黒田まさ子議員の一般質問(要旨)

 9日開会した12月定例府議会で、日本共産党の黒田まさ子議員が11日一般質問を行いました。大要を紹介します。

 日本共産党の黒田まさ子でございます。

 知事および教育長に順次質問します。

 自動車産業など輸出大企業が、派遣社員や期間工の大量解雇をすすめています。政府の調査でも解雇者は来年3月までに3万人を超え、重大な社会問題になっています。わが党は政府の強力な指導と監督によって非正規はじめ労働者の切捨てをやめさせるようきびしく求めています。

 大阪の今年7月から9月の失業率は5・7%と、全国ワースト2です。中小企業はともかく、大企業は減益といいながら、内部留保をため込むなど十分な体力があります。

 知事は、経済界に、雇用を守るよう要請されましたが、非正規労働者を景気の「調整弁」のように使うのではなく、正規雇用こそ増やすなど在阪の大企業に雇用の社会的責任を果たすよう強く求めるべきです。答弁を求めます。

 また、中小企業の金融対策について、次の3点を緊急に求めます。

 知事として、銀行に対し、貸し渋りなどを行わないよう強く要請すること、府の制度融資の審査を迅速化し、保証渋りを行わないこと、保証料率を大阪市並みに引き下げることです。それぞれ答弁を求めます。

 次に府政独自の問題です。

 第1は福祉4医療の後退は許されないということです。

 9月府議会では医師会など3師会、腎臓病患者協議会、難病連などから出された現行制度の継続を求める請願が全会一致で採択されました。さらに今議会には母子寡婦福祉連合会が6万7200人の心を請願に込めて提出されました。会員さんの手記を先日知事にお渡ししましたが、目を通されたでしょうか。

 これ以上の医療費の引き上げには耐えられないという、母親や障害者の願いの切実さを知事は受け止めるべきです。先日の決算委員会であなたは「市町村と研究会をしたのだから、現状維持はありえない」と答弁しています。しかし研究会でも現行制度維持の考えもあったことは承知のはずです。請願全会一致採択の重みを受け止め、現行制度存続の決断をすべきです。答弁を求めます。

 第2は、府営住宅の家賃についてです。 

 公営住宅法施行令の改定と府の家賃減免要綱の改定で、47%の世帯に家賃の値上げが及ぶ今回の措置は、入居者にとっては晴天の霹靂です。不況の影響をもろに受けるのは、低所得者のみなさんです。家賃の値上げは、これに追い討ちをかけます。減免を受けている低所得者が、家賃値上げに耐えられるでしょうか。 府は国に対し、施行令改定の撤回を申し入れると同時に、減免要綱の改定を撤回し、値上げを思いとどまるべきです。答弁を求めます。

 第3は、私学助成についてです。

 11月27日、大阪私立中学校高等学校連合会は来年度の授業料等の大幅引き上げを発表しました。高校では94校中50校で、最高16万円、平均2万6500円の初年度納付金の引きげです。多くの学校では在校生にも値上げがおよびます。

 値上げの理由として、殆どの学校が経常費助成の引き下げを挙げています。府の助成額は全国ワースト2、国の「標準額」を下回っています。国は標準額を補助金と地方交付税で保障していますが、それさえ下回るということは、教育の機会均等に対する知事の見識が問われます。

 11月に発表された全国私立学校教職員組合連合の調査では、経済的理由によって退学をした子どもが高校で103人、3カ月以上授業料を滞納している子どもは3200人、1校あたり12人余りもいることがわかりました。

 中退者の多くは生活保護世帯や非課税世帯、ひとり親家庭です。最近ではリストラなどで急に親の収入が減り、滞納者が多く出ています。

 私学助成の削減は撤回し、国標準額を確保するよう求めます。どうですか。

 さて、10月23日の高校生との意見交換会での知事の発言についてお聞きします。

 中学校時代のいじめや不登校の経験、公立高校の不合格、親のリストラ、母子家庭のことなど、つらく悲しい体験を乗り越えて、私学助成を削減しないよう訴える高校生に対し、知事は「なぜ公立に行かなかったのか」、「転校を考えなかったのか」「努力が足りない」など、子どもの心の傷に塩をすりこむような発言を繰り返しました。子どもへの思いやりのひとかけらもない発言だという反省はありますか。

 さらに、「高校で学ぶことは役に立たない」「高校は訓練の場」等の発言は、高校教育の重要性を否定するものです。

 また、「行政が責任を持つのは中学まで」「日本は自己責任の国、いやなら政治を変えよ。日本を出るしかない・・」これは知事の口にする言葉ではありません。
 以上3点、知事の認識を伺います。

 次に支援学校の過密過大解消について質問します。

 府教育委員会は、支援学校における知的障害児童生徒数は、10年後には1200人増加すると予想し、「教育力向上」プランの素案で、「支援学校の新設もふくめ、教育環境を整備する」と述べています。

 この支援学校の新設とは、小中高一貫の支援学校のことを指すのですか。たまがわ型の学校が新設されても、現状の支援学校の過密・過大の解消につながっていませんが、教育長から答弁を願います。

 ところで、来年度予算編成で支援学校新設整備基本計画策定費が、北河内、豊能・三島、泉北・泉南の3地域で要求されています。別に、たまがわタイプの高等支援学校を、支援学校との併設を基本として新たに整備するとあります。この意味は小中高一貫の支援学校と、たまがわタイプとを、つまり、2つの学校を同じ敷地に建てると解釈していいのでしょうか。

 私の地元枚方市は、人口40万人以上で支援学校がない全国唯一の市です。枚方の知的障害児は小中を寝屋川支援に、高等部は交野の肢体不自由児支援学校の「生活課程」に進学するという、イレギュラーな通学をしています。交野支援では身体に医学的な処置をしている子供さんと同じフロアーに、行動量の多い高校生が学ぶのですから、危険が伴います。

 また、過日、寝屋川支援学校の父母説明会で、「軽度の子どもさんはなるべく本校にこないで」と説明され、父母から不信を買いました。小中学生が急増しているからです。今年度、枚方から寝屋川・交野両支援学校に通う知的障害児は合わせて184人にのぼり、支援学校の適正規模の上限に迫っています。枚方市への支援学校の建設は待ったなしです。教育長の認識をお聞きします。

 次に府庁の移転問題です。

 わが党は、WTCへの移転には反対です。

 第1に、今まで指摘してきたように、府庁を訪れる40万人以上の府民の交通の利便性も、他の官公署との関係も現庁舎が優れています。地方自治法第4条が「住民の利用に最も便利であるように」と定めるのは、利便性はもとより、何より住民自治を重視するからです。府庁舎は、府民が気軽に訪れることができ、知事や議員に要望したりできる身近な場所でなければなりません。

 第2に災害対策です。あなたが大阪府の防災計画を見ることすらしていなかったという決算委員会の答弁に、私は唖然としました。その無責任さをわかっておられますか。もともと半径5キロ以内にすんでいる職員はWTC163人、現庁舎は879人と1対5です。しかも水害の最悪のケースでは、WTCでは10センチの余裕しかありません。地球温暖化による巨大台風の襲来や水位の上昇がいわれるなか、たった10センチは、無いに等しいものです。阪神大震災で大阪のポートタウンでも液状化が起こり、約2000世帯の住宅が地盤沈下による減免申請を行い、今も地盤沈下はコスモスクエア各所で見られます。

 第3に、ここ上町台地は難波の宮跡や大阪城、四天王寺まで大阪の庶民の暮らしと歴史・文化の足跡が刻まれています。上町台地を世界遺産にという動きもあります。

 第4に、WTCへの移転は、すでに破綻した民活型「呼び込み方式」の、開発の失敗の後始末をしにいくことになるということです。りんくうタウンの二の舞いになる恐れがあります。特に、大阪市と財界が進めた「テクノポート大阪」は、関空の建設に便乗して、大阪湾を埋め立て、三つの島をつくり、新たなもうけ口を生み出そうと狙ったものですが、オリンピックも北京に行き、咲州、舞州の未処分地が約30万平方bもあります。今年8月、平松大阪市長は、テクノポート事業を終焉させ、中長期的な計画の練り直しを宣言せざるを得ませんでした。これは、大阪市の街づくりの責任ですが、現に3万3千人が住んでいたポートタウンが2万5千人に減っていることを知事はご存知ですか。

 WTCに多額の債権を持っている銀行がその回収を、また大手不動産業者が大手前の一等地を狙っているとも言われています。

 さらに重大なことは、財界が大阪府と大阪市に淀川左岸線延伸部の建設促進を迫っています。財界幹部は、府でも市でも、どっちが来ても、ベイエリアが活性化するとあけすけです。

 大企業の利益追求の道具になるような府庁移転はやめるべきです。以上答弁をお願いします。

 最後に、「大阪ビジョン」についてです。この計画には2つの致命的な欠陥があります。第1は2000年からの現総合計画の到達点について、まったく検証がないこと、第2は現計画をつくった2000年以降に貧困と格差が広がった大阪の現状分析と、その打開の方向がまったく示されていないことです。撤回し、再検討すべきです。