疑惑にはこたえず短時間で打ちきられた福谷市長の辞任表明会見＝１４日、羽曳野市役所 |
大阪・羽曳野市の福谷剛蔵市長（６２）の辞意表明――。１４日、突然の事態に、市役所は報道陣や市議会関係者でごった返しました。 あるマスコミ関係者が日本共産党の嶋田たかし議員（市議団長）に、「共産党と『赤旗』が、ずっと追求してきた結果ですね」と話しかけました。
突然の事態に驚く市職員は「辞任するのは逃げたようなもの」「ここでやめるのはひきょうやなあ」といいます。「やましいことをしてないなら辞める必要はないだろう」という声も多い。
市長の辞任を受けて１５日開かれた、羽曳野市議会は、福谷市長の辞職を承認。市長選（７月１８日告示、２５日投票）に向かって動き出しました。
しかし、市長辞任で疑惑が晴れたわけではありません。辞任せざるを得ないほどの闇は一体何なのか。
まずはっきりしているのは市長の面談記録改ざん自体が犯罪だということです。
市長の日程・行動を記録した文書は公文書。福谷市長はその公文書から、牛肉偽装事件で逮捕・起訴された浅田満容疑者（６５）との面談記録を改ざんし、隠すよう命じました。その行為自体が公文書毀損（きそん）にあたるとして大阪府警が書類送検する方針です。 しかし、もちろんそれだけで終わるものではありません。
市議会全員協議会や記者会見で配布された福谷市長の文書によれば、実際には、市長は浅田容疑者と２００１年１２月５日、１３日、２８日の３回会っていました。そのうち、２８日の１回だけを残してあとを改ざんしたのです。
この２８日は環境省が都道府県知事宛に隔離牛肉を産業廃棄物ではなく一般廃棄物として焼却場で焼いてよいとの通知を出した日です。農水省が隔離牛肉の一時保管から焼却処分にすることを決めたのはその前日の２７日でした。
削除された５日と１３日はそのはるか前。
浅田容疑者と福谷市長で焼却処分が決まる前から肉の焼却による「証拠隠滅」の相談をしていた疑惑がいっそう強まってきたのです。
福谷市長が管理者をしていた焼却場の「柏羽藤クリーンセンター」は、浅田容疑者の要請にこたえて、２００２年１月１１日から焼却をはじめ、３月末までに１，６００dもの肉を焼きました。その理由や福谷市長の関与などは一切明らかにされていません。
もし、浅田容疑者が肉の早期焼却で証拠隠滅をねらい、それを承知で協力したとしたら、福谷市長の責任も重大です
日本共産党の嶋田議員はいいます。
「市長は辞職で、自らの責任は逃れられると思っているのでしょうがとんでもない。むしろ疑惑はいっそう深まっています。市政を刷新して公正で民主的な市民のほうを向いた羽曳野市政を実現するために引き続きがんばりたい」
（つづく）
２００４年６月１６日付「しんぶん赤旗」より
