2009年2月定例議会での芹生議員の一般質問
2009年3月5日
日本共産党の芹生幸一です。知事に質問します。
市立松原病院の閉院問題と地域医療の再建についてお聞きいたします。
昨年11月28日、松原市長は市民にも職員にも知らせず議会に対しても説明せずに突然2009年3月31日閉院を記者発表しました。
市立松原病院は、100人を超える入院患者を抱え、約13万人の外来患者が利用している総合病院であり、松原市だけでなく隣接する大阪市東南地域や南河内地域の「住民の命と健康を守る砦」として大きな役割を果たしてきました。アレルギー疾患治療、緩和ケアなどの終末期医療、産婦人科の高齢出産や多胎児などリスクの高い出産の受け入れなど、公立病院ならではの医療、不採算医療、政策医療を担ってきました。
知事はこのような地域医療に大きく貢献してきた市立松原病院が閉院することについてどのように認識されているのか、また、松原市長が閉院を発表する前に府は市当局から閉院の意向を聞いていたとのことですが、どのような対応をしたのかお聞きします。
市は、閉院を決めた理由を病院の財政赤字が大きいこと、施設の老朽化、医師不足などをあげ、病院会計との連結決算で、このままいけば「早期健全化団体」、「財政再生団体」に転落する恐れがあるとしています。しかし、市の財政が病院事業会計との連結決算により破綻するほどのきびしい状態にあるのかといえばそうではありません。市の平成19年度決算に基づく健全化判断比率は、病院事業会計の資金不足比率は基準を超えていますが、市本体の指標は、「実質赤字比率」は非該当、「連結実質赤字比率」「実質公債費比率」「将来負担比率」、いずれの指標も財政健全化基準を大きく下回っているのです。松原市の財政上、病院をあわてて閉めなければならない理由は全くないと思うのですが知事の見解を問います。
また、施設の老朽化の問題は、市が実施した病院建物の耐震診断で、「倒壊、または崩壊する危険性がある」と判定されたのは北館と南館だけで、西館と北別館は問題ありません。しかも北館、南館とも耐力壁増設などの補強をすれば耐震基準の目標値を達成すると判定されています。耐震補強工事について具体的な検討を行わず、建て替えに100億円が必要としているのも根拠がありません。
さらに、医師確保に向けた努力も不十分であったことが情報開示により明らかになっています。
府は、いま私が指摘したような事項について事前に十分検証したのか、お答えください。
府として検証し、知事が公立病院の地域医療に果たしている役割を認識し、南河内地域での医療を維持し、充実させる立場に立つならば、松原市に拙速な閉院は避けるよう手を尽すべきではなかったのでしょうか。お答えください。
閉院に伴う病院再編計画が松原市から発表されました。ずいぶん段取りのいいことです。それによると、162床のうち、100床を松原徳洲会病院に移管し、そのうち16床を小児科とするものです。その結果、入院病床が62床も減ることになります。松原病院が担ってきた医療機能については松原徳洲会病院が継承するとしています。
そこでおうかがいします。近隣では松原病院でしかできなかったアレルギーを持つ子どもの予防注射や入院治療が必要な食物負荷テスト、低身長児の検査や入院を必要としたホルモン注射治療なども徳洲会病院が取り組むことになっているのですか?引き継がれないとなれば大変なことになります。
さらに、その他、松原病院が行ってきた医療機能は、市内あるいは周辺医療機関において提供してもらえるよう協力要請していくとしていますが、採算性の低い医療分野を果たして民間病院などが担えるのか疑問です。府として責任を持ってそのような医療機能を市内、周辺地域で確保できるのかお伺いします。
いま全国の公立病院の7〜8割、府内21病院の9割が赤字経営です。公立病院の経営悪化の原因は、国による診療報酬の引き下げ、自治体病院への地方交付税の大幅削減などです。国は、公立病院の経営悪化の根本原因はそのままにして、経営の効率化、採算性を最優先した公立病院改革ガイドラインを地方自治体に押し付け、府もガイドラインに追随し策定した指針にもとづき、診療科の統合、医師の集約化、病床の削減、さらには民間への譲渡、廃止まですすめようとしています。今回の閉院問題は、そうした中で起きたものであり,松原市だけの問題ではありません。国にガイドラインの撤回と医療費削減の中止や医師確保の抜本的な強化をもめるとともに、公立病院への補助金を復活する、せめて地方財政健全化法を理由に閉院等の検討を余儀なくされている自治体に必要な補助、あるいは無利子の貸付を行うことや本格的な医師確保に踏み出すべきです。
そもそも地方財政健全化法は、不採算医療を担っている公立病院会計と本体会計を連結させること自体が問題です。国に対し、地方財政健全化法の抜本的見直しを求めるべきです。それぞれ答弁を求めます。
雇用の確保について質問します。
景気悪化のもとで、大企業が競い合って大量の「派遣切り」「非正規切り」をすすめており、厚生労働省が集計するたびに雇い止めの人数が増え、3月までには全国で15万8千人とされ、また、40万人との推計や年末までに270万人が失業するという調査結果もあります。知事は雇用をめぐるこうした状況をどのように認識されていますか。
派遣労働が急増したことは、自然現象ではありません。財界の求めに応じて、1999年に派遣労働を原則自由化する法改悪を行い、さらに2004年に製造業にまで拡大する法改悪を行うなど、一連の労働法制の規制緩和の結果であることは否定できません。いま起こっている事態は政治の責任で引き起こされた「政治災害」であり、政治の責任で解決すべき問題であると考えます。知事にその認識はありますか、それぞれお答えください。
100年に一度と言われる未曾有の経済危機の中、府民の暮らし、雇用、中小企業の営業を守るために地方自治体もそのあり方が問われています。
いま重要なことは、これ以上の大量解雇による被害者を出さないことです。巨額の内部留保があり、雇用を維持する体力が十分ある大企業に雇用破壊をやめるよう求めるべきです。知事を先頭に大企業、とりわけ、府が補助金を支給して誘致した大企業に直接、雇用の維持・拡大を要請するよう求めます。お答えください。
いま、職を失った労働者の住居と生活、再就職の支援のために緊急の対策をとることは政治の重大な責任です。具体的にお聞きします。
一つには、住居、生活、雇用、健康などに対応する総合的な相談窓口を土・日祝日をふくめ開設し、周知を徹底することです。
そして、「緊急避難住宅」の確保です。昨年5月に開設されたOSAKAチャレンジネット事業には年末までに198人から相談がありましたが常用雇用となったのは5人、非常勤含めて十数人という実績です。多くは住居が特定しないためです。府営住宅のいっそうの活用や敷金補助、新たな簡易住宅の建設などを行うべきです。
また、失業による生活保護の相談が福祉事務所で急増しています。東京都千代田区で年越し派遣村の労働者など250人を超える方々が生活保護を申請・即決定されました。これは、生活保護法本来の役割です。しかし、府内の福祉事務所の対応は必ずしも十分ではありません。「働く能力のあるものは生活保護は受けられない」とか「住居がない者はうけられない」といった対応はやめ、生活保護法本来の運用を的確に行うよう、具体的でわかりやすい「通知」を出し、徹底をはかるべきです。
さらに、ネットカフェ難民や路上生活者の中には、健康被害もおきています。生活困窮者が負担なしに医療を受けられるように無料低額診療制度があり、府内に25ヶ所の医療機関がその指定を受けています。利用促進のために周知を図るとともに、指定医療機関を増やすよう求めます。
以上4点についてお答えください。
次に、府は、国の「ふるさと雇用再生特別交付金」「緊急雇用創出事業交付金」を有効に活用し、中小企業の仕事興し、小規模授産施設や介護施設等福祉関連での人材確保や人材育成、教員確保による教育環境の整備等での雇用創出を図るべきと考えます。また、府は、二つの交付金の使途についてその50%以上を「大阪クリーン・&グリーン作戦」に充てることや「将来ビジョン・大阪」実現に沿うよう市町村にも求めています。市町村の事業については特別の枠をはめず、提案を尊重し、柔軟に対応すべきではないでしょうか。
「地域雇用創出推進費」97.58億円の交付税については、どのような事業で新たな雇用を創出しようとしているのか。
以上4点についてお答えください。