続・ハンナン牛肉偽装
癒着の構図<16>
「解同」利権と対決
共産党員市長への脅迫
津田一郎羽曳野市長が、「解同」とのたたかいなどを記した『共産党員市長でえらいすんまへん』
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本連載でも指摘してきたように、ハンナン元会長・浅田満被告らの「同和食肉利権」の中心に位置するのが部落解放同盟(「解同」)の存在です。
予算食い荒らす
牛肉偽装事件の舞台となった同和系食肉団体も「解同」の強い影響のもとに誕生しました。浅田被告は、「解同」と深いつながりのある部落解放大阪府企業連合会(大企連)の副理事長を今も務めています。
この「解同」による利権あさりを正面から批判してたたかったのが日本共産党です。
浅田被告が豪邸を構え、事業の拠点とする大阪府羽曳野市では1973年、「解同」いいなりの市政を批判して、日本共産党市議だった津田一郎さんが市長に当選しました。市長は、自著『共産党員市長でえらいすんまへん』に、「同和事業、同和事業ということで、どんどん市の予算が食い荒らされて」いた実態を記しています。
――同和予算が総予算の3分の1以上を占め、市発注工事の8割を海原建設いう同和系企業が独占。海原建設社長は、和歌山県にクジラを飼う別荘を持つほど、豪華な暮らしぶり。
――同和対策のための施設は特別に豪華。同和指定校の中学校は、「御殿みたいな体育館」で「教室の廊下の幅は・・・・ダンプカーでも走」れるほど(同著)でした。
「解同」は津田市長の当選に逆上。同和向け公営住宅の入居者決定を「解同」支部にまかせず、市が決めるという当たり前の方針を打ち出した津田市長を脅迫しました。
自著に収録された津田さんの講演から紹介すると――。
「夜中にね、私の家のぐるりをとり巻いて、どんどん戸を叩いて、家の前でたき火をして、拡声器で怒鳴りちらかした」
「朝起きて、私の車の置いたる駐車場にいってみましたらね。・・・車に『差別者津田』って、ごっついペンキで書いてありますねん。それにまわりいたるところポスターだらけですわ」
牛の首転がして
「あげくのはては、ある朝、家内がガラっと入口をあけたら、血ぃのこびりついた牛の首がポーンと置いとりますねン。それもうちだけと違いますのや、私とこの家の前、当時の公室長の家、同和対策部長の家ね、建設部長ね、公室長の家は大きいので2つ、合計5つも置きよった。うちの家内、もうちょっとで腰ぬかすとこやった。(笑い)私はそんなんこたえんけどね 、女にはこたえますわなあ。『お父ちゃん、首おいたるゥ!牛の首やぁ!』いうからね、『肉ついたるかあ』(笑い)ていうたら『肉あらへん』」
津田さんが「一番胸を痛めたんは、職員のこと」でした。「解同」はついに職員に陶器の灰皿でなぐりかかり、重症を負わせました。それでも職員は市長を守り抜き、市民が支えたのです。
攻撃の中心部隊は、同和系食肉団体結成でも影響力を発揮した上田卓三「解同」大阪府連でした。
今回のハンナン事件の背景には、同和利権を許さないために公正・民主の市政をおこなおうと立ちあがった人びとのたたかいの歴史があります。
(つづく)