堀田議員の一般質問(大要)
3月10日の本会議での堀田文一議員の一般質問の大要を紹介します。
日本共産党の堀田文一です。知事と商工労働部長に質問します。
水と緑の健康都市開発について
まず750億円の税金投入で大問題になっている水と緑の健康都市開発について質問します。
知事は、昨年2月15日、あるテレビ局が組んだ「血税750億円、検証・問題ニュータウン」というニュース特集にゲストコメンテーターとして出演し、「簡単なのはね。役人連中に強制的に土地を買わしたらいいんですよ。住まわせたらいいんですよ。高値で売ってね」と発言されていました。私はデタラメな開発の責任は、計画を決定・推進した知事と、承認した議会与党にあると考えますので、職員の責任を真っ先に上げる橋下弁護士の考え方には同意できませんが、大阪府がすすめてきた自然と財政を破壊する開発への怒りは、私達と共通するものがあると感じています。
実際、この開発は、バブル経済が崩壊した後の1991年に企業局が取り組むことになったものです。事業計画の決定は97年、着工は98年。すでに地価が大きく下落し、山の開発は需要もないし、採算もとれないことは、誰の目にも明らかであり、日本共産党は最初から反対していました。
しかし、当初の開発事業計画は、事業費は2011億円かかるが、収入も2011億円あるので、税金は一円も投入しなくてもいいという嘘のような計画でした。その2011億円の収入の中には、まず保留地処分収入1246億円。これは保留地86fが近隣の当時の公示価格より1uあたりで2千円高い、14万5千円で売れると計算したもので、地価は下がらないという非常識な前提をおいていました。地価が1uあたり千円下がるだけでも、86fで収入が8億6千万円減り、1万円下がると86億円の大穴が空くという恐ろしい計画でした。ちなみに、昨年の公示価格は半分以下の6万8500円に下っています。もう一つ2011億円の収入には、府自身の造成宅地売却収入514億円も盛り込まれていました。これは32fの宅地が最初は保留地と同じ145千円で、翌年から2%ずつ地価が上昇し、最終的には18万円を超える価格で売れるという架空のストーリーで計算したものでした。
このようなデタラメな計画が、すぐに行き詰まるのは、当然の成り行きです。着工後2年も経たないうちに企業局は計画の再検討を開始し、2年2ヶ月後には工事を中断しています。ところが当時の太田知事は、このデタラメな開発を計画し、推進してきた人たちの責任を一切問うことなく、発生する赤字750億円をすべて税金で補填することに切り替え、開発を続行しました。こんな無責任な税金投入が許されないのは当然のことです。
知事が先日、改革プロジェクトチームを設置し、この水緑を含む3つの開発事業が赤字をもたらしたメカニズムの検証を指示されています。私は、責任の所在が徹底究明されることを願うものですが、現時点で知事がこの開発の責任問題をどう認識されているか、見解をお聞かせ下さい。
同時に、検証だけですむ問題ではありません。投入予定の税金750億円を大幅に圧縮することも求められています。
事業費総額985億円のうち今年度末までの執行見込みは467億円で、残り518億円は、まだ未執行です。大幅圧縮の具体的なプランの作成には、突っ込んだ検討が必要と思われますが、すぐにでも出来ることは、まだ発注していない219億円の工事計画を廃止し、ムダな開発に対する知事の姿勢を示すことです。この未発注工事の実施によって得られる分譲地売却収入は、219億円の半分にも達しないと思われます。計画を廃止すれば、税金投入を予定していた750億円は100億円以上、一気に減らすことができます。
知事は、直ちに水と緑の健康都市開発の未発注工事の廃止を決定すべきではないでしょうか。答弁を求めます。
同和対策の完全終結について
次に、同和対策の完全終結について質問します。
知事は昨年十二月、週刊誌のインタビューに答えて、「僕らの世代は同和対策をすることがかえって、差別を助長すると考えています。したがって、同和対策の予算は限りなくゼロにすべきです」と語られています。全く同感です。税金を使って差別を助長するようなことは、やってはなりません。
ところで、今日における同和対策の本質は、特定の民間運動団体である部落解放同盟、いわゆる解同に行政が税金を使って支援を続けていることです。その解同は、これまで膨大な同和対策事業を喰い物にし、利権・特権を得てきました。それが一昨年来、解同幹部が相次いで逮捕されてきた一連の事件の原因です。
同和対策事業は、2002年3月の同和対策をすすめてきた特別法の期限切れにより廃止されたはずですが、解同への支援は、全く以前と同様、続いています。例えば、解同と一体というべき財団法人大阪府人権協会、社会福祉法人大阪府総合福祉協会、社団法人おおさか人材雇用開発センター、社団法人部落解放・人権研究所の4団体への補助金は来年度の暫定予算でも1億1485万円も計上されています。府が浪速区内に所有する延べ床面積6321uの二つの建物の人権協会への無償貸与も、相変わらず続いています。解同などが主催する部落解放・人権夏期講座、部落解放研究全国集会、部落解放・人権大学講座などの集会に派遣された府職員の数も、本年度は75名と、相変わらず大量動員が続いています。
これらの同和対策事業は、特定の運動団体を応援し、行政を歪め、差別を助長するだけで、ただちに止めるべきであり、暫定予算からも外すべきです。答弁を求めます。
同和奨学金の返済免除問題
同和奨学金の返済免除問題についても質問します。
京都では、市が同和奨学金の返済を肩代わりしていたことを違法とし、当時の市長に返済を命じる判決が、相次いでいます。
大阪の高校・大学の同和奨学金も、申請すれば全員が返還免除を受けられるという、特別扱いが今でも続いています。昨年18年度は、奨学金の返還免除は2億6500万円も決定されていますが、返済はその0・7%186万円にしか過ぎません。同和の特別扱いそのものです。
知事は、このような特別扱いも直ちに廃止することを宣言すべきではないでしょうか。答弁を求めます。
最後に、地上デジタル波の電波障害対策について質問します。
2011年7月24日以降、テレビ放送の地上波はアナログ波が停止され、デジタル波だけになります。それに伴って、様々な問題が発生し、大量のテレビ難民が生まれるといわれています。
まず第1に懸念されることは、地上デジタル波に対応するテレビやチューナー、アンテナなどを用意できない人がいることです。テレビの買い換えとアンテナの付け替えには、少なくとも10万円前後が必要であり、テレビを買い換えずにチューナーの取り付けとアンテナの付け替えですましても数万円は必要です。格差と貧困が拡大している今日、これらの費用が負担できず、テレビが見られなくなる人が生まれる心配があります。
地上デジタル派の受信障害対策
第2に、地上デジタル波における受信障害対策の問題です。
デジタル波はアナログ波に比べて受信障害が起こりにくく、これまでの受信障害対策は、大半が不要になると説明されていますが、受信障害が残るケースもあります。アナログ波の受信障害対策施設が、デジタル波対応に切り替えて受信障害対策を続けるかどうかが、今、大問題になっています。
デジタル波を推進してきた総務省は、受信障害が残れば、原因者が引き続き対策を継続することを求めていますが、対策施設をデジタル波対応に切り替える費用を誰が負担するのかという問題は残っています。
国土交通省は、高架化や高速道路による受信障害を解決するため実施した対策は、実施した時点で責任を果たしており、地上デジタル波という後発事象に対応する責任はないという見解です。この見解では、きれいな画像が見られるはずの地上デジタル波の下で、テレビそのものが見えないという、極めて不合理な事態が発生します。
そこで、地上デジタル波の普及啓発をすすめてきた商工労働部に、これらの問題について、どのような対策を検討されているのか、お尋ねします。
(2008年3月10日)