小谷みすず議員の討論(大要)

 12月府議会開会日、9日の本会議で行った小谷みすず議員の討論(大要)を紹介します。

 日本共産党の小谷みすずでございます。

2007年度企業会計、及び一般会計決算について見解と態度を表明します。

 はじめに府民の置かれているくらしの実態です。

 決算年度と五年前を比較すると大阪府の非正規雇用は、14万4千人増加し38・7パーセントを占めています。非正規雇用の約八割が299万円以下の所得です。大阪の貧困は全国よりも深刻です。その上、国の相次ぐ医療・福祉の改悪、定率減税の廃止などの負担増です。年末を 控えさらに原材料の高騰や物価高、中小企業の困難、大企業による非正規雇用の雇い止めなど深刻さをましています。

 こうした中、第一に暮らしを守る問題です。まず、水道事業会計について意見を述べておきます。上水の水道事業では、決算年度企業債と琵琶湖割賦負担金の繰上げ償還で支払利息は87億円で事業収益は、47億円の黒字です。利息7%以上の企業債の繰上げ返済と琵琶湖、日吉ダム割賦負担金の繰り上げ返済により2010年には、決算年度より21億円利息負担分が減り、黒字要因がさらに増えます。水需要も、決算年度の1日平均給水量は、153万立方メートルで2010年度の予測176万立方メートルの差は年々ひろがっています。府も今後、水需要の見直しをするとしていますが、合わせて水道料金の値下げを実現するよう求めておきます。

 次に福祉四医療費助成制度です。医療費の総額は、02年度から年々下がっており決算年度07年は、府と市町村合わせて今までで最も低い377億円です。来年度、老人本体助成の経過措置が終わっても、すぐに医療費助成額が大きく伸びることは考えられません。 府が 助成費総額が増え続けているかのような報告書を発表しているのは納得できません。 9月議会では、「現行制度存続」の請願が全会一致で採択されており、知事は現行制度を堅持するよう求めておきます。

 府営住宅について、自民・公明政権は、07年12月に公営住宅法施行令を改定し、府もこれと連動して府営住宅家賃減免要綱改定を計画しています。 これらは、来年度から入居者の約半分に大幅な家賃値上げを押し付けるもので、絶対にやってはならないことです。

 第二は、教育と文化についてです。高校等への私学経常費助成が07年度、それまで上回っていた府単価が国標準額と同額になりました。さらに今年度の大幅削減が来春の学費大幅値上げに直結しています。府立高校授業料減免制度の改悪とともに激しい父母負担増の原因となり、公教育の保障さえ危ぶまれています。私学助成の削減撤回を 強く求めておきます。

 次に国際児童文学館です。決算年度でも「本の講座」では、年間約4000冊近い新刊児童書の特徴やストーリーなどをジャンル別にまとめ、図書館の司書や学校や保育・幼稚園などに紹介しておりこれは、前の年から始まっています。本ナビキッズは、家庭からでも 端末機を使って出会いたい児童書や絵本にたどり着くことができるようになっています。国際児童文学館の専門性の高い機能は、いまある宝の山をさらにどう発展させていくのかが問われているのであり現地存続は当然のことです。

 また、青少年会館は、決算年度、約46万人余りの利用で年々増え続け、青少年の健全育成に寄与してきました。知事は替りの会館は、いくらでもあると大阪全域から集合するのに利便性が悪い施設を挙げました。ブラスバンドなどの部活動の遠征では中学生の交通費負担が増えることは、個人負担でがまんせよといわれましたが実際、ユニフォーム代や交通費が払えないから部活動に参加できない子どもが増えています。青少年の健全育成の場をきちんと保障するよう求めます。

 第三に中小企業対策です。大阪経済の中心は製造業ものづくりです。決算年度の予算は、あまりに少ないのは問題ですが製造業をどう中心において大阪経済を発展させていくかについてやっと部品や材料の研究などが始まっていました。しかしその予算さえも今年度は、減少しています。まったく大阪経済の実態を軽視するものと指摘せざるを得ません。金融支援においても責任共有制度の導入で貸し渋りや貸しはがしのないよう、また金融危機の影響を中小企業が受けないよう更なる支援が必要です。

 第四は、府庁舎のWTC移転問題です。災害対策について、交通網がいつ停止し、緊急事態に府がどのような体制をとるかなどの防災対策について府の危機管理のトップである知事が見てもいなかったことをみずからが明らかにしました。りんくうタウンは、府財政から3581億円を投入し、銀行の支払利息1962億円も負担しながら失敗、大阪市の咲島の開発も同じベイエリア開発の失敗です。府が府庁舎を移転するためにWTCを取得するなどさらにりんくうタウンの二の舞になる恐れがあります。WTCの移転案は、不適切です。直ちに撤回することを求めます。
最後に決算年度では事業ごとに市町村に交付していた補助金は、来年度46億円削減し提案型といって約26億円の交付金化にすることについては、市長会、町村会長からも見直し要望が提出されました。

 府民サービスの低下を招かないよう補助制度は、堅持し学校警備員などは、政令市にも拡充するよう求めておきます。

 なお、94年度から97年度の四年間に発行した企業債の多くの借り換えを04年度から決算年度まで全額借り換えていた、いわゆる「赤字隠し」問題について指摘しておきます。 第一は、 全額借り換えるという借金の先伸ばしをしながら関空二期や阪神高速大和川線など大型開発の借金はやめなかった事、第二は、 全額借り換えをした場合の将来の負担がどうなるか十分な説明がありませんでした。 わが党は、こうした問題点を指摘するとともに府政運営全体に誤りがあったと考えるものです。

 以上の立場から、企業会計決算報告議案は、 第10号、11号、報告第26号〜29号は反対、残余は、賛成です。一般会計議案第11号13号から17号は、反対、残余の議案は、賛成の意を表明して決算審査の討論とします。