続・ハンナン牛肉偽装  

癒着の構造<13>

国、府が負担した巨大冷蔵庫

党府議調査に規制、脅し


 

2万トン以上の食肉を保管できる冷凍・冷蔵倉庫を持つ大阪食品流通センター=大阪・堺市



ハンナン元会長の浅田満被告(65)との面談記録を改ざんして辞任した大阪・羽曳野市の福谷剛蔵前市長(62)。改ざんして削除した面談記録は、みずから管理者だった柏羽藤クリーンセンター(柏原、羽曳野、藤井寺の三市共同の焼却場)での牛肉焼却をめぐる浅田被告との相談でした。
 同センターで偽装国産牛肉が焼却された疑いが持たれているのです。実は、この焼却場に肉を運び込む前に、浅田被告らが全国から買い集めた牛肉を保管しておいた場所があります。堺市八下町の、大阪食品流通センターです。

建設費は3等分



同センターは、事業主体(大阪府同和食肉事業協同組合連合会=「府同食」)と国と府の3社の財政負担で1999年に完成した冷凍・冷蔵倉庫です。浅田被告は府同食の会長です。
 総事業費は約110臆円で、3者の負担額は約36億円。冷蔵能力はチルド(冷蔵)が1万396d、フローズン(冷凍)が1万7620dで、今回のBSE(牛海綿状脳症)対策での対象とされた全国の牛肉総量(約1万3000d)を大きく上回る収容能力を持っています。
 日本共産党府議団は、この流通センターに保管されていた牛肉を調査しようとしました。
 ところが、府議団の再三の要請にもかかわらず流通センター側が調査を拒否。2002年12月5日の府議会決算特別委員会で日本共産党の奥野勝美議員が太田房江知事に調査を認めるようせまりました。
 太田知事は「調査活動というのは、それ自体府民にとってもたいへん重要なこと」と答えざるを得ませんでした。
 この答弁を受けてさすがに、同センター側も調査を受け入れざるを得なくなり、同年12月20日に実現しました。
 日本共産党の宮原威、奥野、和田正徳の3府議の調査にたいし、同センターを管理運営している「株式会社大阪食品流通センター」社長の岩上清二・府同食副会長、取締役の寺島一・府食肉事業共同組合連合会会長が応対しました。岩上、寺島両氏は今回の偽装事件で逮捕された人物です。




 
「若い者くるぞ」


 それは奇妙な光景でした。
 調査に同行した本紙記者には異常な規制がかかりました。「倉庫の中の撮影はだめ」「センター側の人物の顔もだめ」などと制限するのです。あげくのはては、「あんまり写真を撮っていると若いもんがとんでくるぞ」という脅しが・・・。
 党議員団は、同流通センターに持ち込まれた市場隔離の国産牛肉の日時・場所別総量と焼却場の柏羽藤クリーンセンターに出した牛肉の日時別総量の資料を求めました。約2ヶ月後に府を通じて返ってきた回答は拒否。「団体の役員間で協議された結果、『現時点では一つの倉庫の入出庫のことを公表すべきでない』という結論になった」といいます。府は浅田被告らの団体のいいなりでした。
 国と府が財政支援して建設した巨大な牛肉の冷凍・冷蔵倉庫。そこに早くメスを入れていれば、今回の牛肉偽装事件ももっと解明できたはずでした。
(つづく)










2004年6月19日付「しんぶん赤旗」より
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日本共産党大阪府議会議員団