そういった個別の事業につきましては、先ほどの答弁の繰り返しになりますが、学校長を通じまして丁寧に十分お話をお伺いした上で、丁寧な対応に努めているところでございます。

◆(内海公仁君) ぜひよろしくお願いいたします。
 特別支援学校が本当に過密過大になってきているということが繰り返し問題になっていて、府としては新たな基本方針もこういう形で平成三十年三月に策定されて、この取り組みを進めていくということになっているんですね。
 ところが、前回の通学区割りの見直しというのは、四校新たに設置されて、そしてそれに伴って過密を緩和しようということによって二〇一五年から通学区割りの変更なんかもやられたんですね。ところが、その結果どんな状況になっているかというと、実は、その後も過密の状態というのはあんまり解消されてないんですよ。八尾支援学校では、平成二十七年の在籍数が三百七十七名、二十八年には三百七十一名、二十九年も三百七十一名、六人ほど少し緩和されています。ところが、平成三十年になると三百九十二名、そしてことし令和元年の五月一日になると四百十一名と、通学区域割りの変更がなされてもすぐに過密な状態がやってきている、こういう事態なんです。
 ちなみに、前後して、教室不足あるいは教室の転用の問題の国の調査があって、ところが、そのときの調査に対して大阪府教委としては、今後整備を必要とする教室があるんだということを答えている。これは二〇一六年の十月の段階で文科省がとった資料では、堺の百舌鳥支援学校の必要数が示されているのみで、先ほど紹介した八尾支援学校などの必要がある数字というのは一切出されていなかったんです。これは一体どうしてこういう事態になるのかということを私は本当に疑問に思っているんです。現場の転用の事実がありながら整備が必要ということにならない、こういう状況のまま、今回の基本方針を読んでみると、私は一層深刻な過密過大を助長する計画になりはしないかというふうに思うわけです。
 具体的な実施の内容というのは、一つは、現在の支援学校の既存の施設の活用、これはつまり転用とか通学区割りの変更等で対応するというのが第一項目です。それに対応可能なのは四百人程度と数字が入っています。二つ目には、ほかの障がい支援学校との再編整備によってということでのいわゆる知肢併置とかこういうことも含めての対応となりますけれども、これで二百五十人から三百人の対応、このどちらも実は今現在の瞬間でも本当にいっぱいいっぱいの状態になっているというのが現状なんです。それから、三つ目のテーマとなっているのは、既存の府立高校内に支援学校の分教室の設置、これで百五十人から二百人を対応しようということになります。ところが、府立高校内に支援学校の分教室を設置するというのは、管理のあり方とか、それこそ誰が支援学校の管理責任者になるのか、そして教員はどうされるのかという問題も含めて、相当課題がいっぱいあります。そして、四つ目に、新たな支援学校の新設ということで、この新設でも対応するのは六百人程度なので、これでトータル千四百から千五百人程度のふえるであろうという見込みの対応をするというのが今の府の方針なんです。
 私は、これを見る限り、とてもとても今現在の過密の状態をクリアできるような方針にはなってない、こういうふうに思うんですが、教育委員会の見解はいかがでしょうか。

◎教育振興室副理事(白居裕介君) 知的障がいの児童生徒が近年増加をしていっている中で、委員お示しのように、学校によっては在籍する児童生徒が増加をしている中で施設の狭隘化が進んできているという状況にあることは一定認識をしております。
 そういった中で我々としましては、先ほど委員お示しをいただきましたように、平成三十年の三月に府立支援学校における知的障がいの児童生徒の教育環境の充実に向けた基本方針を策定をいたしまして、その中で、今、委員からもお話がありました通学区域の変更ですとか特別教室の転用といった既存施設の活用を初めとして、委員がおっしゃっている四つ目の支援学校の新設ということも含めまして、四つの方策を取りまとめたところでございます。
 我々としましては、この中の支援学校の新設については、それを実現するまでには一定の期間を要しますが、スピード感を持って対応を今進めているところでございます。
 あわせまして、早期の対応が可能な既存施設の活用につきましては、引き続き学校の児童生徒の状況ですとか施設の状況、これを十分に把握をした上で、教育活動に支障がないように十分ここを配慮した上で検討をしたいというふうに考えております。

◆(内海公仁君) ちょっと画像の切りかえをお願いできますか。
 私、二〇一八年の一月のときに八尾支援学校を見学させていただいたんです。そのときの写真をちょっとごらんいただきたいんですけども、この写真は、扉の真ん中に壁があるのがわかると思いますけども、この壁を挟んで左側と右側にそれぞれ教室が分かれているんです。教室を二つにしている。ところが、入り口はその扉を共用しているわけですから、片一方の扉をあけたときは片一方が入れない、片一方をあけたときは片一方が入れない、こういうような事態がありました。これが一つです。
 それから、これは同じ八尾支援学校の廊下の突き当たりと言ったらいいんですかね、その部分がつい立てを立てて部屋の状態になっているんです。これは何かと聞くと、子どもたちのクールダウンが必要なときのための休養室に使っています、こういうことで、廊下ですから、消防法との関係で上の部分はちゃんとあけておかんといかんのでこんな状態になっているという実態を見させていただきました。
 それから、三つ目の写真をごらんください。これは、今見た廊下を百八十度後ろに向いた廊下の反対側なんです。これも廊下にこのように立派なICTのプロジェクター、そしてパソコンが無造作に三台も置かれているんですよ。こういう管理の状態をせざるを得ないというのが現場の実態なんです。
 こういう状況の中で、既存の施設を活用するというのは本当に限界に来ているという状況をやっぱりぜひ知っていただきたいし、その観点から見ても、この方針は本当に不十分な実態があるというふうに思っております。
 さらに、これはある意味、過密過大の結果としてのことなんですけども、これは八尾支援学校の職員室なんです。もう本当にすし詰め状態で机がいっぱい入っていて、ちょっと写真の角度が悪いんですけれども、机と机、先生が座ると背中合わせで、通路もないようなそんな状態になっています。しかも、この職員室は、もともと廊下の部分までぶち抜いて部屋を拡張して職員室にしている、こういう実態があったんです。これは結果としてこうならざるを得ないという今度は職員の側の問題だというふうに思うんですが、こういう実態について府教委としてはどのように考えられているか、ちょっと御意見をいただきたいと思います。

◎福利課長(島正子君) 職員室の労働環境についてお答えをさせていただきます。
 職員室の環境につきましては、働く先生方ということで労働安全衛生法がございまして、それに基づきまして厚生労働省のほうが事務所衛生基準規則というのを持っております。また、学校保健安全法に基づきまして文部科学省では学校環境衛生基準というのがございまして、その中で室温でありますとか照明でありますとか、粉じん、清潔保持、そういったものについて管理基準が定められているところでございます。
 このうち、委員が今お示しになられたすし詰め状態というような職員室の大きさに関係する基準といたしましては二つございまして、一つが厚労省の事務所基準でございます。労働者を常時就業させる室の広さにつきましては、労働者一人当たり十立方メートル以上とすることということが定められております。もう一つは、労働者一人当たりの必要な換気量が適切かどうかの観点から二酸化炭素濃度に関する規定が、これは厚労省、文科省ともの基準のほうに定められているところでございます。
 府教育庁におきましては、学校におけるこうした管理基準に係る検査体制というものを整備をいたしまして、その遵守に努めるというところ、これはしているところでございます。また、教職員の労働安全衛生の確保を図るためということで、大阪府立学校職員安全衛生管理規程というものを定めておりまして、その中で安全衛生管理者として位置づけられています校長先生、准校長先生が、各学校に設置した安全衛生委員会、これは現場の先生も入っていただいて、ともに話し合いをしていただくという場でございますけれども、そういった場の活用を通じまして、労安法に定める目的である快適な職場環境の形成、これを促進していただけるよう指導しているところでございます。

◆(内海公仁君) いろいろ取り組みはされているとは思いますけれども、こういう学校現場の実態、とりわけ職員が大変な状況になっているような実態も含めて実態を把握するという取り組みも、もっと丁寧にやっていただきたいなというふうに思いますので、これは要望しておきます。
 そして、こういった問題が起きてくる背景に、幼稚園であれ、小学校であれ、中学校であれ、高等学校であれ、大学であれ、国において学校の設置基準というのが設けられている。ところが、特別支援学校に関してはこの設置基準がないということが、国会でもこの間我が党の質問の中でも明らかになって問題になっております。当時の柴山文科大臣などは、決して設置基準が必要ないというものではない、つくらないということではないというふうにもおっしゃっておりました。ただ、いろいろ事情に応じてつくっていかなきゃならんという考え方があるので設けてないという状況なので、今後、大阪府において、設置するに当たってどういう考え方でつくっていかれるのか、その点について説明ください。

◎教育振興室副理事(白居裕介君) 支援学校の設置基準についてでございますけれども、支援学校では、児童生徒の障がいの状況等によりまして必要な環境が大きく異なりますことから、施設の設置基準を一律に設定をすることは困難であると考えておりまして、国におきましても特に基準は設定をされておられないところでございます。
 このため、大阪府では、支援学校の整備に当たりましては、文部科学省が策定をいたしました特別支援学校施設整備指針や既存校の施設設備の状況等を参考にいたしまして、必要な計画を策定し、整備を進めてきたところでございます。
 平成二十五年度以降に開校いたしました新たな知的障がい支援学校四校につきましても、この整備指針等を参考にして整備を行い、運営をしているところでございまして、今後の知的障がい支援学校の新設に当たりましても、これまで同様に適切に対応してまいりたいと考えております。

◆(内海公仁君) いずれにしても、今後新設ということの計画があるわけですけども、この計画そのものを、五年の見直しの時期もありますから、この見直しのときには本当に現状をしっかり踏まえた見直しをしていくということを強く求めていきたいと思っております。こうした問題については、これも知事質問をさせていただきたいと思いますので、委員長の御配慮をお願いいたします。

・私立学校の耐震化について

◆(内海公仁君) 続いて、学校園の耐震化の問題について非常に関心を持って見ておりました。この間、公立学校、それから府立学校でかなりの進捗があるということを聞いております。
 そういう状況の中で資料を見ていて気になったのが、私立の学校での耐震化の問題で、特定の学校において随分おくれている実態が散見されるという状況があります。この対応について御説明いただきたいと思います。

◎私学課長(近藤未生君) 私立の学校の耐震化につきましてお答え申し上げます。
 府としましては、平成三十年度までとしておりました府独自の私立学校耐震化緊急対策事業補助金制度を二年間延長いたしまして、私立の学校の耐震化を支援しているところでございます。
 また、学校に対しまして、耐震化が実施されていない理由等につきましてヒアリングを実施いたしますとともに、耐震化を早い時期に行っていただく旨の計画を策定することや、児童生徒が活用します校舎等を耐震済みの建物へ集約するなどの取り組みにつきまして働きかけを行っているところでございます。
 加えまして、国の補助金制度の活用ですとか、日本私立学校振興・共済事業団の資金借入制度等につきまして丁寧に説明をするなど、学校のニーズに即した助言や情報提供などを行いまして、私立の学校における耐震化を一層加速させるように努めてまいりたいと存じます。

○委員長(中野剛君) 内海委員に申し上げます。申し合わせの時間が経過していますので、発言は簡潔に願います。

◆(内海公仁君) 幾つか残された質問がありますけれども、時間が来ておりますので、本日の質問は以上で終わりたいと思います。
 教育委員会、教育庁におかれましては、今後とも、現場の教員、そして子どもたちの声をしっかりと踏まえた行政を行っていただきたいということを最後に申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。



   


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