2月大阪府議会の開会にあたって
2020年2月25日
日本共産党大阪府議会議員団
本日、2020年2月府議会が開会しました。吉村知事は本会議で「いのちと暮らしを守ることが、行政の最大の使命」とのべました。しかし提案された新年度予算と施策は、所得減と負担増にあえぐ府民の暮らしと大阪経済を底上げするにはほど遠いばかりか、安倍政権に輪をかけた住民負担増を押しつける“突撃隊”としての性格をむき出しにしたものです。さらに、カジノ、「大阪都」構想、大型開発乱発の再開などで、大阪の困難をさらに深めるものです。
大阪では正規雇用率が全国より低く、所得も10年前を下回ったままです。消費税10%増税による打撃に加え、新型コロナウイルスの危険も拡大しています。ところが新年度予算では、これらの危機からの暮らし・営業防衛策はほとんどありません。
ものづくり支援予算は維新府政前の4分の1、小売商業関連予算は25分の1と激減させたままです。中小企業向け融資枠もさらに縮小します。21年度からは中小企業支援そのものを財団法人に“丸投げ”します。
安倍政権の「全世代型社会保障」の名での全世代切り捨てから府民を守るどころか、さらなる負担増を押しつけます。24年度の国民健康保険料府内一本化に向け、ペナルティさえ科して市町村の財政支援をやめさせ、保険料大幅値上げを導こうとしています。老人医療費助成制度を来年3月限りで完全廃止し、約3万5千人への補助を打ち切ります。厚労省の公的病院統廃合も吉村知事は「前向きに進める」姿勢です。
子育て・教育施策も、子どもたちの実状と願いにこたえるものとはなっていません。子どもの貧困対策予算、子ども医療費助成制度、少人数学級のいずれも、独自の増額や拡充はありません。一方で、「中学生チャレンジテスト」を改悪・拡大、21年度からは全小学5・6年生にも新テストを行います。14年度以降に公立高校8校を募集停止にしましたが、23年度までにさらに8校をつぶします。今後増加する知的障がい支援学校の児童生徒の多くを既存支援学校に詰め込み、新設は西淀川高校跡など2校600人規模のみとする計画です。
府立大学「学費無償化」の対象は3年以上府内に在住する学生だけで、学業成績でさらにふるい落とします。府大と大阪市大を22年度に統合し、森ノ宮に新キャンパスを整備しますが、運営費交付金の増額など教育研究条件の改善なし、大学の自治を無視しての統合では優れた大学にはなりません。
自然災害対策が急務ですが、京都府などが実施している恒常的な住宅被害支援制度は設けません。ブルーシート1万枚の備蓄を行いますが、活用した市町村から費用を徴収します。氾濫の危険がある府内56河川の改修予算は前年度より減少、現在のペースでは完了まで30年以上かかります。
一方で、カジノ誘致と「都」構想への突進にはさらに拍車がかかっています。
維新議員も含めた“IR汚職”はどこ吹く風で、府民の不幸で儲けるカジノを26年度までに開業する方針は変えません。事実上大阪カジノの事業者は決定していますが、新年度も2億円以上の予算で「IR事業者選定などを進める」一方、ギャンブル依存症対策は極めて貧弱です。
「都」構想の住民投票を11月に実施するとし、新年度も副首都推進局の運営に5億3千万円を費やします。「都」構想は、大阪市の廃止・分割で巨額のコストを要し、大阪市民の暮らしを守る施策を後退させるものです。また、消防や水道など大阪市が担ってきた都市機能の多くを府が担わざるをえず、衛星都市を含めた府民の暮らしを守る府の役割も後退せざるをえません。
府民の需要もない地下高速鉄道「なにわ筋線」や阪神高速道路淀川左岸線延伸部の建設、大阪モノレール延伸をすすめます。カジノに府民を誘導するための京阪中之島線、地下鉄中央線、JR桜島線の延伸や、「なにわ筋線」のさらなる北伸も計画しています。
消費税増税の打撃などで新年度の府の実質税収が減少する見込みで、将来の府財政も厳しい見通しです。今こそ税金浪費のカジノ誘致、「都」構想、大型開発乱発はただちに中止し、府民施策への財源を最大限確保すべきです。
日本共産党府議団はこの間、府民との共同の力で、福祉医療費助成制度の精神病床入院助成の継続、中小企業向け新型コロナ緊急融資、性暴力救援センター・大阪SACHICOへの医療費補助、パートナーシップ認証制度などを実現しました。今府議会でも、維新府政のカジノ・「都」構想・開発乱発路線に歯止めをかけ、暮らし・福祉・子育て・防災などの願いを前進させるため全力でたたかうものです。
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