「教育行政基本条例案」「府立学校条例案」の教育常任委員会での可決にあたってのコメント
日本共産党大阪府議会議員団
幹事長 くち原亮
2012年3月21日
本日の大阪府議会教育常任委員会で「教育行政基本条例案」「府立学校条例案」が大阪維新の会、公明党、自民党の賛成により可決された。
○ 日本共産党大阪府議団は、問題点の徹底究明のため、継続審査を求めたが否決され、条例案に対しては反対した。民主党も採決時には、わが党と同じ態度をとった。わが党府議団が継続審査を求めたのは、昨年の9月府議会では教育常任委員会で参考人招致を決定していたにもかかわらず、今議会では他党が「必要ない」とし、参考人招致は実現しなかったなど、課題や問題点に対する審議も 不十分だったためである。
知事が提案した条例案の方向は、教育をさらにゆがめ格差を拡大するものである。
○ 「教育行政基本条例案」は、教育目標の設定に知事が介入する重大な問題点を持っている。条例案では、教育振興基本計画を知事が教育委員会と協議し、協議がととのわなかった場合、知事の提案に教育委員会の意見を付して府議会に提出することになっており、教育目標の設定への知事の介入を認めている。
教育への政治介入については、最高裁判決でも、「できるだけ抑制的であることが要請」され、教育基本法で、「不当な支配に服することなく」と記されている。教育内容に時の権力者が介入することは到底認められない。
○ 「府立学校条例案」では、現在の学区を撤廃し、「3年連続定員割れ高校」を「再編整備」の対象とするとしているが、10年前に学区が撤廃された東京都では、全日制高校への進学率が92%台から89%台に低下し、「序列化」が顕著になり、通学費が払えないため行きたい高校に行けないなどの事態が生じている。また、高校の宣伝のために教員が労力を使い、普段の教育活動に支障が生じる事態にもなっている。
「学校選択の幅が広がる」という知事の主張は全く根拠がなく、現実には、行きたい学校に行けるのは、一部の子どもたちだけである。
「序列化」や「進路指導の困難性」などについて、まともに議論も検証もされていない。子どもたちの「学び場」「居場所」を奪うことにつながる府内1学区制は行うべきではない。
定員割れとなっている高校でも「学校がこんなに楽しいものだと初めて知った」と語る生徒や高校生活で大きく成長する生徒がいる。
「課題の多い困難な学校」ほど教員体制を手厚くし、少人数学級を実施するなど成長を促すための応援こそ強めるべきである。
ところが、大阪維新の会の府議は、113校ある全日制高校(工科や農芸など除く)を70校にせよと迫り、すでに保護者や学校現場で効果が検証されている少人数学級も「きめ細かな授業ができるというのは疑問」などと敵視する発言を行った。
「学区の撤廃」「定員割れ高校の再編整備」で「序列化」を強め、府立高校を減らし、「私学の無償化」が5年で打切られてしまえば、経済的に困難な子どもたちが通える学校がなくなってしまう。
○ いま必要なことは、憲法に基づき、教育の主人公である子どもたちを真ん中にしっかりとおいて、一人ひとりを大切にゆきとどいた教育を行うことである。
わが党府議団は、「教育行政基本条例案」「府立学校条例案」を許さない闘いに引き続き全力を尽くすとともに、少人数学級の拡充や正規教員を増やし、教員がしっかりと児童・生徒に向きあい授業準備もできるよう負担を軽減するなどの教育環境の整備にむけこれからも全力を尽くす決意である。
以 上
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