2017年9月8日
大阪府知事 松井 一郎 様
日本共産党大阪府議会議員団
団長 宮 原 威
2018年度の予算編成並びに施策についての重点要望
はじめに
大阪の暮らしと経済が全国の中でも深刻な状態にあることは、府内総生産や府民所得、家計消費などの落ち込みでも明らかです。橋下徹前知事以降の維新府政でも、その落ち込みは際立っています。
いまや、暮らしと経済の悪化が社会の存続さえ脅かしています。子どもの貧困の深刻さ、児童虐待や子どもの暴力行為の多発、高齢者の孤立や貧困、中小企業の衰退と大企業の流出、周辺部の過疎化、文化に触れる機会の減少等がその兆しです。
維新の会の大阪府政10年の府民施策切り捨てがその一因です。今の大阪府政は、従来からの不要・不急の大型開発を続けるだけでなく、カジノ誘致や新たな高速道路・高速鉄道建設に突き進み、そのテコとして夢洲での万博の誘致を進めています。
しかし今、府民が求めているのは、暮らしと福祉、中小企業、防災などに最大限の力を注ぐ大阪府政です。今回の予算要望は、現在の大阪府政の切り替えを求める立場で、以下の最重点項目・総項目を申し入れるものです。
最 重 点 項 目
① カジノは、ギャンブル依存症を最悪の状態に広げ、府民の勤労意欲を低下させ、まともな経済活動を阻害するものであり、誘致は中止する。
② 淀川左岸線延伸部やなにわ筋線の具体化は中止する。淀川左岸線2期は安全性を厳しく精査し、中止を含めて見直す。
③ 2018年度からの国民健康保険「都道府県化」にあたっては、標準保険料率と減免基準の「府内統一」はせず、市町村が独自に設定することを基本とする。市町村が独自に保険料抑制や保険料減免などのために法定外繰り入れを行うことを認める。保険料率や減免基準の設定、法定外繰り入れを独自に行う市町村に対し、交付金・補助金等を減額することはしない。
④ 福祉医療費助成制度の障害者の患者負担は、院外調剤含め1回500円以内・1医療機関あたり月3回目から無料・複数医療機関受診時は月2500円以内という現行水準を引き上げることはしない。65歳以上の、精神1級以外の精神通院医療対象者、重度以外の難病患者、結核患者を対象から除外することはせず、2021年度以降も助成を継続する。
⑤ 「大阪府子どもの生活に関する実態調査」の結果を踏まえ、「子ども総合計画」をさらに充実させ、子どもの貧困対策を抜本的に強化する。「新子育て支援交付金」を大幅に拡充する。
⑥ 中小企業への社会保険料の負担軽減補助制度の創設など、中小企業支援とセットで最低賃金を引き上げるよう国に求める。若者の就業を促進し、定着を図るためにも、新規採用者の奨学金返済の一部を補助する。
⑦ 局地的集中的豪雨から府民の生命と財産を守るため、緊急10カ年計画をつくり、河川改修の予算を確保する。雨水貯留施設や下水道増補幹線の設置を市町村とともにすすめる。寝屋川流域の時間雨量50mm対策を急ぐ。
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1.夢洲でのカジノ・万博、大型開発、「大阪都」構想は中止する
① 大阪は人口当たりのパチンコ台数が日本一であり、ギャンブル依存症対策は全国的にもこれからである。カジノは、ギャンブル依存症を最悪の状態に広げ、府民の勤労意欲を低下させ、まともな経済活動を阻害するものであり、誘致は中止する。「カジノ実施法」の国会への提案は見送り、国民的議論を尽くすよう国に求める。
② 淀川左岸線延伸部やなにわ筋線の具体化は中止する。淀川左岸線2期は安全性を厳しく精査し、中止を含めて見直す。
③ 大型開発と連動し、2700億円以上かける2025年大阪万博の誘致は中止する。
④ 安全・環境・エネルギー・採算性など多くの点で問題がある中央リニア建設工事は中止するよう国に求めるとともに、大阪への延伸要望は撤回する。
⑤ 「うめきた2期」への府の予算投入、北大阪急行の延伸、モノレールの東大阪への延伸はゼロベースで見直す。
⑥ 敦賀―大阪間の北陸新幹線については、住民の利便性、将来性、在来線のあり方などの立場から中止も含めて検討する。
⑦ 「大阪都」構想や副首都構想は中止する。
⑧ 咲洲庁舎から撤退し、府庁舎は大手前に集約する。
⑨ 「特区」を活用した雇用、医療、教育、農業、都市開発などの規制の緩和と撤廃、企業を呼び込む税制の優遇策は、費用対効果や環境保全、他施策との比較などを含め、府民合意で精査する。
2.医療・福祉・介護の充実で府民の生命と健康を守る
(1)国民健康保険の負担増抑制
① 2018年度からの国民健康保険「都道府県化」にあたっては、標準保険料率と減免基準の「府内統一」はせず、市町村が独自に設定することを基本とする。市町村が独自に保険料抑制や保険料減免などのために法定外繰り入れを行うことを認める。
② 保険料率や減免基準の設定、法定外繰り入れを独自に行う市町村に対し、交付金・補助金等を減額することはしない。
③ 府から市町村への交付金の算定基準から、現在の府交付金の交付基準にある、赤字解消や収納率向上・医療費抑制・法定外繰り入れ解消など住民いじめにつながりかねない項目は除外する。
④ 学資保険や児童手当の差し押さえなど行き過ぎた収納対策、資格証乱発や短期証の「超短期化」などは改めるよう市町村に求める。
⑤ 精神・結核医療給付金制度は現行制度を維持する。
⑥ 事業費納付金の算定にあたっては、市町村ごとの所得や生活、医療の状況に即し、市町村の意見を尊重する。
⑦ 府一般会計から府国保特別会計へ法定外繰り入れを行ない事業費納付金を抑制するなど、国保への府の独自補助を大幅に拡充する。
⑧ 国に対し以下の事項を求める。
(1) 国保への国庫負担を抜本的に拡充し、高すぎる国保料を引き下げる。
(2) 福祉医療費助成へのペナルティを全廃する。
(3) 法定軽減を拡充する。
(2)障害者などへの福祉医療費助成制度の負担増中止・拡充
① 福祉医療費助成制度の障害者の患者負担は、院外調剤含め1回500円以内・1医療機関あたり月3回目から無料・複数医療機関受診時は月2500円以内という現行水準を引き上げることはしない。
② 65歳以上の、精神1級以外の精神通院医療対象者、重度以外の難病患者、結核患者を対象から除外することはせず、2021年度以降も助成を継続する。
③ 精神障害者への対象拡大にあたっては、精神1級については入院も対象とする。精神障害者2級への拡大を検討する。
④ 患者負担の月額上限超過分の自動償還制度を、全市町村で早急につくる。
⑤ 障害者・難病患者・医療関係者の意見を聴取する場を早急に設ける。
⑥ 当面、子どもの通院助成を小学校卒業までに拡大し、所得制限を2014年度までの年収860万円以下に戻す。
⑦ 子どもの入院食事代への助成を復活する。
(3)高齢者の介護・医療、介護予防の充実
① 広域型特別養護老人ホームへの府建設補助金を2009年度の水準に復元(1床あたり270万円を371万円に)し、特別養護老人ホーム建設・待機者解消を計画的にすすめる。
② 施設利用者の「補足給付」の厳格化に伴う影響・実態を府として把握するとともに、市町村と協力した支援・助成(負担軽減や居住する場の確保等)を実施する。
③ 2015年度から実施された介護保険及び介護報酬改定、要支援1・2の訪問・通所介護の市町村総合事業への移行の影響を市町村と協力して実態把握し、「介護難民」を出さないための支援策を検討・実施する。国へも必要な改善を求める。
④ 高齢者の介護予防、健康づくりを市町村と協力し抜本的に強める。公的機関への認知症診断タッチパネルの設置普及や「認知症対応人材」(認知症サポート医や看護師及び認知症サポーター等)の育成など、認知症予防・介護予防の取り組みを市町村と連携・協力し、抜本的強化をはかる。
⑤ 高齢者住宅改造助成事業を復活する。
⑥ 国に対し以下の事項を求める。
(1) 70~74才の医療費自己負担を1割に戻す。75歳以上の原則1割負担を堅持する。
(2) 70歳以上の高額療養費制度の自己負担上限引き上げはしない。
(3) 後期高齢者医療制度の保険料特例軽減は、現在の水準を維持する。
(4) 介護保険給付への国負担割合を現行の25%から30%に引き上げ、保険料・利用料の抑制、制度充実や介護提供基盤の拡大を図る。
(4)救命救急医療をはじめとする医療の充実で府民の命と健康を守る
① 救命救急医療及び救急医療の充実
(1) 千里救命救急センターへの補助金を復活するとともに、すべての救命救急センターの運営に責任を果たし、充実をはかる。
(2) 中河内救命救急センターの市立東大阪医療センターへの移管にあたっては、府の広域的役割を維持し、体制と機能の充実をはかる。
(3) 2次救急告示病院を増やし、府内全体の救急体制強化をはかる。
(4) ドクターカーの増加、救命救急士の養成など、市町村とともに命を守る搬送体制の強化をはかる。
② がん検診の負担軽減や受診向上を図るため市町村・受診者への補助制度を創設する。
③ 医師、看護師等の養成・確保を強化し、復帰を応援する。地域医療修学・研修資金を更に充実させる。
④ 先進医療や高額医療費となる治療を受診した際の医療費助成制度や、融資の利子補給制度を府独自に創設する。
⑤ 大阪健康安全基盤研究所の設置に当たっては、府民の健康と環境保全に対して公衆衛生研究所が果たしてきた役割を強化するよう、当面府の予算を07年度の水準に増額し、体制整備と機能充実をはかる。
(5)障害者・難病患者支援を強化する
① 医療型障害者入所施設など、重度障害者の入所施設の整備・建設を進める。
② 障害者福祉作業所などへの建設補助を復活する。
③ 難病患者や精神障害者を含め、障害者の正規雇用を増やす。難病患者の府への採用制度をつくる。法定雇用率達成への小規模企業への支援を強化する。
④ 精神障害者の交通機関利用の助成制度を交通事業者に求める。
⑤ 障害者総合支援制度の「応益負担」は速やかに廃止し、利用料は無料にするよう国に求める。
⑥ 発達障害者への療育、教育、雇用などきめ細かな支援を実施する。
⑦ 放課後児童デイサービスは、事業者の指定時の立ち入り調査だけでなく開設後も定期的に調査を行い、人権侵害を防ぎ適切な支援が行われるよう指導する。
⑧ 難病患者の医療支援、行政窓口、交流・学習等の機能を併せ持った「難病センター」の設置を検討する。
⑨ 小児慢性特定疾病医療費助成の対象年齢の拡充と自己負担の軽減を行う。
(6)生活保護の受給抑制は行なわず、ケースワーカーの増員等で適切かつ公正な実施をはかる
① 「扶養義務」の過大解釈による受給抑制や生活困窮者自立支援に名を借りた申請権の侵害などが無いよう、市町村及び管内福祉事務所への指導を徹底する。
② 夏季及び年末一時金を復活する。
③ 生活保護世帯へのエアコン設置のための補助制度を創設する。
④ 生活福祉資金の融資は無条件で無利子にする。
⑤ ケースワーカーの増員を国に求める。
⑥ 国に対し、生活扶助や住宅扶助引き下げを中止し、復元、改善を求める。
3.“子どもの貧困”打開へ、子育て応援に力を注ぐ
(1)子どもの貧困打開と子育て支援の抜本的強化
子どもの貧困の実態は深刻化しているにも関わらず、子ども食堂をはじめ、学習支援など貧困対策が民間やボランティアの力に依拠されている。昨年実施された「大阪府子どもの生活に関する実態調査」では、経済的理由で削ったものの3位に「食費」が挙げられているなど、子どもの貧困の背景に保護者の経済的不安があることが伺える。子どもの貧困率が他府県よりも高い大阪で、公的責任として貧困対策をはじめ子育て支援、保護者支援を抜本的に強化することは急務である。
① 「大阪府子どもの生活に関する実態調査」の結果を踏まえ、「子ども総合計画」をさらに充実させ、子どもの貧困対策を抜本的に強化する。
② 「新子育て支援交付金」を大幅に拡充し、子どもの貧困対策を強化する。
③ 未婚の母へのみなし適用を活用している市町村への財政支援は「新子育て交付金」の枠外で行う。
④ ひとり親家庭の雇用確保をすすめる。児童扶養手当や就学援助を拡充する。
(2)児童虐待対策の強化
大阪の昨年度の児童相談所による虐待対応件数は1万7743件、前年度比7%増で全国最多だった。2011年度以降、児童福祉司等の増員をしているとはいえ、現場からはこのままでは過労死すると悲鳴が上がるほど一人当たりの担当件数は多い。児童虐待を防ぐためには、専門員のさらなる増員と合わせ、日常的に相談できる場所が欠かせない。
① 子ども家庭センターの児童虐待対応職員の体制をさらに充実する。
② 市町村での相談窓口に児童虐待相談専門員を配置できるよう、補助制度を創設する。
③ 「こんにちはあかちゃん事業」は親子の見守り、児童虐待の早期発見にも繋がる。専門職員による訪問ができ、関係機関の連携がスムーズにとられるよう、保健師の増員をはじめ全市町村での専門員の配置を行う。
(3)待機児解消
4月1日現在の府内待機児童数が昨年度より減少したと報じられているが、“隠れ待機児”も含め、待機児問題は解消されていない。育児休暇の延長ややむなく退職などの事例も後を絶たない中で、保育所建設と保育士の確保は急務である。市町村への支援をいいつつ、府が行っている保育士確保支援のほとんどは免除制度はあるものの貸与であり、現状改善まで追いついていないのが実情である。国の処遇改善加算や中堅職員への月4万円の処遇改善では全体の底上げには繋がっていない。国に要望するにとどめず、保育所建設と保育士確保に府独自に取り組む。
① 民間社会福祉従事者給与改善費を再開し、府として賃金引上げ等の処遇改善を行う。
② 保育士宿舎借り上げ支援事業の市町村負担分の半分を府が補助する。
③ 保育所建設促進のために府有地の無償貸与を行う。公営住宅での保育所運営については、近隣住民との関係や運営のあり方も含め検証しつつすすめる。
④ 子どもの安全と成長を保障するために、安易な規制緩和は行わない。
(4)学童保育の充実
① 希望する全ての子どもが入れるよう、市町村と協力し拡充に努めるとともに大規模化によるつめこみを解消する。
4.子ども一人ひとりの個性と可能性を伸ばす教育をすすめる
(1)小中学校
① 35人以下学級を小中学校全学年まで広げるように国に求めるとともに、大阪府独自で小学校全学年まで35人以下学級を実施する。
② 市町村独自の努力で少人数学級を実施している市町村は学級数としてカウントし、適正な加配の配置を行う。
③ 学校警備員配置への補助金を復活する。
④ 中学校給食は全員喫食をすすめられるよう、市町村への補助制度を創設する。
⑤ 教員定数は正規職員を基本に確保し教員の多忙化を解消する。
⑥ 教育の穴あきを解消するためにも、教員採用試験の講師経験者枠を増やすことをはじめ、教員の採用枠を増やす。
⑦ 学力向上担当教員は専任で配置する。
⑧ いじめ、不登校の解決にむけ、全小学校へスクールカウンセラーを配置する。
⑨ 学校をランク付けし、子どもたちの進路選択の幅をせばめ、受験競争を激化させるチャレンジテストは直ちに中止する。
(2)高校
① 2018年度までに公立高校を7校廃校にする計画は中止し、3年連続定員割れ高校を再編整備の対象とする府立学校条例第2条2項は削除する。
② 私立高校授業料助成は2019年度以降も継続し、年収590万円以上800万円未満の世帯の保護者負担を年10万円に引き下げる。
③ 私立学校経常費補助金を拡充する。
④ 35人学級を段階的に拡大する。
(3)支援学校及び支援を必要とする児童生徒
① 府独自の支援学級のダブルカウントを復活し、教員を配置する。
② 特別支援学校の看護師増員と高度医療サポート看護師を増員する。
(4)大学
① 府立大学と大阪市立大学の統合は、学生、院生、教授会をはじめ関係者の意見をよく聞き、拙速にすすめない。
② 給付制奨学金を少なくとも70万人規模に対象拡大するよう国に求める。
③ 府立大学の運営費交付金を2007年度の水準に復元する。教員・職員数を段階的に復元する。大学経営にかかわる地方交付税の基準財政需要額算定基準の復元を国に求める。
④ 国立大学学費値上げ計画を撤回し段階的に学費を下げるよう国に求める。
5.雇用を守り、中小企業を応援して大阪経済を活性化させる
大阪経済を活性化させていく上でも、中小企業のまち大阪で、若者の就労促進と定着は欠かせない。将来を見越して若い世代が大阪で働き、大阪で生計を立て、将来の大阪経済を支える中心となれるよう、支援策が求められる。
(1)安定した雇用、人間らしく働けるルールの確立で若者の定着を図る
① 中小企業への社会保険料の負担軽減補助制度の創設など、中小企業支援とセットで最低賃金を引き上げるよう国に求める。
② 若者の就業を促進し、定着を図るためにも、新規採用者の奨学金返済の一部を補助する。
③ ブラック企業、ブラックバイトに関する指導は国まかせに終わらせず、ブラック規制条例をつくり、府内労働者を守る。
④ 均等待遇のルール確立、非正規労働者の正規化を促進するよう国に求める。
⑤ 労働法制の規制緩和を行わず、人間らしく働くルールをつくるよう国に求める。
(2)大企業の経済活動応援でなく中小企業の支援強化こそ
① 大阪府中小企業振興基本条例に基づき、実効ある施策を具体化する。
(1) ものづくり中小企業関連予算を大幅に増額(6~7億円に復元)し、コネクターハブ企業の活性化での仕事おこしなど、大阪の強みである、ものづくり中小企業の高い技術力と集積の力を守り発展させ、地域循環型経済を実現する。
(2) 中小企業向け融資の利率と保証料を引き下げる。
② 国に公契約法の制定を求めるとともに、府として、公契約条例の制定を検討し、当面、下請け企業の利益と労働者の安全、賃金を保障するよう指導を強める。
③ 中小企業を日本経済の根幹と位置づけ、国の中小企業予算を1兆円に増額し、技術開発、販路拡大、後継者育成、円滑な中小企業金融など、中小企業への支援を抜本的に強化するよう国に求める。
④ 国に対し、地域金融活性化法の制定や中小企業予算の1兆円への増額、下請けGメン創設や検査官の増員を求める。
⑤ 府としても、「下請けいじめ」をなくすよう、直接、経済界や大企業に働きかける。
⑥ 商店街振興予算の大幅な増額(6~7億円への復元)をはかり、市町村と連携し、地域・商店街の実情に即した支援策を検討・実施する。
⑦ 府立産業技術総合研究所と大阪市立工業研究所の統合後も中小企業の技術支援、地域経済振興にいっそう力を尽くせるよう、人員、予算を確保する。
⑧ 中小零細事業者向けの大企業を含めた他業種等とのマッチング、商談会の開催と周知、公共事業発注など仕事づくりの方策を検討する。
(3)府民の安全、福祉・暮らしの充実へと経済対策の方向を切り替える
① 暮らしの安全・防災型公共事業を府の最優先課題の一つに据え、積極的に推進する。老朽インフラの整備を計画的にすすめる。
② 住宅リフォーム助成制度創設に向け、木造住宅耐震化補強補助や住宅の高齢者改修制度の復活などと組み合わせて実施する。
③ 子育て、高齢者支援、福祉人材の育成・確保など、福祉型、生活密着型事業を計画的に推進する。
④ 違法「民泊」の監視体制・取締を強める。「民泊」は、近隣住民・地域の安全を守り、迷惑とならないよう規制を強化する。
⑤ 福祉施設や学校などでの地産地消の推進はじめ、農林水産畜産業振興、後継者づくり支援などに取り組む。
⑥ 府内産材の公共事業への活用、府内産材を利用した建築物への補助など林業振興を図る。
⑦ 若者の仕事確保と定住促進へ、公営住宅家賃補助制度をつくる。府営住宅用地の民間売却ではなく、府営住宅の戸数増、保育所など福祉施設の建設などもすすめる。
6.防災を強化し、安心して暮らせるまちづくりをすすめる
(1)水害など災害対策の強化
① 局地的集中的豪雨から府民の生命と財産を守るため、緊急10カ年計画をつくり、河川改修の予算を確保する。雨水貯留施設の設置や下水道増補幹線の設置を市町村とともにすすめる。寝屋川流域の時間雨量50mm対策を急ぐ。
② 河川の老朽護岸箇所の点検結果に基づく対策は、その次年度に完成するよう努力する。この間の豪雨による大きな岩や流木の除去を速やかに行い、河川の維持・保全を日常的に強化する。河川の維持・保全への府の予算を増やすとともに、国にも補助制度創設を求める。
③ 市町村と協力して水害や土砂災害等の防災情報を住民に徹底するとともに、高齢者、障害者、難病患者らへの避難誘導、避難場所での配慮など災害時の支援を強化する。
④ 土砂災害特別警戒区域について、命と財産を守る対策をソフト、ハード両面から市町村とともに強化する。災害が発生する前に避難できる体制をつくる。砂防関係予算をいっそう増やすとともに、必要な専門職員を確保する。
⑤ 下水道管路の大規模化、更新など、国に対策強化を求める。府としても市町村とともに対策を強化する。
⑥ 淀川左岸の堤防機能を強化する。
(2)南海トラフ巨大地震をはじめ、地震対策を国や市町村とともに計画的に進める
① 南海トラフ地震対策、道路・橋など既存インフラの改修など、国民の生命を守る防災・安全対策の予算の抜本拡充を国に要求する。府としても市町村や中小マンション業者への無利子融資など、補助制度を検討する。
② 長周期地震動対策について、国や市町村、民間企業が協力して対策を早急に検討する。
③ 遅れている住宅の耐震化をすすめるため、低コスト化や部分改修への助成の周知徹底など、対策を思い切って拡大する。
④ 上下水道管など生活インフラ施設の耐震化や更新を抜本的に強める。国に必要な予算確保を求める。
⑤ 湾岸部をはじめ、住宅地の液状化対策を研究・検討する。
⑥ 地震時等に著しく危険な密集市街地を解消するため、一日も早く関係市と住民の意見をよく聞き、必要な予算を確保するよう国に求める。住民の住む権利は保障する。
(3)府営住宅削減は中止し住宅政策の転換を
① 府営住宅削減計画を中止する。府営住宅敷地内の空き地を活用し、府営住宅や保育所・特別養護老人ホームなどの建設に活用する。
② 地位承継の範囲を、生活保護基準に準じる低所得者にも拡大する。
③ 府営住宅への市町村への移管は、府民全体の公営住宅要求にこたえる立場で慎重に議論する。
④ 高齢化対策
(1) 中層住宅へのエレベーター設置のテンポを上げる。
(2) 府営住宅管理における入居者の負担を軽減する。
(3) 駐車場管理やふれあいリビングの運営など入居者の活動を応援する。
⑤ 現に利用されている府営住宅内の公園は売却しない。
⑥ マンションの耐震診断・改修補助制度の拡大を国に求める。府として、全マンションの耐震診断を先行させるなど、独自の制度をつくる。
⑦ 横浜市のマンション基礎杭不正事件のような不正・手抜き工事が起こらないよう、府としても調査、再発防止に努める。
(4)安心・安全の施策の推進
① 高齢者や障害者がよく利用する特定府道370カ所の段差解消は2020年度までとされているが、前倒しして計画的にすすめる。
② 市町村や学校、警察、ボランティアなどとも協力し、子どもや女性を犯罪から守る対策を強化する。
③ 青少年インターネット環境整備法をより実効あるものにするよう国に求める。学校警備員への補助を復活する。通学路の安全確保など、児童・生徒の安全対策を、市町村とともに強める。
④ 交番設置の要望が出ているところは、緊急性の高いところから設置する。
⑤ 市町村からの要望に基づき、信号設置を計画的にすすめる。交通弱者用信号機の増設と分かりやすい掲示をする。
⑥ 街頭犯罪、オレオレ・振り込め・レターパック詐欺など犯罪から府民を守る。
⑦ 危険ドラッグ対策を府としてもさらに強化する。
⑧ 住民要望に基づいた街灯設置を市町村とともにすすめる。
⑨ 病院や公共施設に、災害時用の発電設備の設置をすすめる。
⑩ 障害者や高齢者の実態に応じた災害避難対策を具体化するとともに、福祉避難所のあり方についての具体的検討をすすめる。
7.環境を守り、豊かな緑と実りの大阪をめざす
(1)原発ゼロ、新エネルギーの普及
① 原発再稼働路線の中止、「核燃料サイクル」路線からの撤退、原発輸出断念を国に強く求める。
② 再稼働した高浜原発の再停止と大飯原発再稼働の断念を国と関西電力に求める。川内原発と伊方原発の再停止を国に求める。
③ 再生可能エネルギーの飛躍的普及をはかり、住宅太陽光発電補助制度の復活など、2030年までに電力需要の4割を再生可能エネルギーで賄うための計画を策定し実行するよう国に求める。
④ 府として住宅太陽光発電補助制度を年間1万件以上をめどに創設する。
⑤ 府営住宅、府立学校をはじめ公共施設へのLEDの普及や節電を官民挙げてすすめる。
⑥ 小水力や下水処理場発電、バイオマスなどの新エネルギーの施策と予算を拡充する。
(2)安全で住みよい環境を守る
① 環境保全の予算と人員を拡充し、「大阪21世紀の新環境総合計画」を着実に推進する。
② 「大阪府地球温暖化対策実行計画」に掲げた、2020年度までに温室効果ガス排出量を2005年度比で7%削減する目標を達成するために、中小企業への省エネ設備更新への支援をはじめ、具体化し強化する。
③ 大気・水質・土壌・騒音・振動などの検査、許認可権限の市町村への移譲にあたっては、住民の安全や健康が守られるよう府として責任を果たす。
④ 「ため池防災・減災アクションプラン」を繰り上げてすすめ、予算と人員を拡充し耐震診断・老朽ため池改修を急ぐ。
⑤ 犬や猫の“殺処分ゼロ”をめざし、愛護団体や地域住民などと協力し、譲渡促進などをすすめる。
(3)農林水産業の振興
① 「新農林水産業振興ビジョン」を実効あるものにするよう予算と人員を確保する。コメ、果実、野菜などの供給率目標を復活し、達成するための具体化を図る。後継者づくり支援を強める。
② 「新たなおおさか農政アクションプラン」は、都市農業の多様な機能の発揮、都市農地の有効な活用と適正な保全といった都市農業振興基本法の基本理念を十分に踏まえたものにする。実現に向けて、農家、住民、各市町村や農業委員会などとの連携を強化する。
③ 来年4月の主要農作物種子法(種子法)廃止後も、種子の開発・生産・普及などの種子行政が継続され、食の安全と安定供給が損なわれないよう、府として責任を果たす。
④ 大阪産の農水産物の“地産地消”=学校給食や福祉施設、外食産業での使用を増やすよう、市町村と協力してすすめる。
⑤ 大阪湾の漁場再生や稚魚放流を積極的にすすめる。
⑥ 森林保全と林業振興を抜本的に強化する。森林組合への補助を強める。公共事業への間伐材の使用拡大、「子育て施設木のぬくもり推進事業」の拡大、まちづくりへの府内産木材の使用促進などを市町村と協力してすすめる。
⑦ 環境農林水産総合研究所の、農林水産業振興、食の安全や環境を守る部門を抜本的に強化する。
⑧ 有害鳥獣対策を強化し、市町村への援助を充実する。
⑨ 森林環境税は、森林の保全に有効に活用するとともに、事業効果を検証し公表する。
8.若者・女性が輝き、平和と多様な文化が花開くまちをつくる
(1)ピースおおさかの展示の改善
① 展示内容について、関係者や府民の意見をよく聞き、15年戦争の被害・加害の両面をきちんと伝えるものに改善する。小中学生の目線で、大阪空襲や被爆など、歴史の事実と戦争の悲惨さを学べるように改善する。
② 前知事が削減した補助金を復活させる。学芸員の人数を増やす。
(2)青年・女性が輝く大阪へ
① パワハラ、セクハラ、マタハラ、出産や育児をきっかけにした退職勧奨などを許さない職場・社会づくりに努める。育児休暇や所定労働時間短縮措置の取得奨励など女性が働きやすい職場づくりをすすめる。
② シェルターの確保、24時間電話相談をはじめ、DV、ハラスメント、性暴力等の対策を、関係機関とも連携し、強化する。「性暴力救援センター・大阪」(SACHICO)の人員体制強化などのための補助を拡充する。
③ 相談体制などドーンセンターの機能充実を図るとともに、関係団体の意見を聞き、より活用しやすい施設に改善する。
④ 女性の中小業者事業主・家族従業者の実態調査を実施し、支援を強化する。
⑤ 国や経済界とも協力して、「ブラック企業」「ブラックバイト」の規制をはじめ、青年の雇用、正規化を促進する。
⑥ 新婚世帯への家賃補助制度を創設する。
⑦ 女性警察官の割合を2018年度に10%にするという目標をさらに引き上げ、計画的に女性警察官を増員する。女性相談交番を計画的に増やす。
(3)文化と観光の振興
① 文化振興予算を2007年度の水準に戻す。
② 若者の文化・スポーツ・芸術の交流・発信支援を強める。
③ 国際児童文学館について、専門員の配置を復活するなど、必要な人員と予算を確保する。
④ 大阪の芸術文化の中核となる、総合的な芸術文化施設(劇場、音楽ホール、伝統芸能舞台、稽古場など)の建設を検討する。
⑤ 府内の歴史・文化遺産の保存と活用を市町村とともにすすめる。
⑥ 「民泊」の規制緩和は行わない。違法「民泊」の取り締まりを強化する。
9.国に対し、憲法と平和、暮らしを守る政治を求める
・国に対し以下の事項を求める。
① 憲法改正は断念する。
② 安保法制を廃止し、集団的自衛権行使容認の閣議決定を撤回する。
③ 北朝鮮に対し、核実験や弾道ミサイル発射などの軍事的な挑発を中止するよう厳しく求める。国際社会および関係国に対し、経済制裁の厳格な実施・強化と一体に、対話による解決の道を粘り強く追求することを、強く要請する。
④ 核兵器禁止条約に参加する。
⑤ オスプレイの飛行は停止し、日本から撤退するようアメリカに強く要求する。
⑥ 年金、医療、介護など、社会保障削減政策を中止し、拡充へと転換する。
⑦ リニア新幹線や北陸新幹線など大型開発優先は中止し、防災、暮らし、福祉型に公共事業の重点をおく。
⑧ 消費税10%増税は断念する。大企業に中小企業なみの税負担を求める。年1億円以上の高額所得者へ適正に課税する。
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