続・ハンナン牛肉偽装  

癒着の構図<11>

農水族議員の力

肉の在庫量「江藤先生」へ



 
ハンナン元会長・浅田満容疑者(65)らによる牛肉偽装事件で問題になっているBSE(牛海綿状脳症)対策の国の諸施策を検証するさい、見逃すことができないのが自民党の農水族議員の存在です。


「報告書案」波紋


 2002年3月22日、政府の諮問機関・BSE問題調査検討委員会の発表した「報告書案」が政界に波紋を広げました。
「BSE問題のあらゆる局面で農林水産省が打ち出した政策に対し、(自民党を中心とする)農水族議員が陰に陽に影響を及ぼしている」
 政府関連の公的調査で「農水族議員」を名指しで批判した、極めて異例の内容でした。
 農水族とは、自民党の農林水産部会などに所属し、農政全般に影響力を発揮する国会議員。BSE問題当時は、自民党総合農政調査会最高顧問の江藤隆美前衆院議員が「農水族のドン」とよばれ、松岡利勝農水副大臣、自民党衆院議員だった鈴木宗男被告らも実力者でした。
 BSE感染を調べる国産牛の前頭検査開始2日前の2001年10月16日のこと。
 自民党BSE対策本部で、江藤議員や松岡議員が「政府の責任で買い上げろ」と農水省幹部に国産牛肉買い取り事業実施を激しく迫りました。翌17日の対策本部では、鈴木被告が「予算措置は江藤(隆美)先生にしてもらえばいい」と大声を張り上げる姿がテレビニュースでも映し出されました。
 検討委も指摘した農水族のごり押しの典型です。ところが、4月2日に発表された最終報告書の内容は一変していました。原案にあった「自民党」「農水族」などの言葉を削除。批判部分は大幅に削られ、弱められていました。皮肉にも報告書の農水族批判がトーンダウンしたことで、「農水族議員が陰に陽に影響を及ぼした」という指摘が裏付けられる結果となったのです。

 
なかなかの金額


 農水族議員は、食肉業界と密接に連係しています。
 本紙は、浅田容疑者らの偽装肉の買い上げ窓口だった全国食肉事業協同組合連合会(全肉連、福岡伊三夫会長)と、自民党大物農水族の関係を示す興味深い文書を入手しました。  牛肉買い取り事業が正式決定(01年10月26日)される前の12日、全肉連会長名で都道府県組織の責任者あてに出した内部文書です。買い取り事業に備えて、国産牛肉の在庫量調査を依頼したものです。
  文書は、同月15日までの報告を時間厳守で求め、「この結果を持って10月16日江藤先生へ届けます」と記しています。「江藤先生」とは、前出の江藤隆美前衆院議員のこと。
 農水省が全肉連など業界団体に買い取り事業を「行いたいと考えている」と通知したのは、同月19日。それより一週間も前に出された買い取り前提の在庫量調査依頼。食肉業界と農水族議員の「連携プレー」の手際よさが見えてきます。
 文書を受け取った全肉連の地方組織幹部は、こう指摘します。
 「案を政治家が出すためには在庫量の具体的数字が必要だ。そのために事前調査をしているんだろうと理解した」

(つづく)










2004年6月15日付「しんぶん赤旗」より
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日本共産党大阪府議会議員団