開港から10年

検証・関西空港

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近畿に3つの空港 かすむ関空

”救済策”あの手この手




 来年度予算の概算要求時期を迎え、関西空港二期事業をめぐる事態があわただしい動きを見せています。予算確保のために財界・関係者があの手この手を繰り出しているからです。


開港10周年を迎えた関西国際空港


混乱を広げた政府の無定見


 国土交通省は8月26日、二期島の施設を当面、滑走路と誘導路に限定して、整備費200億円(ほかに地元負担分100億円)を来年度予算として要求しました。推進側からは「第一関門突破。とりあえずほっとした」(太田房江大阪府知事)などの声が出ています。2007年度に2本目滑走路の運用を始めるには不可欠の費用だけに、年末の予算編成に盛り込まれるかどうかが引き続き焦点になります。
 国交省はこれに先立つ同月3日、伊丹空港の発着規制策を発表していました。来年度以後、エンジンを3,4発塔載する大型機の就航を禁止することと、ジェット機の利用枠を1日50回減らして200回にすることが柱です。機種はB747(ジャンボ機)、B747−400、DC10これらの機種が使われる沖縄線や札幌線などの長距離便と、利用者の多い羽田線の一部などが移転を迫られることになります。騒音対策を理由にしていますが、関空への移転を強引に誘導する”関空救済策”であることは明らかです。
 同省はその後、25日に最終の発着規制案を発表しました。利用者や関係業界からの反発を受けて、規制措置は期限を設けず段階化し、強制力のない”努力目標”に格下げしました。

反対世論を押し切って建設が進む神戸空港(6月撮影、ホームページから)


 近畿の空港問題については、政府の態度が混乱を拡大してきた経緯があります。   もともと、関空を泉州沖につくったのは、市街地にある伊丹空港の騒音問題を解消するためでした。関空が動き出せば、伊丹は廃港にするはずでした。ところが政府は、同空港を国内線用として存続させ、さらに、関西新空港の候補地だった神戸沖に市営の神戸空港をつくる計画も認めます。こんな定見のなさが、「狭い地域に3つも空港をつくってどうするのか」という疑問を広げ、混乱を招いたのです。  

財界あげての取組みしても


    住民の強い反対に逆らって建設が進む神戸空港は、B747など大型機も離着陸できる2500b滑走路を備えています。利便性で関空を上回る神戸空港が、伊丹減便の受け皿になることも十分考えられます。すでに神戸空港は、チャーター便とはいえ国際線の乗り入れさえ打ち上げました。そうした動きに客を取られかねない関空会社と大阪府は早くも神経をとがらせています。
 「三空港」に加え、来年2月には、名古屋に中部国際空港が開港する予定です。関空より着陸料を安く設定していることもあり、関空利用者の一部が移ることは確かです。
 関西財界は、主要81企業が連名で関空の利用促進キャンペーンにとりくんでいますが、「精神運動に過ぎない」(奥井功・関西経営者協会会長)との声さえ出ています。
(つづく)  





2004年9月5日付「しんぶん赤旗」より
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日本共産党大阪府議会議員団