法定協委員の差し替え強行は、府民の多様な意見を封殺し、ダブル選挙での民意と法定協設置直前の自らの発言にも背くものであり、認められない
2014年6月19日
日本共産党大阪府議会議員団団長 宮原 威
大阪府議会の議会運営委員会で法定協委員差し替えが多数決で強行される可能性が報道されている。しかし、「法定協の規約に添わない発言があった」という理由で法定協委員の差し替えを強行することは断じて認められない。
1 「『大阪都』による大阪市分割は必要ない」という発言を法定協で行ったとしても、委員差し替えの理由 にはならない。
「大阪にふさわしい大都市制度推進協議会」の第6回(2012年9月10日)、第7回(2013年1月18 日)の審議で、推進協議会を打ち切り法定協議会を設置することについて議論が行われている。そこで の橋下市長や松井知事の発言は、(法定協)規約には書かないが「『大阪都』による大阪市の分割は必 要ない」という意見を含めた議論を認めている。
第6回では、橋下市長は「入口論(大阪市分割の是非など)の話と、住民の皆さんに具体的な制度設 計を見せる、この両方やったらいいじゃないですか」と発言している。第7回では、松井知事は「ニア・イ ズ・ベターの枠はどういう枠がいいのか。今の24区なのか、5区なのか、7区なのか。(財政調整も含め て)中身は法定協議会でやるわけですから」「中身の議論をしたいとおっしゃるんなら法定協議会で中 身の話をすれば十分」と発言している。
この議論には、浅田府議会議長(当時)も推進協議会の会長として参加しており、その浅田氏が、自 民党・民主党・共産党の各委員の発言について「規約違反だから弁明せよ」という文書を送るなどは言 語道断である。
2 橋下市長や松井知事の「ダブル選(2011年11月)や今年の大阪市長選(2014年3月)で『大阪都』 への移行や住民投票の実施は民意を得ている」という主張は成り立たない。
ダブル選では、知事選・市長選とも、松井・橋下両氏の得票は有権者比では3割前後でしかない。し かも、「大阪都」に移行すれば8千億円とか4千億円の財源が生まれるなどと主張して選挙を行ったが、 この主張をまともに説明したことは一度もなく、これが誇大・虚偽の主張であったことは今では明白にな っている。今年の大阪市長選での橋下氏の得票は有権者比2割にも満たない。
この点だけでも、ダブル選や市長選の結果からみて民意を得ているとは言えない。
3 市町村合併をすすめる協議会でも、議論の結果合併が白紙に戻る事例は多くある。住民にとってのメ リット、デメリットを事実にもとづき議論することが法定協議会の責務である。その協議会での発言が気に 入らないから委員を差し替えるなどということは、住民によって代議権を与えられている府議会議員が行 ってはならない。仮に維新の会が府議会過半数を確保していても行ってはならないことは言うまでもない。
4 府議会議会運営委員会は、府議会から全権を委任されているわけではない。府政の根本にかかわる 重要問題を審議している法定協の委員を多数決で差し替えるなどということが強行されれば、偽りの「多 数」による暴挙であり、大阪府議会の歴史に重大な汚点を残すこととなる。
以 上
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