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大阪府財政構造改革プラン(素案)/撤回・再検討を/開発野放し生活守れない

 大阪府の「財政構造改革プラン(素案)」(以下、素案)について日本共産党大阪府議団(宮原威団長)は1日、撤回・再検討を求めるとともに、府民福祉充実と大阪経済振興をはかり、国に根本的対策を求めながら府民合意で財政再建にとくむ提案を橋下徹知事に提出しました。

 見解と提案では、「素案は、全国的にもひどい府民の『負因と格菱』の拡大、中小企業の深刻な現状の改善にとりくむ姿勢が全くみえないどころか、暮らしと営業、地域経済悪化を促進する」と指摘。府の財政悪化の原因は、借金にたよった開発優先の国からの押しつけと、それにのった府政運営の負の通産にあり、これらにメスをいれねばならないにもかかわらず、関西空港2期工事など莫大(ばくだい)な負の遺産をもたらしている事業は是正されていないと指摘しています。
 正社員を増やす雇用改善や社会保障充実、三位一体改革などの財源削減の見直しなどを国に求めるよう提案。当面の府政運営の覚府議団の基本的立場として、▽財政危機のもとでも福祉と教育の充実や中小企業振興などに最善を尽くす▽大型開発は根本的に見直す−などを示し、▽私学経常費助成の復元と高校授業料支援補助金の対象拡大▽中小企業向け制度融資としての府の預託金は廃止しない▽府営住宅の管理戸数の維持・拡大−など、主な事業について提案しています。

「しんぶん赤旗」2010年8月13日付より


党府議団が知事に提出した要望書「府『財政構造改革プラン(素案)』は撤回・再検討を/府民福祉充実と大阪経済振興をはかり、国に根本的対策を求めながら、府民合意で財政再建のとりくみを」の全文は次の通りです。

2010年8月11日

大阪府知事 橋下 徹 様

日本共産党大阪府議会議員団
団長 宮原 威

府「財政構造改革プラン(素案)」は撤回・再検討を
府民福祉充実と大阪経済振興をはかり、国に根本的対策を求めながら、府民合意で財政再建のとりくみを



1 「財政構造改革プラン(素案)」の撤回・再検討を求める理由

(1)予算要望でものべた、全国的にもひどい府民の「貧困と格差」の拡大、中小企業の深刻な現状の改善にとりくむ姿勢が全くみえないどころか、くらしと営業、地域経済悪化を促進するものとなっている。

(2)府の財政悪化の原因は、借金にたよった開発優先の国からの押しつけと、それにのった府政運営の負の遺産にある。また、ナショナルミニマムに関わる福祉・教育の国補助金制度の廃止(一般財源化など)と、三位一体改革による500億円をこす府財政へのマイナスも重大である。こうした原因にメスを入れることこそが求められている。

  @わが党がかねてから指摘してきたように、1990年代以降に国が府に押しつけ、府も独自にすすめた開発優先の負の遺産は莫大なものである。今も是正されていないこれらの事業の是正こそが急務となっている。


    <表1> 関空2期工事への府の負担
     出資金 貸付金
起債額 503.51億円 498.39億円
利息を含めた合計 595.51億円 598.51億円
今後の負担見込み 67.29億円 90.60億円


  A教職員、保健師の人件費などが一般財源化され、府の負担は増大した。また、三位一体改革などで府財源は削減された。この復元が重要である。


    <表2> 税収、建設事業費、国支出金+普通交付税の推移(大阪府「財政ノート」より)
  90年度 92〜98年度平均
(合計)
平均の差
(合計)
実質税収
(収入)
1兆3510億円 1兆0576億円
(7兆4037億円)
-2933億円
(-2兆0533億円)
建設事業費
(支出)
4327億円 5959億円
(4兆1715億円)
+1632億円
(+1兆1424億円)
@国庫支出金
(収入)
2951億円 4081億円
(2兆8566億円)
+1130億円
(+7908億円)
A普通交付税
(収入)
0 510億円
(3572億円)
+510億円
(+3572億円)
@+A
(国からの収入)
2951億円 4590億円
(3兆2138億円)
+1639億円
(+1兆1480億円)
府債発行
(当年度収入だが、その後は借金。主に10年ごと元金返済で、30年完済。利払いはその年度から)
1007億円 4020億円
(2兆8142億円)
+2913億円
(2兆0394億円)
府債残高     91年度末=1兆3416億円
98年度末=3兆5878億円
+2兆2462億円
(なお、「財政ノート」は億円以下は切り捨てになっており、端数が合わない場合がある)


(3)大阪府の広域的役割(福祉充実と経済振興)を縮小・放棄するものである。市町村に身近なサービスの責任を押しつけることはやめる。公的責任を放棄し民間大企業などにゆだね、府民サービスの低下につながる市場化テストなどは見直す。

(4)これまでの府の財政再建計画は、以上の立場がないため、財政再建策としても繰り返し失敗してきた。その総括と反省がない。


2 国に経済政策、地方自治政策の根本的転換を求めることが必要

(1)正社員をふやす雇用改善や社会保障充実など、内需拡大で日本経済を再生することを国に強く求める。

(2)「地域主権」の名目で、これ以上住民福祉と地方税財源を縮小しない。財源削減(三位一体「改革」での約500億円、税源偏在是正の260億円)の見直しと、資本金10億円以上の大企業の法人税率引き上げや年間所得1億円以上の高額所得者への増税など、財政危機打開の基本的解決を国に求める。


    <表3> 国の三位一体「改革」などによる大阪府の財政削減
  2003年度 2007年度
実質税収 8333億円 1兆1590億円
(うち税源移譲1280億円)
+3257億円
地方交付税等 4525億円 2439億円 -2086億円
1兆2858億円 1兆4029億円 +1171億円
●財源は1171億円増えたが、税源移譲にともなう大阪府の仕事は1650億円(2006年度末)増えており、府の負担は差し引き479億円増加している。そのうえ、2009年度からは法人事業税の偏在の「是正」の名目による減収がある(2009年度235億円)。



3 当面の府政運営についての日本共産党の基本的立場

(1)財政危機のもとでも、福祉と教育の充実や中小企業振興などに最善を尽くす。福祉や教育分野などでは削減された施策の段階的回復をはかる。

(2)大型開発は、現在進行中のもの(関空2期事業、阪神高速大和川線、箕面森町、国際文化公園都市など)も含め、事業費・必要性・緊急性・環境への配慮などの面から根本的に見直す。
   大企業に、社会的責任を果たすとともに地域経済振興のために力を合わせることを求める。

(3)文化施策の削減などは、現時点でその結果を検証し復元・充実を段階的にすすめる。

(4)財政再建策の策定にあたっては、原因にメスを入れ、情報を公開し府民的討論をおこない、府民生活の向上等を基本にすすめる。


4 主な事業等について

(1)「主要分析事業」にかかわって

  @市町村振興補助金については、市町村の自主性・主体性を損なわないようにする。

  A私学経常費助成については復元をはかるとともに、高校授業料支援補助金の対象を拡大する。

  B府立高校については、十分な調査・検証を行わず、また父母・府民、教育関係者の意見を聞かずに、拙速な再編統廃合は行わない。

  C大阪府育英会による奨学金制度、とくに大学等入学資金貸付については、十分な調査・検証を行うとともに、国制度の改善を待たず改悪しない。

  D福祉医療費助成制度については、国に制度化をはかるよう求めるとともに、乳幼児医療については、小学校卒業までの対象年齢に引き上げ、所得制限の撤廃など、市町村とともに計画的に改善をすすめる。

  E中小企業向け制度融資については、金利上昇を招くとともに、大阪経済と地域社会を下支えする多くの中小・零細業者を切り捨てる、大阪府による預託廃止は行わない。

  F小規模事業支援事業・経営力向上緊急支援事業については、十分な調査・検証を行うとともに、商工会議所・商工会など関係者との協議を尽くす。

  G府営住宅のあり方については、公営住宅法の趣旨を踏まえ、管理戸数の維持・拡大をはかる。

  H警察職員待機宿舎の整備を計画的にすすめ、安全・安心の確保をはかる。

  I道路・河川・橋梁など都市基盤については、災害に強いまちづくりを重視し、安全・安心の確保を優先する。

(2)個別点検事業、歳入確保策、出資法人や公の施設等については、十分な調査・検証を行い、景気回復をはじめ府民福祉の増進に沿った対応を行う。

(3)効率的な職員配置など行政コストの縮減をはかるとともに、知事をはじめ幹部職員の給与削減を検討する。職員の原則正規化と非正規職員の待遇改善をすすめる。
   府議会議員の報酬の削減、政調費の使用内容のいっそうの透明化をすすめる。

以 上


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