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府民施設・事業廃止やめよ/党大阪府議団が知事に申し入れ



 日本共産党大阪府議団(宮原威団長)は11日、松井一郎府知事と竹山修身大阪広域水道企業団企業長にそれぞれ、府民のための公共施設・事業の廃止や機能縮小をしないこと、水道卸売料金の値下げを申し入れました。
 現在、「府市統合本部」で、「二重行政の解消」などを名目に、府立高校と大阪市立高校の統廃合、府立大学と市立大学の統合、中之島図書館や住吉市民病院の廃止などが示されています。
 申し入れでは、府民生活と大阪経済を支えるこれらの施設の役割が後退させられることはあってはならないと指摘。府民の立場での検証ぬきに、松井知事や橋下徹大阪市長、一部の「特別顧問」らが「統合本部」だけで強行するやり方は「言語道断」だと批判しました。応対した府大都市制度室長は「検討対象にしているのは類似、二重のものだけ」などとのべるにとどまりました。

 水道についての申し入れでは、現在、大阪広域水道企業団の水道卸売料金は1立方メートル78円ですが、来年度から給水原価が68円になることを指摘。10円程度の値下げを提案しました。現在検討されている、大阪市水道との統合については、受水市町村の府民の利益を第一にし、安心・安定・安価という水道法の3原則にのっとり十分時間をとって検討することを求めました。応対した同企業団副企業長は、料金値下げについては「がんばりたい」とのべました。




「しんぶん赤旗」2012年7月12日付より




共産党府議団が知事に提出した「府民のための公共施設・事業の廃止や機能縮小はしないことを求める申し入れ(第1次)」は以下の通りです。

2012年7月11日

大 阪 府 知 事
松井 一郎 様

府民のための公共施設・事業の廃止や機能縮小はしないことを求める申し入れ(第1次)

日本共産党大阪府議会議員団
団 長    宮 原  威

 現在、「府市統合本部」で、府市統合を前提とした、大阪府と大阪市の公共施設・事業の見直しが議論されています。しかし、対象とされている施設・事業には、府民生活と大阪経済を支える重要な役割を果たしているものが多くあります。暮らしと雇用が全国に比べても悪化している大阪で、「二重行政の解消」などを名目に、これらの役割が後退させられることはあってはなりません。
 とりわけ、「府市統合本部」で、大阪市長と知事や一部の「特別顧問」などが、府民のための利益になるかどうかのまともな検証もなく、個々の施設・事業のあり方を一方的に方向づけるやり方は言語道断です。
 よって、第1次分として7項目の施設・事業について、府民のために果たしている役割の廃止・機能縮小はしないことを以下のように申し入れます。

1 府立高校

 「府市統合本部」の「基本的方向性(案)」では、「多様な課程・学科等を備える高等学校を地域間で偏在なく整備するためには、広域的な視点で対応する方がより効果的・効率的であるため、新たな大都市制度移行時にあわせて広域自治体に一元化」とし、「今後、移管に向けた課題を整理」するとして、現在の大阪府立高校(139校)と大阪市立高校(22校)の全てを対象とする「再編整備方針」を2013年度中に策定しようとしている。
 「新たな大都市制度に移行」することを前提として府立高校と大阪市立高校を「一元化」「再編整備」しようとしていること自体が問題であり、府立高校については、「統廃合ありき」で「再編整備」するのではなく、2014年度をピークに生徒数が減少するのを好機と捉え、少人数学級の拡充や正規教員の増員などを図りながら教育内容を充実させるなど、身近なところに行きたい学校をしっかりと整備していくことこそが必要である。

2 府立大学

 大阪府立大学と大阪市立大学の「経営形態を見直す」として、「法人統合に向けた組織改革の推進」の「基本的方向性(案)」が示され、「外部有識者からなる『新大学構想会議』」を設置し、「公立大学のあり方についての将来ビジョンの策定」が行われようとしている。
 公立大学のあり方については、「目先の利益や成果」「短期的効率主義」などによる予算削減や学部構成が行われることがあってはならず、学部や学生数・規模などの縮減は行われるべきではない。
 いずれの大学・学部も、府民・市民の貴重な財産であり、それぞれ重要な役割を果たしてきた。今後のあり方については、これまで果たしてきた役割をしっかり検証し、大学の自治を尊重する立場で、大学関係者や府民・市民が十分時間をかけた議論を保障するよう求める。

3 府立中之島図書館

 中之島図書館は、1904年に開設された、現役の図書館としては日本最古の図書館である。住友家からの建物と資料の寄付や多くの府民からの資料の寄贈など、古典籍を含む貴重な資料など約55万冊に及ぶ蔵書を誇っており、大阪文化のシンボルとなっている。都市中心部に知的拠点が存在することにも重要な意義がある。
 大阪の知と文化を担い100年以上続いた歴史ある図書館を、橋下市長の「思いつき発言」で廃止してしまうことは許されるものではない。
 中之島図書館は、府立図書館として、書籍や資料の保存・管理機能や市町村図書館への支援、豊富な資料を活用した高度なレファレンス(調査相談)などを充実させながら、より使い勝手の良い図書館への改善を図るなど、大阪の知的文化財産として有効活用すべきである。

4 府営住宅

 「基本的方向性(案)」は、府民の住宅セーフティネットの役割を果たしている府営住宅の大阪市移管を盛り込んでいる。
 府営住宅を大阪市に移管すれば、府民が入居できる府営住宅は少なくなる。すべての府民に府営住宅に入居できる権利を保証しなければならない。
 同時に、府営住宅の市移管によって、府営住宅をまちづくりに活用することが、期待できる効果の一つとしてあげられている。現在、府営住宅の総合募集の中で、大阪市内はもっとも倍率の高い地域となっている。府民の需要からみれば府営住宅ストックは少なく、戸数を増やすことこそ検討すべきである。
 現在、府営住宅の応募倍率は20倍という高倍率で推移している。現在進行中の、10年間で1万戸を削減する計画はただちに撤回するよう求める。

5 府立・市立病院

 大阪市立住吉市民病院(住之江区)を、一部機能のみを府立急性期・総合医療センター(住吉区)に移転して事実上廃止する方向が示されている。
 計画によると、移転して「拡充強化」するのは住吉市民病院の小児・周産期医療の機能のみであり、現在総合病院である同病院の他の診療科・機能は廃止される。しかし、大阪市南部地域(住之江区・西成区・住吉区など)は、他地域に比べ内科・外科など全ての診療科目が少なく、今後もっとも高齢化が進むと推測されている地域でもある。
 また、住吉市民病院は、西成、住之江区域における小児・周産期医療を担う唯一の病院で、小児科・産婦人科外来患者の8割が両区の住民である。急性期・総合医療センターに機能移転すれば、地域の小児・周産期医療機能の後退は避けられない。しかも、「拡充強化」といいながら、統合後の小児科・産婦人科の病床数は現在より減少する計画となっている。
 さらに、急性期・総合医療センターと住吉市民病院は約2kmの距離があり、交通手段もバスしかないなど患者にとっては不便になる。
 地域住民が求めているのは「身近で安心して受診できる医療機関」であり、民間では担えない不採算部門も備えた総合病院である。この願いに逆行する急性期・総合医療センターと住吉市民病院の「機能統合」はせず、大阪市の当初計画通り、早期建て替えなど住吉市民病院を総合病院として存続・発展させることを大阪市に要求することを求める。

6 こころの健康総合センター

 大阪府「こころの健康総合センター」と大阪市「こころの健康センター」はともに、都道府県と政令市が設置しなければならないことが精神保健衛生法で定められた施設である。2010年度に、府「センター」は27,058人、市「センター」は14,046人が相談などで利用している。
 府「センター」は府内13保健所と連携しながら事業展開しているが、保健師の平均年齢が低下しており、再任用(おもに61歳以上)の保健師の協力もえて精神保健の活動を展開している。市「センター」は相談が主で、夜間のみ救急医療をおこなっている。各「センター」はまったく別の機能を果たしており、統合する必要はなく、それぞれ充実させるべきである。

7 府・市信用保証協会

 2013年度中を目途に、大阪市信用保証協会を府中小企業信用保証協会に吸収合併する方向が示されている。
 信用保証協会の目的は、「中小企業者に対する金融の円滑化」(信用保証協会法第1条)である。統合すれば「コスト削減」になるというが、中小企業振興にとって信用保証制度の役割は重要である。府内事業所の46%が集まる大阪市が信用保証業務を行う意味は小さくなく、統合は市内事業者にとって選択肢の縮小につながる。
 今必要なことは、制度融資の充実や信用保証制度の改善のために国への要請を強めつつ、府独自にも、今年度から実施された銀行経由の融資の増加などは再検討し、公的責任で中小企業融資を強めることである。
 よって、府市の信用保証協会の統合はおこなわないよう求める。そのうえで、経営改善を口実にした保障しぶり、貸しはがしをおこなわないことは当然として、資金調達を受けやすいよう、市町村とも協力して各自治体における制度融資の充実をはかることを求める。



共産党府議団が大阪広域水道企業団企業長に提出した「水道卸売料金の値下げなどを求める申し入れ」は以下の通りです。

2012年7月11日

大阪広域水道企業団
企業長 竹山 修身 様

水道卸売料金の値下げなどを求める申し入れ

日本共産党大阪府議会議員団
団 長    宮 原  威

 全国でも例を見ない42市町村という多くの自治体によって構成された貴団体が発足し、1年有余が経過しました。現在、当該自治体の水道水の73%を住民に供給する重要な役割を果たしています。
 さて、日本共産党大阪府議団は、かつての大阪府営水道時代から20数年にわたり、過大な水需要予測の引き下げや、安威川ダムや紀ノ川大堰からの利水の撤退、卸売料金の値下げなどを求めてきました。卸売料金については、一昨年から1立方メートルあたり10.1円値下げされ78円になりましたが、さらに、来年度から給水原価が68円になるとの予測が貴企業団より示されています。以前、前橋下知事はわが党の質問への答弁で、また貴職におかれても、「再度の値下げが可能」とのべられています。昨年度決算が15億円近い黒字になったことや、来年度以降の企業債償還額の削減などからみても、来年度からの値下げは十分可能です。
 また、料金のほかにも、安心・安定・安価という水道法の3原則にもとづいた事業展開にはいくつかの課題があります。
 こうした立場から、下記の項目について申し入れるものです。
 なお、回答は文書で行われるようお願いいたします。

1 2013年4月から、水道卸売料金を1立方メートルあたり10円程度値下げすること。

2 値下げ分(約52億円)を、住民の水道料金の値下げに可能な限り使うよう市町村に要請すること。また、浄水施設や水道管路の耐震改修、技術職員の確保などにも努力するよう要請すること。

3 1日あたり187万立方メートルの水需要予測を見直し、2030年まで2,870億円とされる施設整備計画の事業費を削減するよう検討すること。

4 大阪市水道との統合については、受水市町村の府民の利益を第一にし、安心・安定・安価という水道法の3原則にのっとり検討すること。42市町村との合意はもちろん、情報を府民に公開し、十分時間をとって検討すること。

5 水道施設の耐震化や更新事業への補助を抜本的に拡充するよう国に求めること。

6 上記などの経営努力をさらに強めつつ、3回目の値下げについても近い将来実現できるよう検討すること。







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