2019年度の予算編成並びに施策についての
重点要望
2019年1月8日
大阪府知事 松井 一郎 様
日本共産党大阪府議会議員団
団長 宮 原 威
はじめに
「地域で安心して子育てがしたい」「高齢者が大切にされるように」-こういった府民の願いとは裏腹に、大阪では児童虐待や子どもの暴力行為が多発、高齢者の孤立と生活苦など、余りに厳しい状況が広がっています。背景には、長時間労働や低賃金などによる府民の暮らしの貧困化があります。子育てと教育、医療や福祉の負担増が、その困難をさらに重いものにしています。
さらに、6月の大阪府北部地震、9月の台風21号は、府内全域に甚大な被害をもたらしました。被災府民の生活再建、中小商工業や農林水産業の再建はいまだ途上です。
子どもと高齢者の貧困対策をはじめとする府民の暮らしの底上げ、2つの災害の被災者支援と今後も起こる地震・台風などから府民を守る取り組みなど、いま大阪府が直面している課題は山積みです。
ところが今の大阪府は、カジノ誘致に熱中し、万博を名目にした新たな高速道路・高速鉄道建設に突き進んでいます。カジノ万博頼みで「大阪経済の成長の起爆剤」にという道が行きつく先は、かつて破たんした大阪湾ベイエリア開発の二の舞いです。
現府政が軽視し後退させてきた、医療、福祉、教育、子育て、防災、中小企業、文化などの府民生活支援に府政の重点を転換し、府民の暮らしの願いに応える立場から、以下の最重点項目・重点項目を要望するものです。
最 重 点 項 目
① 災害による住宅被害に対し、被災者生活再建支援法による支援金支給額を引き上げるとともに、支給対象を一部損壊に拡大するよう国に求める。
府として一部損壊への補助制度を設ける。
② 小中学校、高校、支援学校、幼稚園の危険ブロック塀はただちに撤去する。通学路等の民間ブロック塀撤去への補助を増額する。
③ 小中学校、高校、支援学校、幼稚園のすべての教室と体育館にエアコンを設置する。
④ 河川改修予算を倍加し、改修が必要な府内56河川について、国にも予算拡充を求めて改修テンポを速め、遅くとも10年以内に終える。
河川維持予算を倍加する。
⑤ 上下水道管をはじめ、生活インフラ施設の耐震化や更新を抜本的に強める。
⑥ 国民健康保険に公費を1兆円投入して平等割・均等割を廃止し、高すぎる国保料を引き下げるよう国に求める。
保険料率と減免制度の府内一本化はせず、市町村が独自に設定することを基本とする。市町村が法定外繰り入れを行うことを認める。
⑦ 重度障がい者医療費助成制度の患者負担は、昨年4月の引き上げ以前の水準に戻す。
⑧ 保育・介護など福祉職員の処遇改善を国に求めるとともに、府としても独自策を検討し、計画的に待機児・待機者を解消する。
⑨ 救命救急センターの補助金を増額し、体制充実をはかる。
⑩ 子ども医療費の通院助成を小学校卒業までに拡大し、就学前の窓口負担は無料にする。
⑪ 子ども家庭センターの児童虐待対応職員を抜本的に増員する。
⑫ 小中学校全学年で35人以下学級を実施する。
⑬ 中小企業支援とセットで、最低賃金をただちに1000円に引き上げるよう国に求める。
中小企業の新規採用者の奨学金返済への補助制度を創設する。
⑭ カジノ誘致は中止する。
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1.被災者支援と防災に全力をあげ、災害から府民を守る
(1)大阪府北部地震、平成30年台風21号による被災者の支援
① 住宅被害に対し、被災者生活再建支援法による全・大規模半壊等への支援金支給額を引き上げるとともに、支給対象を一部損壊に拡大するよう国に求める。【最重点項目】
② 府として一部損壊への補助制度を設ける。【最重点項目】
③ 府としてブルーシートを確保し、市町村を支援して屋根が破損した住宅の応急処置を行う。業界やNPO団体などと協力して設置のための人員を確保する。
④ 木造住宅耐震改修補助制度の「1981年以前に建築された住宅」という要件を少なくとも2000年以前に緩和する。1軒当たりの補助総額が60万円以上となるよう、府の補助を増額するとともに、国に負担割合の引き上げを求める。
⑤ 被災世帯の国民健康保険料、介護保険料を減免する市町村へ財政支援を行う。店舗・工場・機械設備等に被害を受けた中小業者も減免補助の対象にする。
⑥ 被災農業者向け経営体育成支援事業は、建築確認申請を行っていない農業施設にも実情に応じて適用する。
⑦ 河川上流の倒木の状況を緊急に調査し、流域の安全など全面的な対策を講じる。
(2)学校の防災・安全
① 小中学校、高校、支援学校、幼稚園の危険ブロック塀はただちに撤去する。通学路等の民間ブロック塀撤去への補助を増額する。【最重点項目】
② 小中学校、高校、支援学校、幼稚園のすべての教室と体育館にエアコンを設置する。【最重点項目】
(3)豪雨災害などの対策
① 河川改修予算を倍加し、改修が必要な56河川について、国にも予算拡充を求めて改修テンポを速め、遅くとも10年以内に終える。【最重点項目】
寝屋川流域などの時間雨量50ミリ対策を急ぐ。
② 河川維持予算を倍加し、河川上流の森林整備や河川内の流木・土砂の撤去を強化する。【最重点項目】
③ 市町村と協力して水害や土砂災害等の防災情報を住民に徹底するとともに、高齢者、障害者、難病患者らの避難場所確保、避難誘導、避難場所での配慮など災害時の支援を強化する。
④ 土砂災害特別警戒区域について、命と財産を守る対策をソフト、ハード両面から市町村とともに強化する。土砂災害特別警戒区域内の住宅の移転・補強補助制度の拡充を検討する。災害が発生する前に避難できる体制を強める。砂防関係予算をいっそう増やすとともに、必要な専門職員を確保する。
⑤ 雨水貯留施設の設置や下水道増補幹線の設置を市町村とともにすすめる。下水道管路の大規模化、更新など、国に対策強化を求める。府としても市町村とともに対策を強化する。
⑥ 淀川と大和川の堤防機能の強化を国に求める。
(4)南海トラフ巨大地震などの地震対策
① 上下水道管をはじめ、生活インフラ施設の耐震化や更新を抜本的に強める。【最重点項目】
② 南海トラフ巨大地震対策、道路・橋など既存インフラの改修など、国民の生命を守る防災・安全対策の予算の抜本拡充を国に要求する。府としても市町村や中小マンション業者への無利子融資など、補助制度を検討する。
③ 長周期地震動対策について、国や専門家、民間企業と協力して対策を早急に検討する。
④ 住宅リフォーム助成制度を創設し、木造住宅耐震改修補助制度や住宅の高齢者改修制度の復活などと組み合わせて実施する。
⑤ 湾岸部をはじめ、住宅地の液状化対策を研究・検討する。
⑥ 地震時等に著しく危険な密集市街地を解消するため、一日も早く関係市と住民の意見をよく聞き、必要な予算を確保するよう国に求める。住民の住む権利は保障する。
2.医療・福祉・介護の充実で府民の生命と健康を守る
(1)国民健康保険の負担軽減
① 公費を1兆円投入して平等割・均等割を廃止し、高すぎる国保料を引き下げるよう国に求める。【最重点項目】
② 保険料率と減免制度の府内一本化はせず、市町村が独自に設定することを基本とする。市町村が独自に保険料抑制や保険料減免などのために法定外繰り入れを行うことを認める。【最重点項目】
③ 独自に保険料率・減免基準の設定や法定外繰り入れを行う市町村に対し、交付金・補助金等を減額することはしない。
④ 府から市町村への交付金の算定基準から、現在の府交付金の交付基準にある、赤字解消や収納率向上・医療費の無理な抑制・法定外繰り入れ解消など住民いじめにつながりかねない項目は除外する。
⑤ 学資保険や児童手当の差し押さえなど行き過ぎた収納対策、資格証乱発や短期証の「超短期化」などは改めるよう市町村に求める。
⑥ 子どもにかかる均等割の減免など、子どもの多い世帯の負担軽減策を検討する。
⑦ 精神・結核医療給付金制度は現行制度を2021年度以降も維持する。
⑧ 府一般会計からの法定外繰り入れなど、国保への府の独自補助を大幅に拡充する。
⑨ 福祉医療費助成へのペナルティを全廃するよう国に求める。
(2)福祉医療費助成制度の患者負担増中止・拡充
① 重度障がい者医療費助成制度の患者負担は、昨年4月の引き上げ以前の、院外調剤含め1回500円以内・1医療機関あたり月3回目から無料・複数医療機関受診時は月2500円以内という水準に戻す。【最重点項目】
② 65歳以上の、精神1級以外の精神通院医療対象者・重度以外の難病患者・結核患者への助成を継続する。
③ 精神障害者2級の通院へ補助対象を拡大する。精神1級の入院への拡大を検討する。
(3)高齢者の介護・医療、介護予防の充実
① 保育・介護など福祉職員の処遇改善を国に求めるとともに、府としても独自策を検討し、計画的に待機児・待機者を解消する。【最重点項目】
② 広域型特別養護老人ホームへの府建設補助金を2009年度の水準に復元(1床あたり270万円を371万円に)し、特別養護老人ホーム建設・待機者解消を計画的にすすめる。
② 施設利用者の「補足給付」の厳格化に伴う影響・実態を府として把握するとともに、市町村と協力した支援・助成(負担軽減や居住する場の確保等)を実施する。
④ 高齢者の介護予防、認知症予防、健康づくりを市町村と協力し抜本的に強める。公的機関への認知症診断タッチパネルの設置普及や「認知症対応人材」(認知症サポート医や看護師及び認知症サポーター等)の育成などをすすめる。
⑤ 住宅リフォーム助成制度を創設し、木造住宅耐震改修補助制度や住宅の高齢者改修制度の復活などと組み合わせて実施する。<再掲>
⑥ 国に対し以下の事項を求める。
(1) 70~74才の医療費自己負担を1割に戻す。75歳以上の医療費自己負担を引き上げない
(2) 70歳以上の高額療養費制度の自己負担上限引き上げはしない。
(3) 後期高齢者医療制度の自己負担引き上げは行わない。保険料特例軽減は、現在の水準を維持する。
(4) 介護保険給付への国負担割合を現行の25%から30%に引き上げ、保険料・利用料を引き下げる。
(4)救急医療など医療の充実
① 救命救急センターの補助金を増額する。三次救急医療を担う救命救急センターの医師、スタッフ、病床数を増やし、必要な患者を原則受け入れられるよう体制充実をはかる。【最重点項目】
② 2次救急告示病院を増やし、府内全体の救急体制強化をはかる。
③ ドクターカーの増加、救命救急士の養成など、市町村とともに命を守る搬送体制の強化をはかる。
④ 住吉市民病院閉院にあたり、跡地に小児周産期と障害児の入院可能な医療機関をつくる。
⑤ 特定検診、がん検診を市町村と協力して無料にする。
⑥ 大阪健康安全基盤研究所は、府民の健康と環境保全に対して府立公衆衛生研究所が果たしてきた役割を強化するよう、当面府の予算を2007年度の水準に増額し、体制整備と機能充実をはかる。
(5)障害者・難病患者支援の強化
① 医療型障害児者入所施設をはじめとする重度障害者の入所施設を、府内で当面2か所新設する。
② 障害者福祉作業所などへの建設補助を復活し運営費補助制度をつくる。
③ 難病患者や精神障害者を含め、障害者の正規雇用を増やす。水増し雇用のないように点検強化する。
④ 難病患者の府への採用制度をつくる。法定雇用率達成への小規模企業への支援を強化する。
⑤ 精神障害者の交通機関利用の助成制度を交通事業者に強く求める。
⑥ 障害者総合支援制度の「応益負担」は速やかに廃止し、利用料は無料にするよう国に求める。
⑦ 放課後児童デイサービスは、事業者の指定時の立ち入り調査だけでなく開設後も定期的に調査を行い、人権侵害を防ぎ適切な支援が行われるよう指導する。
⑧ 難病患者の医療支援、行政窓口、交流・学習等の機能を併せ持った「難病センター」を設置する。
⑨ 小児慢性特定疾病医療費助成の対象年齢の拡充と自己負担の軽減を行う。
(6)必要な人すべてが受けられる生活保護の実施
① 国に対し、生活扶助の削減をやめ、復元を求める。
② 「扶養義務」の過大解釈による受給抑制や生活困窮者自立支援に名を借りた申請権の侵害などが無いよう、市町村及び管内福祉事務所への指導を徹底する。
③ 夏季及び年末一時金を復活する。
④ 生活保護世帯へのエアコン設置のための補助制度を創設する。
⑤ 生活福祉資金の融資は無条件で無利子にする。
⑥ ケースワーカーの増員を国に求める。
3.“子どもの貧困”打開へ、子育て応援に力を注ぐ
(1)子どもの貧困打開と子育て支援の抜本的強化
大阪府が実施した子どもの貧困調査では、家計が赤字になっている家庭や児童扶養手当をうけている家庭は府内全体で3,8ポイントも上昇している。子どもの貧困率が多少下がったとはいえ、子どもの貧困対策は喫緊の課題であることに変わりはない。
① 子ども医療費の通院助成を小学校卒業までに拡大し、就学前の窓口負担は無料にする。【最重点項目】
所得制限を2014年度までの年収860万円以下に戻す。
② 乳幼児・ひとり親家庭医療費助成制度の精神病床入院への助成を継続する。
③ 新子育て支援交付金は成果配分枠、優先配分枠ともに拡充する。
④ 子どもの貧困緊急対策補助金を10億円に増やす。
⑤ 中学校給食が全員喫食になるように市町村を支援する
⑥ 母子家庭の母親の雇用は、就業支援に関する特別措置法に基づき、自治体や地元企業での正規雇用拡大を図るなど支援強化する。
⑦ 児童扶養手当と就学援助の拡充を国に求める。
⑧ 子ども食堂実施の市町村は、新子育て交付金の枠外で貧困対策として支援できるよう制度を創設する。子ども食堂などでの朝食提供事業を新設する。
(2)待機児解消
「第6希望まで出したが待機児となり育児休暇を延ばした」「小規模園まで断られ、祖父母に田舎から出てきてもらうしかなかった」など、“隠れ待機児”も含め、待機児問題は解消されていない。保育士不足が待機児解消に歯止めをかける結果にもつながっている。安心して保育所に預けられることは貧困対策にもつながる。
① 保育・介護など福祉職員の処遇改善を国に求めるとともに、府としても独自策を検討し、計画的に待機児・待機者を解消する。【最重点項目】<再掲>
② 民間社会福祉法人従事者給与改善費を再開し、府として賃金引上げ等の処遇改善を行う。
③ 保育士宿舎借り上げ支援事業の市町村負担の半分を補助する。
④ 新規採用保育士の奨学金返済の一部を事業所が負担できるように、府として補助制度を創設する。
⑤ 学童保育の職員配置数や資格の基準を撤廃しないよう国に求める。子どもの安全と成長を保障するために、保育・学童保育の安易な基準緩和や民間委託は行わない。
⑥ 学童保育に入所を希望するすべての子どもが入れるように、市町村と協力して拡充につとめるとともに、大規模化による詰め込みを解消する。
(3)児童虐待対策の強化
2017年度の大阪の児童虐待相談対応件数は過去最多の18412件に上る。この間、対応が強化されているとはいえ、児童虐待に対応する職員からは過労死するほど1人あたりの相談件数は多い。泣き声通報をはじめ、市民の虐待への認識の広がりから、相談件数が増えているもとで、専門員のさらなる増員と日常的に相談できる場所が欠かせない。
① 子ども家庭センターの児童虐待対応職員を抜本的に増員する。【最重点項目】
② 市町村窓口に複数の専門員を配置できるように補助制度を創設する。
③ 府警設置の児童虐待対策室との連携強化をはじめ、関係機関の連携強化を進める上で、保健師を配置し、保健所との連携をすすめる。
④ 虐待の早期発見やいじめ、不登校の解決のために、全小学校ごとに専任のスクールカウンセラーを配置する。
4.子ども一人ひとりの個性と可能性を伸ばす教育をすすめる
(1)学習支援の強化
貧困家庭の子どもほど学習時間が確保されていない。また、学歴によって所得に大きな差があることが明らかになっている。貧困対策の一環としても、また一人ひとりの個性と可能性を伸ばすためにも、学習支援の充実が必要である。
① 国の指導工夫改善加配のうち約22%を35人以下学級に活用するなどで、小中学校全学年で35人以下学級を実施する。【最重点項目】
② アクティブスクール、スクールエンパワーメント事業は、単年度加配としない。
③ 受験競争を激化させるチャレンジテストは中止する。
(2)学習環境の充実と子どもの安全
① 小中学校、高校、支援学校、幼稚園の危険ブロック塀はただちに撤去する。通学路等の民間ブロック塀撤去への補助を増額する。【最重点項目】<再掲>
② 小中学校、高校、支援学校、幼稚園のすべての教室と体育館にエアコンを設置する。【最重点項目】<再掲>
③ 虐待の早期発見やいじめ、不登校の解決のために、全小学校ごとに専任のスクールカウンセラーを配置する。<再掲>
④ 小中学校の適応指導教室に選任の人員を配置できるよう、大阪府独自で支援員などを加配する。
⑤ 小学校警備員配置への補助を復活する。
⑥ 中学校給食は食育と位置づけ、全校での全員喫食をすすめるために、府として補助制度を創設し、就学援助の対象とする。
⑦ 私立高校授業料助成は今後も継続し、年収590万円以上800万円未満世帯の保護者負担は10万円に引き下げる。
⑧ 私立学校経常費補助金を拡充する。
⑨ 3年連続定員割れ高校を再編整備の対象とする府立学校条例2条2項は削除し、これ以上の高校つぶしは行わない。
(3)高等教育の充実
① 府立大学と大阪市立大学の統合は学生、院生、教授会をはじめ、関係者の意見をよく聞き、大学統合を拙速にすすめない。
② 府立大学の授業料減免枠を拡充する。
③ 府立大学の運営交付金は2006年度(131億円)の水準に戻し、教員・職員数を段階的に復元する。
④ 国立大学学費値上げ計画の撤回と段階的な学費値下げを国に強く要望する。
⑤ 給付制奨学金の拡充、奨学金の無利子を国に強く求める。
⑥ 大阪府独自の奨学金制度を創設する。
⑦ 学生の学費・奨学金・アルバイト等の実態調査を府として行う。
(4)支援教育の充実
障害をもつ児童生徒は今後10年間で増加する傾向にある。一人ひとりの子どもの成長・発達する権利を保障するためには、支援教育の強化は欠かせない。
① 支援学級の“ダブルカウント”を復活し教員を配置する。
② 特別支援学校の看護師を増員する。高度医療サポート看護師を府内で5人以上に増員する。
③ 特別支援学校の増設をはじめ、過密解消をすすめる。
④ 特別支援学校の通学域の変更は子どもの実情に応じて柔軟に対応する。
⑤ 特別支援学校の通学バスに看護師を配置するとともに、必要に応じて保護者同乗ができるようにする。
5.雇用を守り中小企業を応援して大阪経済を活性化させる
(1)安定した雇用、人間らしく働けるルールの確立
① 社会保険料を公費負担する制度の創設など、中小企業支援とセットで、最低賃金をただちに1000円に引き上げるよう国に求める。【最重点項目】
② 若者の就業を促進し定着を図るためにも、中小企業の新規採用者の奨学金返済への補助制度を創設する。【最重点項目】
③ ブラック企業、ブラックバイトに関する指導は国まかせにせず、ブラック規制条例をつくり、府内労働者を守る。
④ 均等待遇のルール確立、非正規労働者の正規化を促進するよう国に求める。
⑤ 労働法制の規制緩和を見直し、人間らしく働くルールをつくるよう国に求める。
(2)中小企業支援の強化
① 大阪府中小企業振興基本条例に基づき、実効ある施策を具体化する。
(1) 中小企業の後継者対策をあらゆる角度から充実する。
(2) ものづくり中小企業関連予算を大幅に増額(6~7億円に復元)する。
(3) 中小企業向け融資の利率と保証料を引き下げる。
② 国に公契約法の制定を求めるとともに、府として公契約条例を制定する。下請け企業の利益と労働者の安全、賃金を保障するよう指導を強める。
③ 中小企業を日本経済の根幹と位置づけ、国の中小企業予算を1兆円に増額し、技術開発、販路拡大、後継者育成、円滑な中小企業金融など中小企業への支援を抜本的に強化するよう国に求める。
④ 国に対し、地域金融活性化法の制定、下請けGメン創設や検査官の増員を求める。府としても、「下請けいじめ」をなくすよう経済界や大企業に働きかける。
⑤ 商店街振興予算の大幅な増額(6~7億円への復元)をはかり、空き店舗を高齢者や子どものために活用するなど、市町村と連携して実情に即した支援策を検討・実施する。
⑥ 大阪産業技術研究所は、府立産業技術総合研究所と大阪市立工業研究所が果たしてきた中小企業の技術支援、地域経済振興の役割が充実されるよう、予算と人員を確保する。
⑦ 中小零細事業者向けの大企業を含めた他業種等とのマッチング、商談会の開催と周知、公共事業発注など仕事づくりの方策を検討する。
(3)経済対策としての安全・防災、福祉・暮らしの充実
① 暮らしの安全、防災型公共事業を府の最優先課題の一つに据え、積極的に推進する。老朽インフラの整備を計画的にすすめる。
② 住宅リフォーム助成制度を創設し、木造住宅耐震改修補助制度や住宅の高齢者改修制度の復活などと組み合わせて実施する。<再掲>
③ 子育て、高齢者支援、福祉人材の育成・確保など、福祉型、生活密着型事業を計画的に推進する。
④ 違法「民泊」の監視体制、取り締まりを強める。「民泊」が近隣住民・地域にとって危険、迷惑とならないよう規制を強化する。
⑤ 福祉施設や学校などでの地産地消の推進はじめ、農林水産畜産業振興、後継者づくり支援などに取り組む。
⑥ 府内産材の公共事業への活用、府内産材を利用した建築物への補助など林業振興を図る。
⑦ 若者の仕事確保と定住促進へ、公営住宅家賃補助制度をつくる。府営住宅用地は府営住宅の戸数増、保育所など福祉施設の建設などに活用する。
6.カジノ誘致や「大阪都」構想は中止し、安全、安心のまちづくりをすすめる
(1)カジノ、大型開発、「大阪都」構想の中止
① カジノはギャンブル依存症を広げ府民の勤労意欲を低下させるとともに、経済効果も期待できないものであり、誘致は中止する。【最重点項目】
② 阪神高速道路淀川左岸線延伸部(税金負担1800億円以上)やなにわ筋線(税金負担1950億円以上)の建設は中止する。淀川左岸線2期は安全性を厳しく再精査し、中止を含めて見直す。
③ 大型開発と連動し2800億円以上を費やす、2025年大阪万博の夢洲での開催を再検討する。
④ 安全・環境・エネルギー・採算性など多くの点で問題があるリニア中央新幹線建設は中止する。大阪への延伸要望は撤回する。
⑤ 「大阪都」構想や副首都構想は中止する。
⑥ 咲洲庁舎から撤退し、府庁舎は大手前に集約する。
(2)府営住宅の充実
① 府営住宅削減計画を中止する。府営住宅敷地内の売却予定空き地を活用し、府営住宅整備基金も活用した新たな府営住宅の建設や保育所・特別養護老人ホームなどの建設に活用する。
② 地位承継の範囲を、生活保護基準に準じる低所得者にも拡大する。
③ 入居者の高齢化にともなう支援をすすめる。
(1) 中層住宅へのエレベーター設置のテンポを上げる。
(2) 清掃など府営住宅管理における入居者の負担を軽減する。
(3) 駐車場管理やふれあいリビングの運営など、入居者の活動を応援する。
(3)安心・安全の施策の推進
① 市町村や学校、警察、ボランティアなどとも協力し、子どもや女性を犯罪から守る対策を強化する。
② 学校警備員への補助を復活する。通学路の安全確保など、児童・生徒の安全対策を、市町村とともに強める。青少年インターネット環境整備法をより実効あるものにするよう国に求める。
③ 街頭犯罪、「振り込め詐欺」等の特殊詐欺、危険ドラッグなどの対策を強化する。
④ 高齢者や障害者がよく利用する特定府道370カ所の段差解消は2020年度までとしているが、前倒しして計画的にすすめる。
⑤ 交番設置の要望が出ているところは、緊急性の高いところから設置する。
⑥ 市町村からの要望に基づき、信号設置を計画的にすすめる。交通弱者用信号機の増設と分かりやすい掲示をする。
⑦ 住民要望に基づいた街灯設置を市町村とともにすすめる。
⑧ 病院や公共施設に、災害時用の発電設備の設置をすすめる。
⑨ 障害者や高齢者の実態に応じた災害避難対策を具体化するとともに、福祉避難所のあり方についての具体的検討をすすめる。
⑩ マンションの耐震診断、改修補助制度の拡大を国に求める。府として、全マンションの耐震診断を先行させるなど、独自の制度をつくる。
⑪ 公共施設のアスベスト使用状況を調査し対策を講じる。
7.環境を守り豊かな緑と実りの大阪をめざす
(1)原発ゼロ、新エネルギーの普及
① 原発再稼働路線の中止、「核燃料サイクル」路線からの撤退を国に強く求める。
② 大飯原発、高浜原発の再停止を国と関西電力に求める。
③ 府として住宅太陽光発電補助制度を年間1万件以上をめどに創設する。
④ 小水力や下水処理場発電、バイオマスなどの新エネルギーの施策と予算を拡充する。
(2)安全で住みよい環境づくり
① 環境保全の予算と人員を拡充し、「大阪21世紀の新環境総合計画」を着実に推進する。
② 「ため池防災・減災アクションプラン」を繰り上げてすすめ、予算と人員を拡充し耐震診断・老朽ため池改修を急ぐ。
(3)農林水産業の振興
① 台風21号による農業用ハウスなど農業設備の復旧のために、資材調達、建設業者の確保ができるよう支援策を講じる。
② 主要農作物種子法を復活するよう国に求める。種子の開発・生産・普及などの種子行政が継続され、食の安全と安定供給が損なわれないよう、府として責任を果たす。
③ 大阪湾の漁場再生や稚魚放流を積極的にすすめる。台風21号で被害を受けた漁港設備の復旧をただちに行う。
④ 台風21号による府内森林の倒木被害の実態を調査するとともに、国の支援をさらに強めるよう求める。
⑤ 森林保全と林業振興を抜本的に強化する。対象面積の大半で間伐が実施できるように支援を強め、間伐材の公共事業への使用、「子育て施設木のぬくもり推進事業」拡大、まちづくりへの府内産木材の使用促進などを市町村と協力してすすめる。森林組合への補助を強める。
⑥ 有害鳥獣対策を強化し、市町村への援助を充実する。
8.若者や女性が輝き、平和と多様な文化が花開くまちをつくる
(1)若者への支援強化
① 奨学金返済中の若者への返済支援制度を創設する。
② 国や経済界とも協力して、「ブラック企業」「ブラックバイト」の規制を強化する。「ブラックバイト」相談窓口の大学内への設置を、国や大学と連携してすすめる。
③ 新婚世帯への家賃補助制度を創設する。
④ 青年労働者をはじめとした長時間労働の是正や正規雇用の拡大に、国と連携して取り組む。
⑤ 若者の文化・スポーツ・芸術の交流・発信支援を強める。
(2)女性が輝く大阪へ
① パワハラ、セクハラ、マタハラ、出産や育児をきっかけにした退職勧奨などを許さない職場・社会づくりに努める。育児休暇や所定労働時間短縮措置の取得奨励など女性が働きやすい職場づくりをすすめる。
② シェルターの確保、24時間電話相談をはじめ、DV、ハラスメント、性暴力等の対策を、関係機関とも連携し、強化する。
③ 「性暴力救援センター・大阪」(SACHICO)への医療費補助を、国にも補助拡充を求めながら実施する。人員体制強化などのための補助を拡充する。
④ 業者家族の働き分を経費と認めない所得税法56条の廃止を国に求める。女性の中小業者事業主・家族従業者の実態調査を実施し、支援を強化する。
(3)ピースおおさかの充実
① 展示内容については、関係者や府民の意見をよく聞き、15年戦争の被害・加害の両面を伝えるものに改善する。
② 削減した補助金は復活し、学芸員の人数を増やす。
(4)文化と観光の振興
① 文化振興予算を2007年度の水準に引き上げる。
② 国際児童文学館について、専門員の配置を復活するなど、必要な人員と予算を確保する。
③ 大阪の芸術文化の中核となる、総合的な芸術文化施設(劇場、音楽ホール、伝統芸能舞台、稽古場など)の建設を検討する。
④ 違法「民泊」の監視体制、取り締まりを強める。「民泊」が近隣住民・地域にとって危険、迷惑とならないよう規制を強化する。
9.国に対し、憲法と平和、暮らしを守る政治を求める
・国に対し以下の事項を求める。
① 憲法9条改正は行わない。安保法制、特定秘密保護法、共謀罪法を廃止し、立憲主義・民主主義・平和主義を取り戻す。
② 米軍普天間基地の辺野古移設は中止し、ただちに無条件で撤去する。
③ 10月からの消費税10%増税は中止する。
④ 核兵器禁止条約に署名し、批准する。
⑤ 森友・加計学園疑惑の徹底究明を行う。
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