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府民の苦しさ反映を 党大阪府議団 知事に要望書

 日本共産党大阪府議団(宮原威団長)は12日、2013年度予算編成と施策の基本報告について、松井一郎府知事に要望しました。綛山哲男副知事が要望書を受け取りました。
 要望は、府民のくらしと府政にかかわる問題について、60項目以上を盛り込んでいます。
 @子どもたち一人ひとりを大切にする教育を確立するA生活保護を憲法25条と生活保護法の精神に基づいて公正に運用するよう市町村を強く指導するB橋下前知事時代に中小企業や商業振興予算が大きく削減された。地域経済振興のために必要な予算を確保するC海岸防災施設は4〜5bの津波に対応できるよう拡大・強化し、それを超える津波があっても府民の命を守るため、確実に避難できるような設備と体制を確立する――など。
 さらに府政のあり方として、府市統合本部は廃止する。財政の無駄遣いであるとともに、府政の偏向をいっそう進める原因ともなっている現在の特別顧問などによる「側近政治」は改めるIなどを要望しています。
 堀田文一府議は、生活が苦しくなっている府民の声を聞き、子どもの医寮費助成、中小企業振興と大企業の社会的責任・地域的責任を果たさせるべきだと要求。いじめへの抜本対策、原発ゼロと白然・再生エネルギーの拡大、「近現代史教育施設」建設はやめて「ピースおおさか」を充実させよと語りました。
 綛山氏は、要望は承ったと答えました。
 宮原氏は「財政再建は足掛け15年かかってもできていない。くらしを応援し、内需主導で大阪経済を立て直し、税収を増やすべきだ。北ヤード開発への大阪府・大阪市の巨額の支出は、直ちに中止し、その金は府民のために活用せよ」と訴えました。



「しんぶん赤旗」2012年9月13日付より





日本共産党府議団の「2013年度予算編成と施策の基本方向についての要望」は以下の通りです。

大阪府知事 松井一郎 様

2012年9月12日
日本共産党大阪府議会議員団
団長 宮原 威

2013年度予算編成と施策の基本方向についての要望

はじめに

 7月の大阪の百貨店販売額は3カ月連続して対前年同月比マイナスになり、スーパーは4カ月連続の対前年同月比マイナスとなった。総務省の労働力調査によると、4〜6月期の失業率は5.4%と前期(1〜3月期5.3%)と比べ後退した。大阪における非正規労働者割合は43%で、全国の35%に比べて著しく高い。昨年の全産業平均賃金は、一昨年の98.2%に低下し、さらに今年1〜5月期は昨年同期に比べて98.1%に低下している。本年度の府税収入も、当初予算ベースで昨年度に比べ、府税全体で3.5%マイナス、うち法人二税で10.7%マイナスとなっている。後期高齢者医療制度の保険料は6.9%アップ、介護保険料は15.6%アップし、府民の生活難に追い打ちをかけている。
 橋下・松井府政の4年半、様々な「改革」や「成長戦略」が実施されてきたが、これらの実態は、大阪経済、府民のくらしと雇用が悪くなっていることを示している。
 雇用と社会保障の充実、中小企業振興でこそ、消費が上向き、大阪経済の活性化につながる。そうすれば、税収も増え、不要不急の大型公共工事の見直しなどとあわせて、財政危機打開への道も大きく開くことができる。
 以上の観点から、2013年度予算の編成に当たっては、府民のくらしと雇用の改善、大阪経済の立て直しを基本に編成されるよう、強く要望する。
予算要望の細目については12月に提出するが、予算編成作業を開始する今日の時点では下記の基本的項目を提出する。

1.積極的に実施すべき項目

(1)子育て支援

@子ども医療費助成制度の対象年齢(通院分)を、現在の2歳までから就学前までに拡充する。
A保育所建設のための市町村支援を強化し、待機児童解消を図る。
B児童虐待に対応する職員体制及び施設をいっそう充実する。
C「子ども・子育て新システム」の撤回を国に求める。

(2)子どもたち一人ひとりを大切にする教育を確立する

@教育条件の改善・拡充
 ア.国が小学校1・2年の35人以下学級を実施(定数及び加配により)したことを受け、大阪府独自に、当  面、小学3年・中学1年での35人学級を実現する。
 イ.正規教員を増やすなど、教員の負担軽減を図り、「教育に穴が開く」事態や教職員の多忙化を解消   し、教員に授業内容を充実させる時間や子どもたちに向きあう時間を保障する。
 ウ.支援学校の「過密・過大」解消へ、新たな増設計画を策定する。
A「いじめ」問題への学校現場の取り組みを支援する
 ア.「いじめ」を隠蔽することなく、早期に発見し、機敏で適切に対応するため、学校、教育現場での連携・  協力を強化する。
 イ.「いじめ」問題などの相談・対応にあたる第三者機関(医師、弁護士、教育専門家等)を設置する。
 ウ.子どもたちや学校・教育現場に「分断」「対立」を持ち込む、過度な競争教育や学校・教員評価は改め  る。
B教育委員会の「改革」に向け、教育委員の準公選制について検討を開始する。

(3)高齢者対策

@後期高齢者医療制度の廃止を国に強く求める。
A介護保険会計への国の補助率を25%から30%に増やすよう求める。
B特別養護老人ホームを増やし、待機者解消をはかる。

(4)国民健康保険、介護保険、医療について

@国民健康保険の広域化はしないよう、国に求める。
A国保料引き下げのために、国に国保会計の支出を1980年代の水準に戻すよう求めるとともに、府として も一般会計からの繰入を復元する。
B国民健康保険料の市町村の独自減免制度に府が1/2補助する制度をつくる。
C介護保険の広域化はしない。
D千里救命救急センターへの補助金を復活するとともに、府の救命救急センターに対する補助及び機能強 化をはかる。
E5年ごとのガン検診への国の補助制度を、来年度以降も存続させるよう国に求める。国が事業を打ち切る場合、府が1/2を助成する制度をつくる。

(5)生活保護

@生活保護を、憲法25条と生活保護法の精神に基づいて公正に運用するよう、市町村を強く指導する。
A親族の扶養義務の強化は行わないよう国に求める。
B生活保護受給者が受診できる医療機関を制限する「医療機関登録制」は行なわないよう大阪市に求める。
Cケースワーカーの増員・支援措置を国に求めるとともに、府としても支援する。

(6)府営住宅

@家賃減免の判定における最低生活費相当額の計算に、医療費や浴槽のリース代を含めるよう家賃減免 制度を改善する。
A入居者の世帯主が死亡した際、地位承継できる遺族の範囲を広げる。
B府営住宅内の低未利用地売却の対象から、公園など子どもや住民の生活に必要な敷地をはずすととも に、府営住宅敷地内に当初からある公共施設について、借地料をとらない。
C駐車場の管理を、希望する自治会から取り上げない。

(7)中小企業振興と大企業の社会的・地域的責任を求める

@中小企業向け融資への預託金を元に戻すなど、制度の改善をはかる。
A中小企業振興基本条例を具体化するため、「中小企業振興会議(仮称)」を立ち上げ、中小企業振興計 画を策定する。また、条例の「基本方針」具体化のための施策を検討するワーキンググループを中小企業 者参加で立ち上げる。
B橋下前知事時代に中小企業や商業振興予算が大きく削減された。地域経済振興のために必要な予算を 確保する。
C新規高卒者の採用や若者の正規雇用拡大など、府内大企業に社会的責任を果たすよう求める。
D企業立地促進は、新規雇用を確保し地元中小企業に仕事が回るなど、大阪経済の振興につながるような 仕組みに切り替える。

(8)防災対策

@津波高の想定を、中央防災会議の指針とともに文献記録や地震考古学の成果も踏まえ、府の判断で決 定する。
A海岸防潮施設は、4〜5メートルの津波に対応できるよう拡大・強化し、それを超える津波があっても府民 の命を守るため、確実に避難できるような設備と体制を確立する。
B道路、橋梁等の耐震性を確保する。学校校舎・体育館等の耐震化率100%を急ぐ。2015年に住宅の耐 震化率90%が達成できるよう、予算と体制を抜本的に拡大する。
C原子力発電所が大事故を起こした際の対策をつくる。
D災害時における、高齢者、障害者、難病患者等の対策を確立する。

(9)府として原発ゼロに向け、自然・再生可能エネルギー拡大の計画をつくる

@関西電力に大飯原発停止を求めるとともに、「原発ゼロ」への方針を確立し、国にも働きかける。
A住宅太陽光発電融資制度を無利子で、対象戸数を10倍にし、マンションや貸家にも広げ、抜本的に改 善する。
Bゴミ、小水力などあらゆる自然・再生可能エネルギーを活用した発電を促進する。

(10)水道料金引き下げ

 大阪広域水道企業団に、水道料金引き下げを求める。


2.現在、府がすすめようとしている政策に対して

(1)府市統合本部

@府市統合本部は廃止する。
A大阪府と大阪市の政策協議は、「府民の利益と大阪産業振興」という立場から関係部局だけでなく、住民 参加(府民団体、中小企業や経済3団体など)の下で、積極的に行う。
B財政のムダづかいであるとともに、府政の偏向をいっそう進める原因ともなっている現在の特別顧問など による「側近政治」は、改める。

(2)「大阪都構想」

@大阪都については具体化しない。
A国からの補助金を三位一体改革前に戻すよう国に求めるとともに、大阪維新プログラム(案)によって削減 された府の市町村補助を段階的に復元する。
B地方交付税の廃止と消費税の地方化を国に求めることはやめる。

(3)施設等の統合等について

@府市統合本部で統合等の対象に挙げられている施設等については、住民、利用者の利便や福祉の向  上、生命・安全を守る立場などから根本的に再検討する。
A大阪府立、大阪市立両大学・学部は、住民の貴重な財産で、それぞれ重要な役割を果たしており、今後 のあり方については、大学の自治を尊重する立場で、大学関係者や府民・市民らによる、十分時間をかけ た議論を保障する。
B中之島図書館は、書籍や資料の保存・管理機能や市町村図書館への支援、豊富な資料を活用した高度 なレファレンス(調査相談)などを充実させながら、より使いやすい図書館への改善を図るなど、大阪の知 的文化財産として有効活用する。
C大阪市内の府営住宅を大阪市に移管すれば、府民が入居できる府営住宅は少なくなる。すべての府民 に府営住宅に入居できる権利を保障する。10年間で1万戸を削減する計画はただちに撤回し、戸数増を 検討する。
D府立急性期・総合医療センターと大阪市立住吉市民病院の「機能統合」はせず、大阪市の当初計画通  り、早期建て替えなど住吉市民病院を総合病院として存続・発展させることを大阪市に要求する。
E大阪府「こころの健康総合センター」と大阪市「こころの健康センター」は、まったく別の機能を果たしてお り、統合する必要はなく、それぞれ充実させる。
F府市の信用保証協会の統合はおこなわず、資金調達を受けやすいよう、市町村とも協力して各自治体に おける制度融資の充実をはかることを求める。

(4)教育

@「教育振興基本計画」の策定にあたっては、少人数学級の拡充など、教育条件について全ての子どもた ちの成長・発達を保障する立場で教育委員会が主体となって策定し、知事は、教育内容に介入しない。
A「新たな大都市制度に移行」することを前提にした、府立高校と大阪市立高校の「一元化」や、「再編整  備」、府立高校の「学区撤廃」、「3年連続定員割れ高校の統廃合」は行なわない。2014年度をピークに 生徒数が減少することを好機ととらえ、少人数学級実施や正規教員の増員などで教育内容を充実させ、 生徒一人ひとりのさらなる成長の保障へと踏み出す。
B学校・教育現場に「競争と管理」、「分断」を持ち込む「学校評価」や「教員評価」は行わず、学校・教育現 場の自主性を保障し、教職員の協力・連携を強化する。
C教育行政基本条例、府立学校条例は具体化せず廃止し、府立学校の設置等についての条例を制定す る。

(5)「グランドデザイン大阪」と「成長戦略」

@グランドデザイン大阪は、府民の暮らしや雇用を置き去りにした、新たな大型開発計画になっている。住民 参加で抜本的な見直しを図る。
A「大阪の成長戦略」は、海外観光客と企業立地の増加を成長のカギとし、エンターテイメント都市化や非 課税措置、交通インフラ整備を「成長をもたらす方策」としているが、大阪経済の主役である中小企業支援 と地域経済振興の視点がない。抜本的に見直す。

(6)「近現代史教育施設」建設構想などについて

@靖国神社の戦争展示施設「遊就館」を参考にし、「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書執筆者による 展示物解説の併記などが検討されている「近現代史教育施設」建設計画はやめる。
A「ピースおおさか」は、歴史の事実と戦争の悲惨さを伝える立場で充実させる。

(7)職員条例

 職員基本条例は具体化せず、廃止する。




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