2009年2月定例議会 宮原議員の一般質問

2009.3.6

 日本共産党の宮原たけしです。知事に質問します。

 まず、知事は、「セーフティーネットを本当に守る気があるのか」についてです。

 知事は、府議会の総意は尊重すると言ってきました。福祉4医療は、府議会だけでなく医師会や福祉関係など31団体から100万筆をこえる署名が寄せられ、障害者関係19団体、市町村長会からも、現行制度維持が求められました。文字どおり、民意・総意ではありませんか。

 ところで1回300円の負担増の大変さをあなたはわかりますか。
 さらに新年度には、障害者団体連合会、身体、視聴覚、精神障害者など、7団体へのわづか1千万円の補助金をゼロにしました。お互いを支え合う府的団体の活動は、全部自前でやりなさいというのですか。セーフティーネットのごく一部ではありませんか。「セーフティーネットは守る」という言葉は、その場しのぎではありませんか。答弁を求めます。

 次に国際児童文学館についてです。

 知事は「70万点の図書を子どもに見せたい」と言います。しかし、2万5千点以外は、将来にわたって子どもと大人に役立つ貴重書です。その認識はありますか。

 また、中央図書館の子ども資料室には12万点、本はあります。

 貴重書でも、本なびキッズなどの貸し出し以外の方法で、小学生でもアクセスできる。「こどもに読ませるにはどういう本が良いか」という学校の先生や子ども文庫の人たち、市民から問い合わせがきたがどういう本か」「1年間で発行された本の内容を知りたい」という図書館の問い合わせなど、大人と子どもの読書センターとしての役割を果たしています。今でも、70万点は、全ての子どもに役立っています。現地で存続させ、70万点を子どもに役立たせることは可能だと思いますか。どうですか。

 さらにグリム原作の本など、児童文学の宝が全国で唯一この大阪にある。児童文学の専門スタッフなしに子どもの読書活動支援はできない。例えば毎年4000冊の児童書を全部読んでまとめ、それが全国に役立っている。児童文学のスタッフのいない図書館では後退せざるをえない。スタッフ、読書センター、資料センターは一体ですが、どうですか。

 現地存続で児文館の値打ちをどう発信するか、わが党以外の府会議員からも貴重な意見が過去にはあった。全会一致の請願もある。児文館、図書館、教育関係者とよく話し合うべきです。どうですか。

 次にWTCへの府庁移転について質問します。

 利便性について

 知事は「十数分、時間が増える」が、大都市では「贅沢な意見」とおっしゃいました。しかし、往復では、30分をこします。府庁に来る40万人以上にとっては少ない時間ではありません。鉄道では、大阪駅、なんばなどからでは、往復で平均260円高くなります。年間の府民負担増は1億円以上増えます。試算しましたか。答弁してください。

 1円でも税金を無駄に使わないがモットーの知事が、府民負担は、そんなに無神経なのですか。

 利便性についてもう一つ、わが党の指摘で訂正されましたが、関空からはWTCの方が近いという誤った記述をしていたのは意図的なものではないのですか。

 単なる間違いと言いますが、知事はマスコミも入ったわが党との意見交換会で、「関空からWTCが近いという一点だけで、WTCの方が現府庁より利便性がすぐれている」と声高に言いました。その唯一の根拠が崩れた今でも、知事は大したことはないととおっしゃるのですか。

 上町台地、丘陵の歴史的価値について

 ここは約35万年前から丘陵でした。難波の宮では、外国の使節たちと歓談し、河内湖をながめていたと想像される建物も見つかりました。四天王寺は、仏教伝来にとって重要です。現大阪城は、石山本願寺を入れると4回目の建物です。直木さんなど作家の活動、町屋の風情、それについて知事はどう思いますか。また、世界遺産に登録する運動をやる気はありませんか。さらに、こうした文化的価値と、現庁舎をともに活用して、この一帯を一大文化・観光ゾーンにすることも可能です。宮崎県は庁舎を移転しない道を選び、たくさんの人が訪れる観光スポットにしました。現庁舎に残る方が、可能性を感じませんか。

 防災

 東海地震はいつおこってもおかしくない、30年〜40年以内に地震がおこる確率は東南海は60%から70%、南海は50%前後というのが、国の2007年の推測。府庁は府民の命を守る拠点だという認識はありますか。

 WTCビルは、専門的な調査の結果、18.5億円で補強工事を行うから安全と知事はおっしゃる。しかし最新の建築基準法は第3者による審査を義務づけている。設計者でない第3者に検査してもらう気はないか。

 地盤改良でも沈下はおきる。杭をうってからのWTC敷地と、その周辺の地盤沈下は確認しているか。

 阪神淡路でも一部を除き、液状化してないといわれた。しかし、南海・東南海など海溝型地震はその何十倍のエネルギー、しかも長い間ゆれ、くりかえし地盤も建物も打撃を受ける。阪神淡路の本震は、 秒、海溝型のゆれは 何秒位と認識していますか。

 財政シミュレーション について
 
 第3は財政シミュレーションです。WTCの買収の時には、50億円を超す基金からの活用で計算し、耐震補強案では、全額起債をするとして、利息が計算されていました。庁舎の基金があるのに、WTCは53億活用、現庁舎は全額借金、なぜこんな初歩的な過ちをしたのですか。私の問い合わせに、現庁舎の起債利息は8億円ではなく、約3億円と訂正されたのは先週、各党の代表質問の前でした。わが党に本会議で指摘されるまで訂正しなかったのは、府議会各会派と府民に不誠実ではありませんか。

 納得できない。なぜ知っていて、府議会と府民に報告しなかったのか。事実を公表しなかった政治責任を問う。

 200億円安いとおっしゃった。しかし、その前提の1u10万円下がるだけでも、両案差し引き24億円下がる。高層ビルラッシュで空き部屋率はバブル時を上回りつつある。不況が一定期間続くことも含め、いくらで売れるか見当すらつかない。

 文化財の発掘に29億円はかかると言う数字も先週わかっていたはずなのに、わが党の質問にはじめて答えた。なぜ初めから府議会に出さなかったのですか。各々、答弁を求めます。

 もう一つ、200億円安い理由は、民間ビル賃貸料は、WTCビル4年で26億円、耐震補強案は34年で218億円というもの。職員数は、平成19年6月から20年6月では193人減っている。平成20年から53年の34年間を計算するのに、なぜ、平成20年の数字を使わないのですか。193人以下の人が入っている賃借ビルは5つもある。その1つでも約18億円違う。

 さらに、新年度で250人の一般事務職のマイナスが予算案にでています。新年度、本庁と周辺の着席人員は何人減りますか。また、大阪府は、平成20年から23年にかけては800人以上の削減計画を決めています。平成23年には、19年より、少なくとも600人をこす本庁周辺の職員減がでるのではありませんか。

 その場合、5つの民間ビル、約570人、賃料で年間2億7千万円、30年間では、80億円以上違う。10年もすれば、民間ビルはいらないか、せいぜい1カ所で足りる。民間ビルの賃借料の計算はやり直さないと、府議会と府民をだますことになる。民間ビルの賃借料について、WTC26億、耐震補強218億円は全くの誤りです。2案の比較の出し直しを求めます。

 特別顧問の本間氏が所長を務める関西社会経済研究所の調査では、WTC移転賛成が7割だが、その理由は88%が安いから、と答えている。しかし、実際は、その根拠は全くない。知事が、でたらめな都合のいい情報だけだして、WTC移転案が安いという世論誘導はやめよ。