知事、三洋電機に破格の優遇
新工場進出に補助10億円
制度創設の疑い
府議会委で和田議員追及
大阪府が、三洋電機新工場の府内への進出にさいして同社に支出した、企業立地促進補助金10億円は、太田房江知事が井植敏同社会長との話し合いの中で補助額を10億円に引き上げるなど制度創設した疑いが強くなってきました。井植会長は、太田知事の選挙確認団体「21世紀大阪がんばろう会」の代表を務めており、「成長産業の誘致」(太田知事答弁)を理由に、三洋電機に破格の優遇制度を適用した格好です。4日の府議会決算特別委員会で日本共産党の和田正徳議員が取り上げました。
長は知事の選挙確認団体代表
企業立地促進策をすすめる府は今年度から先端産業立地促進補助金を設け、IT、バイオ、ナノテク関連産業の工場が府内に立地した場合、進出企業に最高10億円の補助金を交付することにしています。三洋電機は同制度の適用第1号で、限度額いっぱいの10億円を受け取り、二色の浜産業用地(貝塚市)に約4fの太陽電池工場を新設します。
府はこれまで三洋電機の新工場進出以前に今年度予算要求していたものと説明していました。しかし和田議員の調べでは、府商工労働部からの03年度予算要望は02年10月29日に作成され、そこでは産業拠点立地企業展開補助金については先端産業・企業に「特化」して拡充するとし、限度額を分譲の場合は10億円、賃貸の場合は5億円としていました。その後、03年3月14日の起案で補助対象に、「知事が認めるもので次の要件を満たすもの」として▽常時雇用100人以上▽土地取得(賃借)面積3f以上▽投資額50億円以上−が追加されました。
三洋電機の新工場建設の話がでたのは昨年末で、井植会長と会った知事が同社の他県での新工場建設を知り、府内への進出を強く要求。正月をはさんで条件を検討し、1月初旬に太田知事が直接井植氏に電話で話しました。和田議員はそのさいの内容を聞いたところ、太田知事は「優遇制度も話したが、それも魅力に感じてもらったのではないか」と答弁。知事が10億円の補助制度を提示し、補助対象枠が拡大された可能性が強まりました。
和田議員は、「知事と深い利害関係にある人物が会長を務める大企業に知事という地位をつかって巨額の補助金を出すことは行政の私物化であり、不明朗きわまりない」と厳しく指摘しました。