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福祉増進の役割切実 大阪府議団 16年度の予算要望

 日本共産党大阪府議団は9日、2016年度の予算編成と施策についての重点要望書を松井一郎知事あてに提出しました。植田浩副知事が応対しました。
 要望書は大阪の経済、府民生活の深刻な状況を指摘。住民投票で否決された「大阪都」構想はきっぱり諦め、いまこそ「住民福祉の増進」「市町村の補完」という広域的役割を果たすべきだとしています。
 具体的には▽下請単価の保護など中小商工業者の支援強化▽子ども医療費助成制度の中学校卒業までの拡充(通院)、広域型特別養護老人ホームへの府建設補助金復元など医療・福祉・介護の充実▽防潮堤の液状化対策の前倒し推進や河川の維持・保全の強化、必要な専門職員の確保など南海トラフ巨大地震や集中豪雨に備える安心・安全、防災のまちづくりなど九つの柱で切実な要望をかかげています。
 「都」構想で推進するとしてきたカジノや大型開発を中止し、戦争法案の撤回を国に求めるよう要望しています。
 提出にあたりくち原亮幹事長・政調会長が説明、宮原威団長、石川たえ議員が35人以下学級の拡大や特定健診の受診率の大幅引き上げなどを要望しました。


「しんぶん赤旗」2015年9月10日付より

共産党府議団が9日提出した「2016年度予算編成と施策についての重点要望」は以下の通りです。

2015年9月9日

大阪府知事 松井一郎 様

日本共産党大阪府議会議員団
団長 宮原 威

2016年度予算編成と施策についての重点要望

はじめに

 全国的には、バブル経済の崩壊時(1990年度)と比べて総生産が約10%増え、雇用者報酬は5.6%上昇しているのに対し、大阪では、府内総生産はマイナス4.5%、雇用者報酬はマイナス9%と大幅に減少するなど厳しい経済状況となっている。
 府民生活をめぐっても、生活保護率や就学援助受給率が全国平均の約2倍となっているなど、貧困の広がりも深刻である。
 このような状況のもとで、府民のくらしと営業、安全を守り、大阪経済の振興をはかるために府が果たすべき役割と責任は重大である。
 ところが大阪府では、この間の「維新府政」のもとで、1770億円分(2008〜2013年度)もの府民施策が削減されてきた。その一方で、阪神高速道路淀川左岸線の延伸や地下高速鉄道なにわ筋線の建設など総額1兆数千億円に及ぶムダな大型公共事業を推進しようとしている。
 こうしたムダな開発を推進するための「大阪都」構想が、5月に実施された大阪市での住民投票で否決された。「大阪都」構想はきっぱりと諦めるべきである。また、大阪府と大阪市の間で交わされた2つの覚書(「先行的に取り組む広域的な新規・拡充事業について」「うめきた2期開発の推進に係る費用負担に関する覚書」)は、撤回すべきである。ムダな開発(インフラ整備)やカジノ誘致、法人事業税減税の優遇措置などでは、かつてのムダな大型開発や特定の大企業優先の失敗の繰り返しになり、住民福祉の向上や地域経済の活性化、財政健全化にはつながらない。
 いまこそ、「住民福祉の増進」「市町村の補完」という、広域的自治体としての役割を府政運営の基本に据えることが必要である。
 よって、知事におかれては、府民生活と大阪経済の現状と実態にしっかりと向きあい、府民の願い真摯に耳を傾け、府政運営に全力を尽くされるよう以下の提案及び要望を行なう。

1.大阪経済振興へ〜雇用を守り、中小商工業者の支援強化を

(1)「ブラック企業」の根絶、安定した雇用確保と賃金引き上げへ
 @ 大阪府内の経済団体・大企業に対し、賃上げと正規雇用の拡大、中小企業への下請け単価を保障するよう強く求める。
 A  「ブラック企業規制条例(仮称)」を制定する。国との連携・協力を強化し、「ブラック企業」「ブラックバイト」の実態把握を進め、根絶をはかる。
 B 夜間の労働相談日を増やすとともに、メール相談や土日、休日の開設など、市町村とも協力し、相談しやすい取り組みを進める。
 C 国に対し、以下の事項を求める。
  (ア) 大企業の内部留保を活用した賃上げを経済界に求める。
  (イ) 最低賃金の時給1000円以上への引き上げと、中小企業に対する社会保険料負担の軽減などの中小企業支援をセットで実施する。
  (ウ) 「生涯派遣」につながる労働者派遣法の抜本改悪をやめ、均等待遇のルールの確立、非正規労働者の正規化を促進する。
  (エ) 「残業代ゼロ」制度など、労働法制の規制緩和を行わず、人間らしく働けるルールをつくる。
  (オ) 「ブラック企業」「ブラックバイト」の規制、異常な長時間労働の是正、無法なリストラ・解雇を規制する雇用ルールをつくる。

(2)大企業優遇から中小企業の支援強化へ〜経済政策の転換を
 @ 大阪府中小企業振興基本条例に基づき、実効ある施策を具体化する。
  (ア) 削減されたものづくり中小企業関連予算を元に戻し、コネクターハブ企業の活性化での仕事おこしなど、大阪の強みである、ものづくり中小企業の高い技術力と集積の力を守り発   展させ、地域循環型経済を実現する。
  (イ) 社会保険料の事業主負担の補助制度など、最低賃金引き上げや人材確保のための府独自の助成制度を検討する。
  (ウ) 中小企業向け融資の利率と保証料を引き下げる。
 A 福祉・防災型公共事業を府の最優先課題の一つに据える。
 B 国に公契約法の制定を求めるとともに、府として、公契約条例を制定し、企業の利益と労働の賃金を保障する。
 C 高齢者住宅補助制度の復活や木造住宅及びマンション耐震化補助を充実する。
 D 国に対し、地域金融活性化法の制定や中小企業予算の1兆円への増額、下請けGメン創設検査官の増員を求める。
 E 府としても、「下請けいじめ」をなくすよう、直接、経済界や大企業に働きかける。
 F 商店街振興予算の大幅な増額(6〜7億円への復元)をはかり、市町村と連携し、地域・商店に即した支援策を検討・実施する。

2.医療・福祉・介護の充実で<らしの応援を

(1)子ども医療費助成制度の拡充
 @ 通院助成の対象を中学校卒業まで拡充する。所得制限は元に戻す。
 A 入院食事代についても昨年度まで通り助成対象とする。

(2)国民健康保険
 @ 広域化を前提とした加入者負担増、「市町村しばり」は行なわない。
 A 2018年度からの国保広域化にあたっては、府として市町村を支援し、保険料の値上げを防ぐ。
  (ア) 「事業費納付金」の算定にあたっては、市町村ごとの所得や生活、医療の状況に即し市町村の意見を尊重する。
  (イ) 「標準保険料」は一本化せず、所得や生活、医療の状況に即し市町村ごとに示す。実際の保険料設定では、市町村の自主性を尊重する。
  (ウ) 府の国保への補助を抜本的に拡充し、「事業費納付金」を抑制する。
 B 国に対し、以下の事項を求める。
  (ア) 国の責任で、保険料を年間1人1万円値下げする。
  (イ) 法定軽減を拡充する。
  (ウ) 福祉医療へのペナルティを廃止する。

(3)医療・介護及び介護予防、高齢者福祉の充実で「長寿を楽しむ社会」へ
 @ 特定健診受診率を大幅に引き上げるなど、生活習慣病予防や健康増進の取り組みを市町村との連携を強化し、抜本的に拡充する。小規模事業主や従業員、社会保険被扶養配偶者  の受診機会拡大と受診率向上に努める。
 A がん検診の負担軽減や受診向上を図るため市町村への補助制度を創設する。
 B 特別養護老人ホームの待機者解消に向け、広域型特別養護老人ホームへの府建設補助金を復元(1床あたり270万円→371万円)する。
 C 施設利用者の「補足給付」の「厳格化」に伴う影響・実態を府として把握するとともに、市町村と協力した支援・助成(負担軽減や居住する場の確保等)を実施するなど、2015年度から実  施された介護保険及び介護報酬改定の影響を市町村と協力して実態(利用者及び家族の負担や事業所・施設の増減や経営状況、介護労働者の処遇等、介護現場の実態)を把握し、「介護難民」をださないための支援策を検討する。国へも必要な改善を求める。
 D 公的機関への認知症診断タッチパネルの設置普及や「認知症対応人材」(認知症サポート医や看護師及び認知症サポーター等)の育成など、認知症予防・介護予防の取り組みを市町  村と連携・協力し、抜本的強化をはかる。
 E 国に対し、介護保険制度への国負担を10%引き上げるよう求める。
 F 後期高齢者医療制度の廃止及び70〜74才の医療費窓口負担を1割に戻すよう国に求める。
 G 医療・介護総合法の廃止を国に求める。

(4)救命救急医療をはじめとする医療の充実で府民の命と健康を守る
 @ 救命救急医療及び救急医療の充実
  (ア) 千里救命救急センターへの補助金を復活するとともに、すべての救命救急センターの運営に貴任を果たし、医師確保や増床などをはかる。
  (イ) 府立中河内救命救急センターの東大阪市への移管は行わず、府の広域的役割と責任を果たすため、体制と機能の充実をはかる。
  (ウ) 2次救急告示病院を増やし、府下全体の救急体制強化をはかる。
  (エ) ドクターカーの増加、高規格救急車台数の増、救命救急士の養成など、市町村とともに命を守る搬送体制の強化をはかる。
 A 医師、看護師等の養成・確保を強化し、復帰を応援する。地域医療就学資金を更に充実させる。
 B 先進医療や高額な医療費となる治療を受診した際の医療費に対する助成制度や融資の利子補給制度を府独自に創設する。

(5)「応益負担」はやめ、障害者支援を強化する
 @ 医療型障害者入所施設など、重度障害者の入所施設の整備・建設を進める。
 A 障害者福祉作業所などへの建設補助を復活する。
 B 福祉医療費助成制度を継続するとともに、精神障害者へも適用する。
 C 障害者の正規雇用を増やすとともに、対象を難病患者や精神障害者にも広げる。難病患者の府への採用制度をつくる。法定雇用率達成への小規模企業への支援を強化する。
 D 精神障害者の交通機関利用の助成制度を交通事業者に求める。
 E 障害者総合支援制度の「応益負担」は速やかに廃止し、利用料は無料にするよう国に求める。
 F グループホームの建設への補助制度を拡充する。

(6)生活保護〜受給抑制は行なわず、ケースワーカーの増員等で適切で公正な実施を
 @ 「扶養義務」の拡大解釈による受給抑制や生活因窮者自立支援に名を借りた申請権の侵害などがないよう、市町村及び管内福祉事務所への指導を徹底する。
 A 夏季及び年末一時金を復活する。
 B 生活保護世帯へのエアコン設置のための補助制度を創設する。
 C ケースワーカーの増員を国に求めるとともに、府としても支援する。
 D 国に対し、住宅扶助の引き下げなどの生活保護基準引き下げをやめ、復元、改善するよう求める。

(7)生活福祉資金の融資は無条件で無利子にする

3.子育て支援の抜本的・総合的強化で少子化対策を

(1)子ども医療費助成制度の拡充・復活(重複)
 @ 通院助成の対象を中学校卒業までへと拡充する。
 A 入院食事代についても昨年度まで通り助成対象とする。

(2)児童虐待対策
 ○ 子ども家庭センターの児童福祉司や児童心理司など、児童虐待に対応する職員体制をいっそう充実する。

(3)保育所建設の推進で待機児童解消、保育内容の向上等
 ○ 認可保育所の建設を推進し、待機児童の解消をはかるための市町村支援を行なう。保育基準や内容を下げることや、保育料・利用料の値上げ、「企業参入」で、保育の質の低下を招かないよう府の責任を果たす。

(4)学童保育
 ○ 府として、児童の安全と学びや成長を保障する適切な設置・運営基準を市町村と連携・協 議し設定する。

4.子ども一人ひとりに寄り添い、可能性を伸ばす教育行政を

 @ 35人以下学級を小中学校全学年まで広げるように国に求めるとともに、大阪府独自に小学校全学年と中学校1年生まで35人学級を実施する。
 A 教員定数は正規教員を基本に確保する。必要な講師や非常勤枠を確保し、教育に「穴」があく事態は解消する。また教員の多忙化を解消し、授業準備や、子どもたちと向き合う時間  を保証する。進路指導専任教員を各学校に配置する。
 B 保護者負担を増やす私立高校授業料補助の見直し案を撤回し、これまでどおり継続する。
 C 中学校給食が充実できるように、国の財政措置の拡充を求めるとともに、中学校給食導入促進事業の期間延長を行い、府内すべての中学校で学校給食を実施できるようにする。また、全  員給食を実施できるように市町村に働きかけるとともに、小中学校給食に要する就学援助の  2分の1を大阪府が負担する。
 D 公立高校の「学区制撤廃」の影響を調査・検証し、必要な見直しを行う。
 E 大阪府立高校の「再編整備計画」は募集停止を中止する。35人学級を段階的に実施する。能勢高校、西淀川高校は、府の役割を後退させずに存続する。咲洲・池田北高校の募集停止  は撤回する。
 F 支援学校の過密・過大解消(当面300人以上の学校をなくす)にむけ、新設計画を策定する。また、医療的ケアの必要な児童の就学を保障するためにも、正規雇用の看護師を教員定  数外で増員する。
 G 公立高校授業料無償化の復活、高校就学支援金の拡充を国に求める。奨学給付金を拡充する。
 H 子どもをめぐる痛ましい事件が後をたたない。青少年インターネット環境整備法をより実効あるものにするよう国に求める。学校警備員への補助を復活する。通学路の安全確保など、  児童・生徒の安全対策をすすめる。
 I いじめや校内暴力問題への解決をすすめるために、早期発見、早期解決に全力をあげる。問題の相談対応に当たる第三者機関(医師・弁護士・教育専門家などで構成)を設置するとともに、  スクールカウンセラーを全小中学校に配置する。
 J 無利子貸与枠の拡大、給付制奨学金の創設など奨学金の充実を国に求める。府育英会への補助を復元し、奨学金を充実する。
 K 教育行政基本条例は見直す。
 L 教育委員の準公選制など教育委員会の民主的改革をすすめる。知事は、教育委員会と教育現場の自主性を尊重し、教育条件整備に努める。
 M 全国学力テストの高校入試の内申点への反映はしない。チャレンジテストはやめる。
 N 府立高校の教科書選定にあたっては、学校現場の判断を尊重する。

5.安心・安全、防災のまちづくり、緊急性のない大型開発の凍結・中止を

(1)府営住宅など住宅政策
 @ 府営住宅削減計画を見直し、平均応募倍率(2012年度19.3倍、2013年度13.9倍)を大幅に引き下げる。府営住宅内の空き地を活用し、府営住宅戸数を増やす。
 A 地位承継の範囲を著しく狭くしている現行の規則を、生活保護基準に準じる低所得者も承継できるよう改正する。
 B 府営住宅への市町村への移管は、当面中止する。
 C 老朽化した団地の耐震改修については、建て替え希望が多ければ、建て替えに変更する。耐震改修を進める場合は、老朽化対策を実施する。
 D 高齢化対策
  (イ) 中層住宅へのエレベーター設置のテンポを上げる。
  (ロ) 府営住宅管理における入居者の負担を軽減する。
  (ハ) 駐車場管理やふれあいリビングの運営など入居者の活動を応援する。
 E 現に利用されている府営住宅内の公園を廃止しない。
 F 建築基準法第12条に基づく定期報告制度を定着させ、民間建築物の管理を向上させるとともに、分譲マンション等の管理について相談窓口をつくる。
 G マンションの耐震診断・改修補助制度の拡大を国に求める。府としても耐震化促進のための制度をつくる。

(2)南海トラフ巨大地震はじめとした地震対策を計画的に進める
 @ 南海トラフ地震対策、既存インフラの改修など国民の生命を守る防災・安全対策の推進を国に要求する。
 A 南海トラフ巨大地震による津波に備え、10年以内としている防潮堤の液状化対策を前倒しする。
 B 遅れている住宅の耐震化をすすめるため、助成額の引き上げ、部分改修への助成の周知徹底など、対策を思い切って拡大する。
 C 湾岸部をはじめ、住宅地の液状化対策を研究・検討する。
 D 2020年度までに地震時等に著しく危険な密集市街地を解消するため、関係市と住民の意見をよく聞き、必要な予算を確保するよう国に求める。住民の住む権利は保障する。
 E 道路・橋梁・水道などライフラインの耐震化を急ぐ。
 F 府内の水道施設の耐震化計画の推進をスピードアップする。老朽施設の更新、耐震化について、国庫負担措置を求める。
 G 長周期地震動対策についての知見を早急に明らかにするよう国に求める。

(3)安心・安全の施策の推進
 @ 約6900カ所残っている府道の歩道の段差解消を2年で終了する。
 A 市町村や学校とも協力し、子どもや女性を犯罪から守る対策を強化する。
 B 市町村から要望が出ている信号機設置を可能な限り、スピードアップする。
 C 交番設置の要望が出ているところは、緊急性の高いところから設置する。
 D 街頭犯罪、オレオレ・振り込め・レターパック詐欺など犯罪から府民を守る。女性や高齢者の相談に応じるため、ベテランや女性の警察官を確保をいっそう進める。女性相談交番を計  画的に増やす。
 E 危険ドラッグ対策を府としてもさらに強化する。
 F 住民要望に基づいた街灯設置を市町村とともにすすめる。

(4)水害等、災害対策の強化
 @ 河川の緊急な老朽護岸対策などを2016年度末までに終わるとともに、この間の豪雨による大きな岩や流木の除去を速やかに行い、河川の維持・保全を日常的に強化する。砂防関  係予算をいっそう増やすとともに、必要な専門職員を確保する。
 A 局地的集中的豪雨が起きても家屋流出や人命に影響がないよう緊急5カ年計画をつくり、予算を確保する。雨水貯留施設の設置を市町村とともにすすめる。寝屋川流域の時間雨量50_  対策を急ぐ。
 B 急傾斜地など約6千カ所の土砂災害警戒区域指定予定地域の調査・指定を急ぎ、命と財産を守る対策をハード、ソフト両面から市町村とともに強化する。災害が発生する前に避難で  きる体制をつくる。
 C ハザードマップの作成支援と周知を図る。
 D 市町村と協力して土砂災害等の防災情報を住民に徹底する。
 E 高齢者、障害者、難病患者らへの避難誘導、避難場所での配慮など災害時の支援を強化する。
 F 森林の保全と活用、農林業振興、自然環境保全の取組みを防災の視点からも抜本的に強める。
 G 下水道管路の大規模化、更新など、国に対策強化を求めるとともに、府としても市町村とともに、対策を強化する。

(5)緊急性のない大型開発は凍結・中止を
 @ 「グランドデザイン・大阪」は、いったん凍結し、新しいまちづくり計画を府民参加でつくる。淀川左岸線延伸部やなにわ筋線はつくらない。淀川左岸線2期は、中止も含めて見直す。
 A 安全・環境・エネルギーなど多くの点で問題がある中央リニア建設工事は中止するよう国に求める。
 B うめきた2期への府の予算投入、北大阪急行の延伸、モノレールの東大阪への延伸はゼロベースで見直す。
 C 「カジノ合法化法案」をつくらないよう国に求める。カジノを核としたIR(統合型リゾート)の誘致はやめる。
 D 「特区」を活用した雇用、医療、教育、農業、都市開発などの規制の緩和と撤廃、企業を呼び込む税制の優遇策は、費用対効果、大阪の将来などから見直す。
 E 府庁舎は、咲洲庁舎(旧WTCビル)から撤退し、大手前地区へ集約する。南港・咲洲地区の住環境の改善を図る。

6.原発ゼロ、新エネルギーの大規模な普及、農林水産業の振興

(1)原発ゼロ、新エネルギーの普及
 @ 「即時原発ゼロ」の政治決断をおこない、再生可能エネルギーの大規模な普及と開発をすすめるよう国に求める。
 A 福島第一原発の汚染水問題は国の非常事態であり、コスト優先・安全無視の対応をしてきた東京電力と東電任せにしてきた国の責任は重大である。大阪府として、東電と国に抜本的  対策を講じるよう要望する。
 B 住宅太陽光の補助制度の復活を国に求め、年間1万件以上をめどに府の補助制度を創設する。屋上や壁面の緑化、間伐材の活用拡大、公共交通の重視など、CO2の削減で環境  にやさしい大阪づくりに総力をあげる。
 C 川内原発の再稼働(運転)中止を国に求める。関西電力に原発の再稼働をしないよう知事を先頭に強く要請する。
 D 学校など公共施設の太陽光発電をいっそう普及する。小水力や下水処理場発電、バイオマスなど、多様な自然エネルギーの施策と予算を拡充する。
 E LEDの普及など省エネルギーにつとめるとともに、適切な家庭での節電方法を市町村とともに府民に普及する。
 F 中小企業が、自然エネルギー、自家発電、省エネルギーや環境対策にとりくむ際の府の援助を強化する。

(2)農業の振興、環境保全
 @ コメ、果樹、野菜などの供給率目標を復活し、達成するための具体化を図る。農林水産業ビジョンを実効あるものにするよう予算確保を図るとともに、必要な職員を確保する。
 A 大阪産のコメや野菜などを福祉施設や学校給食で使用するよう、市町村と協力してすすめる。
 B 地元産品の地域の商業などでの使用をすすめる。
 C 間伐材の公共事業への使用の拡大、「一園一室木のぬくもり」事業の抜本的強化、まちづくりへの使用促進など、市町村と協力して林業の振興をはかる。
 D 森林保全に計画的に取り組むとともに、森林組合の事業への補助を強める。
 E 有害鳥獣対策を強化する。
 F 食と農、医療やくらしと雇用・経済を壊すTPP交渉から撤退するよう国に求める。
 G 電気柵施設の安全確保を徹底する。

7.平和を守り、文化が花開く大阪へ

(1)ピースおおさかの展示は歴史の事実が学べる展示に
 @ 「ピースおおさか」(大阪国際平和センター)の展示内容は15年戦争の被害・加害の両面をきちんと伝えるものにする。小中学生の目線で、大阪空襲や歴史の事実と戦争の悲惨さに  ついて学べるように改善する。
 A 前知事が削減した補助金を復活させる。学芸員の人数を元に戻す。

(2)青年・女性が輝く大阪へ
 @ シェルターの確保、24時間電話相談をはじめ、DV、ハラスメント等の対策をすすめるとともに、出産、育児をきっかけにした退職勧奨などパワハラ、セクハラを許さない職場・社会づくり  に努める。
 A 女性の多様な相談に対応できるよう体制充実など、ドーンセンターの機能充実を図る。
 B 女性の賃金・昇格差別が行われないように大阪府として独自の対策をすすめる。
 C 保育所の待機児童解消をはじめ、育児休暇や所定労働時間短縮措置の取得奨励など女性が働きやすい職場環境を構築する。
 D 若い世代の正規雇用は大阪経済に欠かせない。ブラック企業の実名公表をはじめ、青年の雇用を促進する。

(3)文化の振興
 @ 文化振興をはかる。
 A 若者の文化・スポーツ・芸術の交流・発信支援を強める。

8.大阪府政の問題点や転換にかかわって

 @ 「大阪都構想」は、きっぱりやめる。
 A 府と大阪市の間で交わされた「先行的に取り組む広域的な新規・拡充事業について」と「うめきた2期開発の推進に係る費用負担に関する覚書」は撤回する。
 B 効率的な行政運営、府民の暮らし・福祉優先の府政運営に切りかえ、維新府政(橋下知事就任後)で廃止、縮減されてきた暮らし関連施策の重要性を精査し、緊急のものから復元する。
 C 大阪府が減らしすぎた専門・技術職員を計画的に増員する。
 D 政府の社会保障抑制策等のもと、府民負担軽減を府民の声を聞きながら進める。
 E 府民の暮らし応援を軽視し、大企業応援に偏重した「行政改革推進プラン」(案)は撤回し、「住民福祉の増進」「市町村の応援」という本来の役割を府政運営の基本に据える。
 F 地方創生「総合戦略」は、雇用の安定と中小企業支援、府民福祉の向上を中心に据えたものにする。そのための施策を、国交付金も積極的に活用して推進する。

9.「戦争する国づくり」ストップはじめ、国政の問題点や転換にかかわって

(1)「安保法制」撤回をもとめ、平和な日本と大阪の確立を
 @ 国会で審議されている「安保法制」は、自衛隊などが戦闘地域にまで行き兵站活動ができる、武器使用が認められる、集団的自衛権行使で海外での戦争に参加できるなど、「戦争法案」  そのものであることが明らかである。日本と日本国民の平和と安全を守る上で、「安保法案」を  撤回するように国に強く求める。
 A 沖縄・辺野古への新基地建設中止を国に求める。米軍オスプレイの全国配備に反対し、低空飛行訓練の中止を要求するよう国に求める。
 B 防衛予算を増やしオスプレイを大量購入するなど、国民無視の軍事強化を行わないように強く国に求める。

(2)くらし・福祉・教育第一の政治への転換を国に求める
 @ 消費税の10%への増税を中止するよう求める。
 A 社会保障の連続削減を中止し、暮らしをささえる制度として充実させることを求める。
 B 抜本的な子育て支援策の拡充を国に求める。
  (ア) 国として子ども医療補助制度を創設するよう求める。
  (イ) ひとり親家庭の雇用確保と支援、児童扶養手当や就学援助の拡充など、子どもの貧困対策の強化を求める
  (ウ) 少人数学級など教育条件整備をすすめ、教育費負担を軽減することを求める。

(3)地方税財源の復活、拡充を求める

(4)大型開発などの浪費や富裕層・大企業への優遇税制をあらため、雇用を守り国民の所得を増やす経済改革をすすめて税収増をはかるよう国に求める
 @ 大企業の内部留保を活用した賃上げと人間らしく働ける雇用のルールづくりを求める。
 A 中小企業を日本経済の根幹と位置づけ、国の中小企業予算を1兆円に増額し、技術開発、販路拡大、後継者育成、円滑な中小企業金融など、中小企業への支援を強化するよう求める。

   


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