続・ハンナン牛肉偽装  

癒着の構造<4>

浅田容疑者と太田大阪府知事

府庁内大あわて肉焼却文書


 

「市場隔離牛肉の焼却処分について」と題するA4判2枚の印刷物が大阪府庁幹部を右往左往させています。作成されたのは2002年1月24日。内容はBSE(牛海綿状脳症)対策で国が買い取った国産牛肉の焼却に関する府の文書です。「事業名」「実施主体」「助成内容」「対象隔離牛肉」「処分方法」「保管状況」などを細かく記載しています。

 
 羽曳野で明らか


 その一部を、5月26日に羽曳野市から明らかにされてあわてたのが大阪府です。この文書を府が羽曳野市に出したということになれば、「隔離牛肉焼却事業は国の事業で府は関係ない」としていた従来の主張が崩れてしまうからです。
 翌日の27日、府の担当者が、日本共産党の宮原威府議団長のところにあわてて問題の文書を届けにきました。これが府の「指示文書」ではなく、あくまで参考用の「部内文書」であると釈明するためにです。
 矢野学流通対策室長は、その文書を府が作成したことは認めたものの、外に出すものでなく「内部でのメモ」だと強調します。
 ところが、羽曳野市が明らかにした文書には、ファックスの発信元が府の流通対策室となっており、発信日は文書作成翌日の02年1月25日と明確に打たれているのです。  矢野室長は「おかしいですね」と首をかしげますが、答えは歯切れ悪くなるばかり。  本連載(5月7日付)でも指摘したように、ハンナン元会長の浅田満容疑者が幹部を務める大阪の団体が買い取り申請をした牛肉は、羽曳野市長が管理者を務める焼却場で早々と焼却されてしまいました。

 
双方関係ないと


 牛肉偽装が事件化するなかで、焼却にも疑惑の目が向けられています。そうしたなか、大阪府と、羽曳野市はことあるごとに、言い分が対立しています。
 大阪府は、肉の焼却は国の事業で「大阪府は焼却に関する調査をおこなう立場にない」とまでいいいきって、今回の牛肉偽装事件とかかわりのないことを主張します。
 一方、羽曳野市はあくまで、国や府からの要請にもとづいて隔離肉の焼却の強力をしただけだといって、これまた、偽装事件とは関係がないことを強調。
「双方とも『疑惑に巻き込まれかねない』と一歩も譲らない構え」(5月25日付「読売」)と報じられています。
 大阪府が、異常と思えるほどに神経質になるのはなぜか。府の内情をよく知る自民党府議は「太田府知事は、浅田元会長と親密な関係。それだけに今回の事件とのかかわりにふれられることを府は恐れている」と指摘します。
 太田房江府知事ら府幹部と自民党の複数の府議が2000年7月8日、浅田容疑者が自宅として使用しているハンナン系企業名義の豪邸で酒食の接待を受けたことが明らかになっています。
 その接待の2ヶ月前の5月3日、府知事は浅田容疑者を「憲法記念日知事表彰」で表彰したことが新たに判明しました。「産業功労者」として表彰された理由は、「篤行が特に優れ、府民の模範となる個人」というものでした。
(つづく)










2004年6月1日付「しんぶん赤旗」より
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日本共産党大阪府議会議員団