続・ハンナン牛肉偽装
癒着の構図<14>
焼却すすめた農水省
2度も焼却場を訪問
農水省課長補佐が訪問した柏羽藤クリーンセンター=大阪府柏原市
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大阪府羽曳野市の福谷剛蔵前市長がついに辞任に追い込まれた牛肉偽装事件。問題は、ハンナン元会長・浅田満被告(65)=起訴ずみ=と福谷前市長との関係にとどまりません。
今、注目されているのが農水省との関係です。浅田被告は福谷前市長に柏羽藤クリーンセンター(管理者、羽曳野市長)での大量の牛肉焼却を持ちかけました。農水省が焼却を決定する前の段階でした。
偽装牛肉も燃えてしまえば証拠は残りません。ハンナン系の偽装牛肉はなぜいち早く焼却されたのか−。
「農水省の偉い人がわざわざ東京から来て、直接頼まれたから安心して焼却を引き受けた。」牛肉偽装事件が発覚する以前、同センターの実務責任者である事務局長が本紙にそう語りました。
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「試し焼き」の日
農水省食肉鶏卵課の課長補佐が、同センターを訪ねたのは2002年1月11日のこと。浅田被告が幹部を務める、大阪府同和食肉事業協同組合連合会(府同食)と大阪府食肉事業協同組合連合会(府肉連)の買い取り申請した牛肉の「試し焼き」が1・75d分実施された日です。
立ち会った課長補佐は、「農水省からは私1人、事業団(農畜産振興事業団=当時)と府肉連、府同食の人もいたはず。府と羽曳野市からは立ち会っていない」と事実を認めました。
府と市は、参加していないといいます。
偽装事件の当事者である業界団体関係者とともに立ち会った農水省幹部。地元行政機関でさえ立ち会ってないなか、きわめて突出した動きです。これに先立つ同月7日、農水省から福谷市長に焼却の打診があったことも議会答弁で明らかにされています。
大阪府が市町村と一部広域事業組合あてに、牛肉を一般ゴミとして焼却できることを1月15日付の文書で通知、同センターは16日に受けています。本来なら通知を受けてから焼却がスタートするはずです。ところが、それ以前に焼かれた量は合計230・82d。焼却した全量(1633d)の1割以上に達しました。
同センター側は、農水省幹部が試し焼きに立ち会ったことで、事実上「お墨付きを得た」と認識したといいます。
不自然考えない
農水省は偽装事件発覚後に、同センターでの焼却に不自然さを感じなかったのかと国会で問われ、「焼却施設の確保できたところから償却していくという方針だった。不自然だとは考えてなかった」(生産局長)と答えています。
農水省の同センターでの焼却へのかかわりは試し焼き当日だけではありません。前出の課長補佐は02年2月14日、同センターを再度訪ねています。課長補佐は、買い取り牛肉が保管されていた大阪食品流通センターでの検品作業に立ち会い、その足で焼却場を訪問したことを認めました。
農水省畜産部長が浅田被告らから高級肉料理割烹(かっぽう)で、買い取り事業開始直前の01年10月中旬に接待を受けたことがすでに先月19日、日本共産党の小林みえこ参院議員の追求で明らかになっています。農水省と浅田被告との二人三脚ぶりも徹底解明が必要です。
(つづく)