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原発ゼロ 暮らし優先/来年度予算/大阪府議団が要望
日本共産党大阪府議団は16日、「2012年度当初予算編成と施策についての重点要望」を橋下徹知事に提出しました。綛(かせ)山哲男副知事が応対しました。
要望は、東日本大震災をうけ、「いま人間の命・地域を大切にする政治へと、その根本的転換が求められている」と強調。府民生活や雇用、中小企業の経営が全国に比べても深刻ななかで、必要のない旧WTCビル(咲洲庁舎)を購入し、巨額の無駄遣いを行った橋下知事の責任が厳しく問われると指摘しています。
府民の暮らし防衛、子どものすこやかな成長の保障、中小企業振興、災害から府民を守ることを基本にした府政運営に転換すべきだと強調。▽期限を切った原発廃止と自然・再生エネルギーの利用拡大▽安心・安全のまちづくり、暮らし密着型公共事業の推進▽命と暮らし守り、府内産業振興、子育て支援と教育の充実−などの柱で、「原発ゼロ、自然・再生可能エネルギー推進都市」宣言を行うことを求めています。年10億円の太陽光発電への補助制度の創設、地
域防災計画の抜本的見直し、住宅や公共施設・学校耐震化の促進、石油タンク火災対策、千里救命救急センターへの補助金復活、水道料金を1立方メートル10円以上の値下げを企業団に働きかけるなど、51項目を要望しています。
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「しんぶん赤旗」2011年9月17日付より |
共産党府議団の「2012年度当初予算編成と施策についての重点要望」は以下の通りです。
大阪府知事 橋下 徹 様
2011年9月16日
日本共産党大阪府議会議員団
団長 宮原 威
2012年度当初予算編成と施策についての重点要望
はじめに
死者・行方不明者が2万人以上にのぼるなど膨大で深刻な被害をもたらした東日本大震災は、安全をなおざりにし、市町村合併や「自治体リストラ」を強行してきた日本の政治のあり方も問い直しました。今、人間の命・地域を大切にする政治へと、その根本的転換が求められています。
大阪府の地域防災計画は、南海・東南海地震についてはマグニチュード7.9〜8.6を想定してつくられていますが、東日本大震災は、南海・東南海地震が隣接するプレートと連動した地震になり、規模もマグニチュード9.0に達する可能性があることを示しています。東海・東南海・南海地震は、いつ発生してもおかしくない状況であり、地域防災計画の抜本的な改定が、早急に求められています。
府民生活や雇用、中小企業の経営をめぐる状況も深刻です。大阪の4〜6月の完全失業率は5.9%で、全国(4.7%)や近畿(5.2%)に比べ、依然として高い水準で推移し、大阪の賃金水準は、2005年を100とすると、今年5月は、実質79.9にまで低下しています。東日本大震災や急激な円高が中小企業の経営をいっそう圧迫しています。
全国の2倍以上の高い生活保護率(3.3%、2011年4月時点)が示すように、府民の中に生活苦が広がっています。
高すぎる国民健康保険料が払えずに、国民健康保険料加入世帯の1.8%、2万7484世帯が国保証を取り上げられ、必要な医療が受けられない事態になっているなど、命を守るべき国保が、暮らしと命を脅かしています。
これまで知事は、旧WTCビルを買い取り、咲洲庁舎として使うことにより、湾岸部の開発を促進しようとしてきましたが、現実は、咲洲庁舎付近の土地利用は進まず、咲洲庁舎から3割以上のテナントが撤退し、咲洲庁舎自身が東北地方太平洋沖地震により重大な損傷を受けました。湾岸部の開発構想は破綻しつつあるのに、カジノなどの統合リゾートが、依然構想されています。WTCビルの購入、耐震化の費用などは、もともと必要がなかった巨額の無駄遣いであり、その責任が厳しく問われます。
知事がこれまですすめてきた財政再建策も、府民施策の縮小によるものであり、大阪の経済にはプラスになっておらず、暮らし応援による内需拡大に逆行するものとなっています。
来年度の予算編成に当たっては、これらの現実をしっかり見つめ、府政の運営は、府民のくらし防衛、中小企業振興、子どもの健やかな成長の保障、災害から府民を守ることを基本にした運営に転換することを求めるとともに、その立場から、国の施策運営についても府として転換を求めるよう要望します。
要望を積極的に受けとめ、実施に移されることを求めます。
1.期限を切った原子力発電所の廃止と太陽光など自然・再生可能エネルギー利用の拡大
(1)大阪府として「原発ゼロ、自然・再生可能エネルギー推進都市」宣言を行う。
(2)年10億円をめどに、関西で一番遅れている太陽光発電への補助制度を府としてつくる。
(3)この夏の経験は原子力発電所の廃止が早期に可能であることを示した。国と関西電力に対して、原子力発電所の期限を定めた廃止と自然・再生可能エネルギーの普及を強く求める。福井県内の原子力発電所の早期停止を求めるとともに、それまでの間、重大事故に備え、放射能から府民を守る計画を立てる。
(4)放射線測定の機器と体制を整備し、放射能汚染が疑われる物品の放射線量調査を確実に行う。府内に一つもない内部被曝測定機器を確保し、内部被曝のおそれのある避難者の健康管理を行う。
(5)自然エネルギー利用の拡大や節電を進める府民や企業の取り組みを積極的に応援する。
2.災害から府民の命と財産を守るために 〜安心・安全のまちづくり、暮らし密着型公共事業の推進で仕事興しを〜
(1)災害から府民の命と財産を守るのは行政の第一の使命である。東日本大震災の教訓と最新の知見を踏まえ、地域防災計画の抜本的見直しを急ぐとともに、具体事業を順次実施する。
(2)津波対策
イ.大阪を襲う津波の高さの想定を従来の2倍に引き上げ、防潮堤・水門の計画を全面的に見直し、改修を計画的に進める。
ロ.想定外の津波や高潮に備えるため、ゼロメートル地帯では電柱等に海抜を表示し、避難のための広報設備をもうけ、避難施設を確保する。
(3)住宅の耐震化
イ.予算を20倍にし、年1000戸の改修目標を当面2万戸に引き上げる。
ロ.2015年度に住宅耐震化率90%を達成できるよう、耐震改修助成は、補助率を引き上げ、住宅リフォーム助成を創設して合併施工をすすめるなど、抜本的改善を図る。
ハ.1981年以降に建設された住宅についても、耐震診断助成を実施する。
ニ.住宅耐震化率を100%達成する目標を決める。
(4)公共施設・学校の耐震化
イ.災害対策上重要な施設は2014年度までに耐震化を完了する。その他の施設も耐震化を急ぐ。
ロ.学校の耐震化も2014年度までに完了する。遅れている市町村を財政的・技術的に支援する。
(5)長周期地震動の高層ビル等、建築物に及ぼす影響についての研究をすすめる。
(6)液状化・耐震対策
イ.精度の高い液状化予測図を作成し、液状化対策を抜本的に強化する。
ロ.防潮堤・水門・河川護岸・橋梁・港湾などの液状化・耐震対策をすすめる。
ハ.液状化による住宅への被害対策に、耐震改修助成に準じた助成を行う。
(7)石油タンク火災対策
イ.これまでの石油タンク火災の原因を全て把握し、石油タンクの安全点検を行う。
ロ.石油タンクは、津波に襲われないよう防潮堤を設置するか、高台に移設する。
ハ.石油タンクの耐震改修を行う。
ニ.石油タンク内の液体が、長周期地震動によるスラッシングであふれないよう、施設の改善と貯蔵量の適正化を行う。
(8)府庁本館の耐震化を急いですすめるとともに、咲洲庁舎からの全部局引き揚げの検討をはじめ、災害に強い効率的な府庁をつくる。南港地区全体の安全なまちづくりを大阪市に強く求める。
(9)水害・土砂災害対策
イ.安心川づくり事業や土砂災害対策は、予算を増やし積極的に推進する。
ロ.全ての河川で10年確率の大雨(50mm/時)対策を速やかに達成するとともに、10年確率を超える大雨対策を緊急性の高いところから市町村や住民と共同してすすめる。
3.命と暮らしを守り、府内産業の振興、子育て支援と教育の充実を
(1)特別養護老人ホームを増やし、待機者の解消をはかる。
(2)高齢者の住宅改造助成制度を復活・拡充し、介護予防を拡大する。
(3)法定外繰り入れを90年代半ばの水準まで戻すなど、市町村国保への支援を強化するとともに国補助の拡大を求める。国保料金を抑制し、国保証取り上げを止めさせる。
(4)府の救命救急センターについては府の補助を継続し、機能強化を図る。千里救命救急センターへの補助金を復活させる。
(5)10年間で1万戸の府営住宅戸数減計画は中止する。府営住宅応募倍率が毎回20倍を超えている地域では20倍以下に下がるよう、府営住宅の建設戸数を増やす。
(6)阪神高速道路料金の対距離制への移行に当たっては、ETCを搭載していない自動車に大幅な値上げにならないよう、料金の上限を下げる。
(7)水道料金1立方b10円以上の値下げを企業団に働きかける。
(8)円高不況を乗り越えるために、内需拡大の経済対策をすすめる。地元業者に自然エネルギー利用拡大等の仕事を積極的に発注するなど、地産地消のエネルギー政策を進める。自然エネルギーへの転換を図るための製品開発等への支援を行う。
(9)セーフティネット資金融資は、預託金を復活し、金利を引き下げる。
(10)国に最低賃金の引き上げと、派遣労働の禁止を求める。
(11)公契約条例を制定し、官製ワーキングプアをなくす。
(12)農林水産業を振興し、地球温暖化防止で役割を果たすとともに、食糧自給率の府の計画を達成する。市街化区域内の精算緑地の指定を積極的に進める。
(13)就職を希望するの高卒予定者の就業確保を推進するなど、若者の雇用確保に努める。正規雇用拡大を補助金支出企業に求める。
(14)児童虐待に対応する職員と体制・施設をさらに充実する。
(15)安心子ども基金の来年度以降の延長を国に求め、保育所を増やし、待機児童を解消する。
(16)35人学級を小学校3年、中学校1年に拡大し、どの子も伸びる行き届いた教育をすすめる。
(17)定数内講師の正教員化をすすめる。
(18)全ての市町村でよりよい中学校給食が実施されるよう、補助を初期投資の3分の2に改善する。
(19)子どもたちを過度の競争に駆り立てる府立高校統廃合や、小中学校学力テスト結果の学校別公表はしない。
(20)知的障害児を持つ生徒増加に対応できるよう、支援学校のさらなる増設計画を策定し、順次具体化をはかる。
(21)子どもの医療費助成制度(通院)対象年齢を就学前まで拡大する。
(22)「子ども・子育て新システム」の再検討を国に求める。
4.府政運営のあり方について
(1)大阪のまちづくりは、安全・住民本位を基本にすすめる。
なにわ筋線、関空リニア、淀川左岸線延伸部など、不要で採算もとれない新高速交通インフラの整備や、需要と住民の声を無視した大手前や湾岸部の再開発は止める。
(2)府政運営に当たっては、府民のために職員の英知と熱意が生かされ、職員集団の力が発揮されるよう民主的に行う。職員の一定割合を機械的に最下位に格付けする評価制度は行わない。
(3)「三位一体改革」で国が大阪から奪った地方財源(約1500〜1800億円)を元に戻すよう求める。地方法人特別税は廃止し、法人事業税の一部として復元する。
(4)府民福祉や大阪経済振興に対する大阪府の責任を後退させる「大阪都」や「関西州」に向けた取り組みはやめる。
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