開港から10年

検証・関西空港

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関連事業もことごとく破たん

福祉・教育削減でツケ

府民の負担さらに増やす

  大阪府は1日、行財政計画改定素案を発表しました。府民向け施策の切り捨てを徹底させ、府民負担はさらに増やす内容です。具体的には、今でも全国で最も高い府立高校授業料を再値上げし授業料減免は減らすこと、私立高校等の授業料減免補助金を減らすこと、府営住宅の家賃引き上げなどが挙げられています。 
 「財政再建」を理由にしていますが、府財政を危機に追い込んだ関空など大型開発はいっそうの推進を宣言しています。

10周年の記念垂れ幕がかかる関空ターミナルビル


 府のあからさまな福祉切り捨て方針は、1996年の財政健全化方策を皮切りに、98年の財政再建プログラム(案)、2001年の行財政計画(案)、そして行財政計画改定素案と連発されてきました。その中で、黒田民主府政時代に勝ち取ってきた府民生活を守る制度の多くが切り捨てられました。
 関空に関連して、府は”大阪と関西経済浮揚”をうたう大プロジェクトをいくつも進めました。しかし、りんくうタウンや、進出企業が1社もなく破たんした泉佐野コスモポリスを筆頭に、ほとんどが失敗。そのつけが福祉や教育へしわよせされました。
 ゼネコン・財界奉仕の「民活」路線で、莫大(ばくだい)な借金に頼ってやってきた結末の破たん。関空開港以来の10年は、実は「福祉・教育切り捨ての10年」でもあったのです。

 
府民生活より財界の要望


  関西財界の野望は、とどまるところを知りません。行財政計画改定素案発表の翌日の2日に行われた関西経済連合会と大阪府幹部との懇談会で、府の財政危機問題にふれた関経連の秋山喜久会長は、「危機のときこそチャンス。危機であればあるほど思い切った発想の転換ができる」とのべました。秋山氏はさらに、「仕事を効率化するとともに、今やっている仕事が本当に必要かどうか、根っこから考え直し、ゼロベース予算で検討し直すことが大事ではないか」とまで言及し、太田知事も同調しました。
 この間、大阪府政の反府民ぶりと真正面から対決してきた日本共産党の宮原威・府議団長はいいます。
 「秋山会長の言葉の真意は、『福祉・教育は基本的にいらない、自治体は開発や危機管理をやってくれればいい』ということです。関西財界は関空と関連プロジェクトで大もうけを狙いましたが大失敗し、大阪府を財政再建団体転落寸前まで追い込みました。ところが、それを逆手にとって、地方自治体の役割を、自分たちの利益だけを守るものに変質させようとしているのです」
 大阪府は、なおも関空二期工事に1173億円の負担を公言しています。2本目滑走路の07年度供用開始に固執する関空が、財政支出に否定的な財務省の了解をとりつけるために、二期工事予算を縮減したことは先に紹介しました。それでも府の負担は減らさないというのです。
 二期工事について言えば、当面滑走路と誘導路に絞ったとしても、建設計画の全体像を撤回したわけではなく、先送りに過ぎません。いずれターミナルビルや駐機場など付帯施設の建設に着手することは明白です。
 小泉内閣の悪政によって、自治体の福祉・教育の予算措置はますます必要性が高まっています。困っている府民を切り捨て、開発会社化への傾斜を強める大阪府に、自治体の本旨が鋭く問われています。
 (おわり)
 この連載は、平岡賢、嶋田昇記者が担当しました。
 





2004年9月11日付「しんぶん赤旗」より
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日本共産党大阪府議会議員団