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森友学園問題 維新大阪府政の疑惑を追及

党大阪府議団長 宮原たけし

 大阪府政と府議会に、森友学園問題の真相を明らかにするかどうかがきびしく問われています。2月府議会では、松井一郎知事と維新の会、公明党が徹底審議に背を向ける態度に終始する一方、真相解明を求める府民世論に支えられた2人の共産党府議、石川たえ議員と私の追及が、議会内外で反響を呼びました。


国有地の格安払い下げと私学審の不可解な認可
 
 今年2月10日、大阪府豊中市にある8,770平方メートルの国有地が、学校法人「森友学園」(籠池泰典理事長=当時)へ1億3400万円で売却されていたことが明らかになりました。
 森友学園は大阪市内で「塚本幼稚園」を経営し、教育勅語を児童に暗唱させるなど特異な教育で有名でした。その森友学園が、首相夫人の安倍昭恵氏を名誉校長に迎え、国有地を買収し小学校を開校しようとしたことが問題の発端です。
 問題の土地は、国土交通省所管の大阪国際空港関連用地でしたが、2013年に近畿財務局が売却先の公募を行いました。公募に手を挙げたのは森友学園だけでした。2016年5月の不動産鑑定では9億5600万円でしたが、廃材や生活ごみなどが大量に埋まっていると森友側が申告したため、国は8億2千万円もの値引きをしたことになります。 しかもすでに国は、土壌汚染を除去するための経費として1億3176万円を森友側に支払っていました。
 売却に当たっては、公益目的で購入を希望する自治体や学校法人、社会福祉法人などを優先する公共随意契約がとられました。国有地の処分は国有財産近畿地方審議会で審議されるので、森友側としてはそれまでに大阪府から小学校設置認可の“お墨付き”をもらう必要がありました。
 2014年12月の大阪府私立学校審議会(私学審)では継続審査となりましたが、翌2015年1月27日に臨時で開かれた私学審で「認可適当」とされました。これを“お墨付き”として、2月10日の国有財産近畿地方審議会で、問題の土地についての森友学園との定期借地契約が了承されることになったのです。

 ■ 異常な認可ごり押し――私学審議事録から

 昨年夏、山本一徳・党豊中市議からこの土地払い下げ疑惑について初めて連絡を受けた際、まず違和感を覚えたのは、土地の売却価格が非公開であったにもかかわらず、12月の私学審でいったん継続審査としておきながら、わずか1か月後に臨時審議会を開催し「認可適当」答申を出していることでした。
 私たちはただちに、該当する私学審議事録の提出を府当局に求めました。ところが当局側の返事は、「非公開の会議のため提出できない」というものでした。今年2月に問題の土地の売却価格が明らかになり、改めて繰り返し議事録を要求し、ようやく入手できたのが2月17日でした。
 その内容は驚くべきものでした。
 まず、多数の委員から強い疑問や懸念が出されていることです。借入金が資産を上回っている、新校建設につかう「基本金」も積み立てていないといった森友学園の財務状況について、複数の委員が「計画性がない」「思い付きで始めたか、だいたいおかしいですよこれ」「こんな絵空事でうまくいくとは私もとても思えない」と、こうした審議会では異例とも言える厳しい口調で批判しています。初年度から黒字とするなどの学園側の収支計画についても「大丈夫か」といった不安や、生徒が集まる根拠への疑問が述べられています。塚本幼稚園の教育内容についても、「思想教育のような部分がある」「幼稚園教育要領からは少し逸脱している」「小学校を運営されることについては、個人的には疑問」と懸念が表明されています。
 にもかかわらず、際立っているのが一部委員と事務局による「認可適当」答申のごり押しぶりです。「大阪府の私学審議会で認可しかるべしという答申が出るという前提のもとで国の審議会が行われると聞いております」「双方で認可が下りるということを前提で話を進めておりましたので、…1月の(私学審)臨時会にということになりましたので、条件付で認可しかるべしとなりますと、国は契約に走ると、そういう手はずになっています」など、繰り返し「認可ありき」を強調し、1月27日の臨時私学審で、条件付きとしながら「認可適当」答申を押し通しているのです。
 国有地の異例の格安売却と私学審での異常な認可答申ごり押しを一体のものとして、無理を通した府と国の動きは、国政と府政の政治家の関与なしにはありえません。この考えは、3月1、2日の参院予算委員会で小池書記局長が“鴻池事務所メモ”を明るみにして以後、次々と裏付けられていきます。
 問題の真相を解明するカギは、維新府政と政治家の関与を明らかにすることです。私たちはこのことを調査と論戦の中心に据え、2月議会に臨みました。


議会での府議団の追及

 ■ 緩和した基準さえ満たしていない「認可適当」

 「認可基準を満たしてもいない学校法人の認可に向けて、府が近畿財務局と話を合わせて『認可適当』を誘導したことは大問題ではないか」――3月13日、府議会教育常任委員会での石川議員の追及に、議場は静まりかえりました。
 大阪府の認可基準では、私立小学校を設置する土地は自己所有もしくは国や地方公共団体からの借地などでなければならないとされています。しかし森友学園が問題の土地を定期借地契約したのは2015年5月です。認可申請書を提出したのは半年以上前で、その時点では土地の自己所有もなければ借地契約も結んでいません。
 しかも、かつての認可基準では、幼稚園しか設置していない学校法人が小学校開設に借入金を充てることはできないとされていました。それを認めるよう府は2012年4月に基準を緩和しましたが、それは前年9月の森友学園の要望に従ったためでした。緩和されて以降、小学校設置を申請したのは森友学園だけで、森友のための緩和だったと言われても仕方がない状況です。

 ■ 体罰や虐待を黙認した府

 石川質問でもう一つ大きな反響を呼んだのは、塚本幼稚園を退園した保護者から聞き取った、園児への体罰や虐待ともとれる実態でした。
 トイレの数や時間がきわめて制限され、失敗すれば真っ暗な“お仕置き部屋”に入れられ、排せつ障害になった子どもも少なくない。失敗した下着を食器の上に乗せて持ち帰らせられたことさえある。こうした状況の改善を求めると、「家庭での甘やかしが他のお友達に悪影響を与える」などと書かれた紙を渡され、退園に追い込まれる。保護者たちの訴えが何度も府に寄せられていましたが、府は園側の言い分を鵜呑みにして調査も行いませんでした。
 府は、特別に支援が必要な児童を受け入れた私立幼稚園へ補助金を交付していますが、塚本幼稚園がこの補助金を受給しながら必要な教員体制を取らなかったのではないかという疑惑も浮かび上がりました。塚本幼稚園には、府内幼稚園の平均の10倍近くもの割合で特別支援児が在籍していたとされ、この10年間で約1億7千万円の補助金を大阪府から受け取っていました。ところが保護者によると、依頼していた配慮は全くされず、むしろ支援が必要な子どもは次々に退園を迫られ、実態として要支援児はほとんどいなかったということです。
 石川議員の指摘で、府は遅ればせながら塚本幼稚園への立ち入り調査を行うことになります。

 ■ 森友小学校建設業者が維新に献金

 3月21日、質問の冒頭、私は維新の会が森友学園の小学校施工業者から献金を受け取っていた事実を松井知事に突きつけました。議場は騒然となりました。
 日本維新の会大阪府総支部の2013年度政治資金収支報告書によると、年末の日付で「藤原工業株式会社」から献金を受け取っています。この藤原工業は、森友学園の小学校の建設を請け負っている業者です。
 藤原工業が受注した府の公共工事は、2002年から2007年までの6年間では2億3千万円です。ところが2008年から2014年までの7年間になると22億円余りへと急増しています。「府の公共工事を請け負っているところから政治献金を維新の会が受けることは、いいか悪いか」という私の問いに、知事は「政党の代表としてここにいるわけではない」「違法性はない」などと苦し紛れの答弁しかできませんでした。
 私はさらに、小学校の建設以前から藤原工業と森友側が覚書を交わしていたことが、私学審議事録から読み取れることを指摘しました。
 この覚書は、後日その存在が明らかになります。覚書には、「15億5520万円」が正規の工事請負契約と明記した上で、これとは別に、私学審提出用として「7億5600万円」の契約書を作成すると記されています。
 藤原工業と森友学園は、この2種類の契約書に加え、「23億8464万円」の契約書を作成していました。これは国の「サステナブル建築等先導事業(木造先導型)」補助金申請に使ったとされています。
 工事を請け負うだけでなく、金額が異なる3通の契約書を森友学園とともに作成し、認可や補助金申請のために府や国に提出していた。維新の会がこのような業者から献金を受け取っていたことは重大です。


否定できない松井知事と維新の会の関与

 松井知事と維新の会の関与を示唆する事実はそれだけにとどまりません。維新の中川隆弘府議(豊中市選出)が、継続審査となった2014年12月の私学審の後に籠池氏と面会していたことが明らかになっています。また、私学審委員として審議会に参加できるのは府議会からは1名だけですが、維新の横倉廉幸府議が、認可答申時を含め2015年まで長年務め続けていました(2015年以降は公明府議)。
 これらを示し、私が「知事は被害者ではなく疑問を持たれる当事者ではないか」と迫ると、松井知事は「共産党のレッテル貼りだ」「僕がもし関わっているんであれば、籠池さんは言うじゃないですか」などと言い逃れに終始しました。
 ところが、私の質問の翌々日に行われた国会の証人喚問で、籠池氏自身の口から松井知事の名前が繰り返し挙げられることになります。維新の東徹参院議員(元府議)が、森友学園からの要望を受けて私立小学校認可基準の緩和に関わっていたことも明らかになりました。
 また、他の建設業者が森友学園の小学校建設受注に二の足を踏む中、藤原工業と籠池氏を引き合わせたのは、元維新の会府議の阿部賞久氏です。阿部氏の事務所は、かつて藤原工業が本店を置いていた摂津市の「藤原ビル」にあります。

 ■ “幕引き”はかる維新・公明

 維新の会や公明党は、森友学園問題の真相にフタをし、“幕引き”をはかろうと、さまざまな抵抗を試みてきました。
 一例をあげると、私が質問時に配布しようとしていた森友問題の経過表に対し、維新・公明などの議員が「委員会と無関係のことが記載されている」と配布を差し止めたのです。
 さらに質問後、維新の議員が「委員会に無関係の部分を議事録から削除すべきだ」と言い出しました。「無関係の部分」とは、前述の横倉府議や中川府議のことを挙げて維新の会の関与を明らかにせよと迫った部分でした。結局、削除はされませんでしたが、まさに“言論封殺”も辞さずという態度でした。
 維新、公明のなりふり構わない抵抗の極めつけが、閉会日の百条委員会設置否決でした。「時期尚早」「通常の委員会で十分な調査をした上で検討すべき」など、理由にもならない理由をつけ、維新と公明のみの反対多数で否決しました。公明の強い意向に維新が従ったとも言われています。
 公明党の政治家の関与はまだ明らかになっていませんが、2015年9月4日の安倍首相来阪時の会食場所となったのが、故・冬柴鉄三元公明党幹事長の次男、冬柴大氏が経営する料亭です。冬柴大氏は、森友学園のメインバンクであるりそな銀行の高槻支店次長を務めたのち、コンサルティング会社「冬柴パートナーズ」を設立しています。この会社は業務内容に「助成金申請援助」「人脈紹介」などと謳っています。


情報の全面公開で真相解明を

 ことあるごとに「究極の情報公開」「オープン府庁」などと口にしながら、自分たちに都合の悪い情報は決して表に出さないことが、維新府政流の「情報公開」です。今回の問題をめぐってはそれに輪をかけて、関連する情報をひた隠しに隠しています。
 ただちに解明しなければならないことは、まず、私学審で何が報告され議論されたのか、その全体像です。私たちが入手するまでに半年を要した議事録は、事務局からの報告部分がなく、発言者名など重要な部分が黒塗りです。再三問題にされている、森友学園の小学校の収支計画をはじめとした配布資料も、森友側が拒否しているという理由で府は公開していません。これらの全面公開は真相解明に不可欠です。
 梶田叡一・私学審会長は安倍昭恵氏と2015年9月4日に会っていたとされます。梶田氏は参考人として府議会本会議に招致されましたが、「認可適当」答申に至る経過で果たした自らの役割についてはほとんど触れず、明らかになっていません。私たちはこの本会議での質問を要求しましたが、所属議員数が5人いないという理由で認められませんでした。
 また、森友学園・国・府が土地取得、小学校設置の協議を始めた2013年9月から、私学審が「認可適当」の答申を出した2015年1月までの経過は、ほとんど資料が公表されず解明されていません。森友学園が府に小学校認可申請書を提出したのは2014年10月ですが、それより1か月前の9月に、すでに叶V関西国際空港に騒音対策補助金の申告を出しています。さらに先立つ2014年6月には、近畿財務局から豊中市に土地を森友学園の小学校に使用させる承諾書が出されています。同年4月には、籠池氏が「力を借りていた」と国会で証言した故・畠成章元府議と松井知事が府庁の知事室で面会しています。
 4月6日に府は「設置認可申請に関する検証報告」を公表しました。それによると、近畿財務局が、2013年9月から2015年1月までで5回、府私学課を訪れ、電話でも頻繁にやりとりをしたとしています。小学校設置の協議開始から「認可適当」答申までの時期と全く一致します。当時の府私学課担当者は、「いつ答申が得られるかわからない」と述べたところ、近畿財務局側が「審議会の結論を出す時期など、ある程度事務局でコントロールすることはできるのではないのか」と発言したと証言しています。事実なら相当の圧力が国側からかけられていたことが伺えます。交渉記録そのものは作成していないと府は主張していますが、この一連のやりとりの全容を明らかにすることも必要です。
 また、塚本幼稚園が教育の場で行ってきた、教育勅語や憲法改正への賛意の押しつけ、民族差別などに対して、府としてどういう態度をとるのかも改めて問われていると思います。


党のネットワーク生かし全力

 塚本幼稚園を退園に追い込まれた保護者を受け止めた生活相談活動、豊中市議団による土地払い下げ疑惑の調査、国会での調査と論戦の成果という共産党のネットワークが、府議会での私たちの論戦の大きな支えとなりました。
 「疑惑は何一つ明らかになってない」「この際、大阪の政治家や官僚全員に不正行為がなかったか検証を」――党府議団控室には今も、真相解明を求める府民からのメールやFAXが届きます。各メディアの世論調査でも、政府の説明に「納得できない」が多数を占めるなど、世論は疑惑の徹底究明を求めています。しかし、こうした声に背を向け、松井知事は「政治家の関与はない」と繰り返し、籠池氏と近畿財務局、府私学課職員に全ての責任を押しつけ、幕引きをはかろうとしています。
 私たちは、百条委員会設置が否決された直後、府議会教育常任委員長に対し、委員会をただちに開き問題の徹底審議を続けるよう申し入れました。しかし、1か月以上経過してもまだ開かれていません。
 維新・公明が議席過半数を占める府議会で、今後の動向は予断を許しませんが、森友問題の全容が明らかにされる日まで奮闘する決意です。


森友学園問題をめぐる経過
    大阪府 森友学園
2011年 9月ごろ     私立小学校の認可基準の見直しを大阪府に要望
2012年 4月1日   私立学校認可設置等に関わる認可基準改正  
2013年 6月3日 近畿財務局が問題の土地公募開始(〜9月)    
8月5日     籠池氏が鴻池事務所を訪問、土地購入を相談
9月2日     近畿財務局に土地取得要望書提出
9月 森友学園と土地貸付についての協議開始 森友学園と設置認可についての協議開始  
2014年 4月   松井知事と故・畠成章元府議が府庁知事室で面会  
4月17日か18日     鴻池参院議員が籠池夫妻と議員会館で面談
6月30日 近畿財務局が土地を森友学園の小学校に使用させる承諾書を豊中市に提出    
9月29日     叶V関西国際空港に騒音対策補助金の助成事業計画概要書を提出、空調整備費を1億4800万円と申告
10月31日     府に小学校設置認可申請書提出
12月18日   私学審議会、設置認可を継続審議に  
12月   中川隆弘府議が籠池氏と面談  
2015年 1月8日   近畿財務局職員が来訪「審議会の結論を出す時期など、ある程度事務局でコントロールすることはできるのではないのか」  
1月27日   臨時私学審議会、条件付きで認可適当答申  
2月10日 国有財産近畿審議会、10年間の定期借地契約を了承    
5月29日 森友学園と定期借地契約締結(期間内の売買予約つき)    
7月〜12月     敷地内の汚染土など除去工事
9月3日 安倍首相と迫田理財局長が面会    
9月4日 設計会社所長、建設会社所長が近畿財務局の統括管理官、大阪航空局調査係と会合    
安倍首相来阪、料亭で関係者と会食    
「サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」補助対象に森友学園を選定。補助額6194万円。    
9月5日     安倍昭恵氏が塚本幼稚園で講演、名誉校長に
12月3日     藤原工業と工事請負契約締結、金額が異なる3種の契約書を作成
12月19日     小学校建設工事着工
2016年 3月11日     想定以上の地下埋蔵物があると近畿財務局に報告
3月24日     近畿財務局に土地の購入を要請
4月6日 土壌汚染除去等費用1億3176万を大阪航空局が森友学園に支払い    
4月14日 大阪航空局が地下埋設物の撤去・処分費用の見積もりを8億1900万と報告    
5月31日 財務局が鑑定した不動産鑑定士が土地価格を9億5600万円と査定    
6月20日 土地の正式売買契約締結    
11月8日   府「実感できるみどりづくり事業」事業者に森友学園を認定、補助額648万円  
2017年 2月10日 近畿財務局が問題の土地の売却価格を1億3400万円と公表    
3月1・2日 参院予算委員会小池質問、鴻池事務所メモを公開    
3月10日     小学校設置認可申請を取り下げ
3月23日 国会で籠池氏を証人喚問    
3月24日   府議会閉会本会議で、百条委員会設置が維新・公明の反対で否決  

(「議会と自治体」2017年6月号より)




   


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